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宮本裕人2014年08月14日 06:36環境教育のヒントがたくさん詰まった、「海の学び」 1/2
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レイチェル・カーソンの言葉に、「センス・オブ・ワンダー」というものがあります。直訳すれば、自然を不思議に思う気持ちや感性。環境の尊さを知るためには、自然に触れて、不思議に思ったり感動したりする心を持つことが何よりも大切だとカーソンは言います。
7月20日、"海の日イブ"の日に、東京大学で行われた海洋教育セミナー&フォーラム「海の学びの万華鏡」に参加をしてきました。海洋教育促進研究センターと日本財団によって行われた、海洋教育を考えるイベントです。
海という枠を超え、教育全般に生かされる「海の学び」
岡本郁恵先生(左)佐藤光家先生(右)
岡本郁恵先生(左)佐藤光家先生(右)
岡本先生は、身近なものから興味を持ってもらうアプローチで海の学びを実践します。名向小学校は、海まで徒歩30分。まずは5月に遠足で磯遊びをし、7月にはマリンパークを見学。10月に東大臨海実験所や海洋研究開発機構へ社会見学をして、海への知識を深めます。さらに2月には海で働く地域の人々に出前授業を行ってもらい、生徒たちは三浦の海の生物について、実際に触りながら説明を聞きました。
そして1年の終わりには、保護者や社会見学をした施設の所長さんに向け、海について学んできたことをプレゼンする発表会を行いました。「海流について」「海の生き物について」といったテーマで、生徒たちは模型を作って発表しました。
このように身近なものから段階的にステップアップしていくことで、スムーズに興味・知識を広げることができたといいます。子どもたちの感想としては、「ただそばにあるだけだった海に、生き物がいることがわかったし、大人がいろいろな取り組みをしていることがわかった」「三浦の海を好きになった」などがあったとのこと。
それに対して佐藤先生は、歴史を考えることで海に興味を持ってもらうアプローチを行いました。まずは50年前の三浦海岸の写真を見せ、子どもたちに気づいたことを発表してもらいます。その後に実際に今の三浦海岸を訪れ、調べたいテーマを探しました。
みんなの意見を合わせて、「海の秘密を探れ」「観光客が三浦海岸を訪れる魅力を探れ」「今と昔の三浦海岸はどちらがすてき?」「三浦海岸を◯◯に変えていこう」という4つの学級課題を設定。これらの課題を1年かけて考えていきます。
課題を行うなかで、子どもたちは自発性やディスカッションの力を身につけることができたといいます。たとえば、「観光客が三浦海岸を訪れる魅力を探れ」の課題を調べるために、自分でアンケート用紙を作って観光客にインタビューをする子もいたとのこと。また「三浦海岸を◯◯に変えていこう」の課題では、生徒同士で意見が大きく対立。そこでは各自が調べてきたことを基に、クラスで話し合うことができたそうです。
自ら仮説を立て、調査をし、考察やディスカッションを行う。まさに大学で行うような研究と同じ過程を、小学生が立派に行っていることに驚きました。
岡本先生と佐藤先生の取り組みはアプローチは異なるものの、どちらの場合もただ海について知るだけでなく、「海の学び」が地元愛を育てたり、自発性やディスカッション能力を伸ばすことにつながっていることがわかりました。
山田剛輔先生
山田剛輔先生
次に、茅ケ崎市立汐見台小学校で1・2年生を担当した山田剛輔先生からの発表がありました。 山田先生のクラスでは、子どもたちが身近な自然に興味・関心を持てるよう、松の苗木を“松の子ども”と呼んで育てて観察しました。ここでおもしろいと思ったのは、国語の詩づくりの授業で、松の子への思いを詩に表すように子どもたちに求めたこと。
このような教科横断的な学習活動が、子どもたちの思い、感性や感覚をよりいっそう豊かに表現することにつながると考えたのです。
と、山田先生はそのねらいを話します。
また命を考える授業では、地引網を体験し、獲れた魚を漁師の方にその場でさばいてもらったそう。魚がさばかれる瞬間を目の当たりにしたことで、普段いただいている命の尊さを実感。食べることについても考えるきっかけになり、子どもたちは給食で魚を残さなくなったといいます。「命を大切にしなさい、残さずに食べなさい」と言葉で言うよりも、 子どもが命と触れ合うことの方が、はるかに大切であり効果的であるのだと思いました。 山田先生の取り組みもまた、「海の学び」が海という枠を超え、命や食の学び、文章や表現力の学びにつながっていることがわかりました。http://blogos.com/article/92287/?p=1
ライフワークとして海と生きる人々
午後の部は、「海洋教育フォーラム」。海に潜って半世紀という水中写真家の中村征夫さん、海中ロボットの研究を30年行ってきた九州工業大学特別教授の浦環さんという、ライフワークとして普段から海と向き合っているお二人が、自身の活動についてお話してくれました。
中村征夫さん(左)浦環さん(右)
中村征夫さん(左)浦環さん(右
今まで撮った世界中の海の写真を見せながら、自身の体験を語ってくれた中村さん。「癒されるような海もあれば、目を背けたくなるような海も見てきました」。中村さんは、きれいな海の姿だけでなく、無残な姿も撮ってきたといいます。実際会場で見せてくれた写真の中にも、美しい海や生き物の写真だけでなく、死んで真っ白になってしまったサンゴの写真などもありました。
そんな中村さんが海から教わったこと、海の生きものから教わったことは、「無駄をしちゃいけない」ことだと言います。
ちょっと海に潜るだけで、地上では味わえないようなさまざまな生き物たちの生の姿をこの目で見ることができます。そして生きることと死ぬことの本質、そういうものを考えさせられる。命を無駄にしてない。自然界には命を無駄にするものは一匹もいない。
