2017年5月20日土曜日

裁判員の辞退増加 最高裁「雇用情勢の変化が影響か」

裁判員の辞退増加 最高裁「雇用情勢の変化が影響か」

裁判員制度がスタートして21日で8年ですが、裁判員の候補者が参加を辞退する割合が上昇していて、最高裁判所が初めて原因を分析したところ、非正規雇用の増加といった雇用情勢の変化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。
裁判員の候補者が参加を辞退する割合は、年々上昇していて、制度がスタートした平成21年は53.1%だったのに対し、おととしは64.9%に上っています。

これを受けて、最高裁判所が去年からことしにかけて民間の調査機関に委託して初めて原因の分析を行ったところ、非正規雇用の増加や人手不足といった雇用情勢の変化のほか、審理の長期化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。

このうち雇用情勢への影響については、非正規雇用の増加に伴うような形で辞退率が上昇していることを根拠の1つとしています。

非正規雇用の労働者の数は、総務省の統計では、裁判員制度が始まった平成21年は1727万人でしたが、おととしは1986万人に増えました。そして、辞退を申し出た候補者のうち仕事を理由に挙げた人の割合も、平成21年は全体の13%だったのに対し、おととしは18.6%に増えています。

また、ことし1月から2月にかけて、全国の20歳以上70歳未満の男女5000人を対象に、インターネットを通じてアンケート調査を行ったところ、「裁判員裁判に参加したい」、または「参加してもよい」と答えた人の割合は、正社員では合わせて31.8%だったのに対し、派遣社員では24.5%、パートとアルバイトでは18.6%にとどまったということです。

こうしたことから、最高裁は非正規雇用の増加が辞退率の上昇に影響している可能性が高いとしています。

また、審理の長期化については、同じアンケートで参加できる日数を聞いたところ、審理期間が3日間の場合、「参加できる」という回答が74.9%だったのに対し、5日間の場合は20.8%にとどまったということです。裁判員裁判の平均の審理日数は、平成21年は3.4日だったのに対して、おととしは6.1日まで増加していて、参加しやすさに影響していると見られます。

最高裁は「今回の分析結果を基に、より多くの人たちに参加してもらえるように対策を検討していきたい」としています。

経験者「同じ立場の人には勧められない」

派遣社員として働きながら裁判員裁判に参加した人の中には、「同じ立場の人には勧められない」と感じている人もいます。

東京都内に住む派遣社員の40代の女性は、去年、東京地方裁判所で開かれた裁判員裁判で補充裁判員に選ばれ、7日間にわたって審理に参加しました。派遣先の企業には、裁判員に選ばれた人のための有給休暇がありましたが、派遣元には同じ制度はありませんでした。女性は体に障害があり、病院に通うためなどに通常の有給休暇を使い切っていたため、無給で休みを取って参加しました。裁判所からは7日分の手当が出ましたが、交通費を入れても、ふだんの給料の7割程度にしかならなかったといいます。女性は、「参加したことはよかったけれど、給料を見てがく然としました。携帯の料金を支払えず、食費などを切り詰めて1か月間過ごしました」と振り返っています。

さらに、裁判員裁判に参加することを派遣先の会社に伝えると、周りから嫌みを言われたことがつらかったと言います。派遣先の社員からは「決算の忙しい時期に裁判員と会社のどちらを選ぶといったら会社を選ぶよね」とか、「次の派遣社員は裁判員候補者の名簿に載っているか確認してから採用しよう」などと言われ、罪悪感を感じたといいます。

女性は、同じ非正規雇用の人から裁判員裁判への参加について相談を受けたら、心から勧めることはできないと感じています。女性は「参加することのマイナス面がすごく強いので、『何も心配することはないよ、行ってらっしゃい』とは言えません。国が作った制度なのに企業に浸透していないから、休みがすごく取りにくいです。今のままでは誰もが参加できる制度ではないと思います」と話しています。

休暇制度の現状は

裁判員制度のスタートに合わせて、企業の間では、裁判員に選ばれた従業員のための休暇制度を設ける動きが広がりました。裁判員に選ばれると、少なくとも数日間は裁判所に通うことが求められるため、企業の従業員などは、必要に応じて休みを取ることが法律で認められています。また、裁判所や法務省などは、より参加しやすくするために、企業などに対して特別な有給休暇の制度を設けるよう呼びかけています。

しかし、厚生労働省が