海の写真を撮り始めてから、中村さんも「魚を食べるときにちゃんと残さず食べているかなぁ」と自分の行動を反省するようになったとのこと。午前中に聞いた山田先生の授業と同様、命に触れることが命の尊さを知る1番の方法なのです。
写真を見せる中村さん
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続いての発表は、自律型海中ロボットの研究を行っている浦環さん。自律型ロボットというのは、「センサーデータを解析することで周囲環境と自分自身の状態を理解し、それによって海中での行動を決めるロボット」のことです。浦さんはこのロボットを使うことで、人類が行けない海の底の情報を得ています。
会場では、浦さんのロボットが撮った海底の写真を見せていただきました。1000メートルの海底という今までは知らなかった場所の様子を、ロボットが見せてくれる、教えてくれる。ロボット研究の醍醐味はそこにあるのだと思います。
浦さんがおっしゃっていたことで印象に残ったのは、「海は知らないことだらけ」だということ。
海は知らないことだらけなんですね。大抵のことは知らない。知らないなら、知ろう。そういう道が拓けてくると、私はとてもうれしい。知ってることを並べるのはとても重要。だけど、知らないこともこんなに山のようにあるということもぜひ、並べていただきたいと思います。
浦さんの言うように、「知りたい」と思うためには、まず”知らない”ということを知らなければいけない。僕たちが普段見ることのできない海の世界を見せてくれた、中村さんと浦さん。2人のお話は、世界の海のことや海の底のことについて、僕たちには知らないことがたくさんあるのだということを気付かせてくれました。
学びをシェアすること、垣根を超えること
学校の先生はなかなか悩みや課題をシェアする機会がなく、孤独になりがちだと聞いたことがあります。今回参加させていただいた「海の学びの万華鏡」のように、優れた教育を実践している先生たちの方法をシェアすることで、他の学校にも授業のアイデアが広がっていくのは意義のあることだと思いました。
ただイベントの性質上仕方ないことなのかもしれませんが、登壇者も参加者ももともと海洋教育に携わる人ばかりで、まったく海や教育について詳しくない僕には、どこか内輪の会になってしまっているような印象を受けました。
今回発表していただいた「海の学び」が、特色ある学校だけしかできないものになってしまったら広がりがない。しかし、海の学びが自発性やディスカッション能力、命や食について考えることにもつながっていることを思えば、今回発表していただいたアイデアは、海がそばにない学校の先生にとっても参考になるものだと思います。
今後は「海の学び」が垣根を超え、山の学びや川の学び、さらには地球という星の学びといった、より全般的な環境教育の話まで広がっていくことを期待します。それが、環境を守る次世代を育てることにつながるのだと思います。
再生核研究所声明 56(2011.04.06): アースデイ の理念
先ず、アースデイの概念であるが、グーグルで検索すると、環境関連の会議で、環境問題についての討論集会、環境のかかえる問題に対して人びとに関心をもってもらおう、 地球環境を守る意思表示をする国際連帯行動 などから、地球環境を大事にしようという概念が 鍵となっているようである。
広大な宇宙空間で、地球のように 生命が繁茂し、人間のような ある程度の精神作用や自由意志を有する高等生物が生息する天体は 未だ見つかっていない。 このことからも、既に 地球が広大な宇宙の中で、かけがいのない存在 であることが分かる。 人類が存在して、初めて、全てのことは始まるから、人類の生存は 最も大事な ことになる(再生核研究所声明13)。 雄大な生態系において、人類はその頂点に位置していて、自由意志と能力によって、地球や生態系に重大な影響を与えている。 実際、人類が望めば、原爆などで地球を破壊し、生命の絶滅も可能であろう。しかしながら、実は、人類の自覚が無ければ、このままでも 生態系が破壊され、少なくとも人類絶滅にいたるのは 物理的にも 容易に想像される。
実際、地球外から地球を見れば、人類が如何に自然と生態系を破壊して来たかが、良く理解できる。人類こそ、地球の生態系を蝕む、がん細胞のような存在であることを しっかりと理解する必要がある。がん細胞が増殖すれば、生態系は乱され、やがて がん細胞すら存在しえなくなるのは明らかである。
生きている地球が、地震などを起こすのは道理である。 地球と仲良く生きるとは、地震などにも柔軟に対応できる生き方をするということである。母なる地球が在って、豊かな生態系が在って、はじめて人類の生存の基礎ができるのである。 それらの持続可能な在りようを追求するのが、元祖生命体の代表である人類の 真に崇高な使命である。大義である。
生態系の在りようは 多様性によって裏付けられているが、その実体は未だ 人知の及ばない領域とも言えるから、人類は謙虚になって、
1) 人類の立ち入らない島や、地域の制定
2) あらゆる生物種の保存
に努力するように訴える。 人生で確かなこととは 生きて存在しなければ何も始まらない (生命の基本定理) ということであり、生態体系の保存に心すべきであり、元祖生命体の進化を見守りたい。 また、広い存在領域の確保のためにも、地球外への進出も企てたい(再生核研究所声明32)
以 上
ソトコト 2014年8月号/著者不明
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SOTOKOTO (ソトコト) 2013年 12月号 [雑誌]/著者不明
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SOTOKOTO (ソトコト) 2014年 04月号 [雑誌]/著者不明
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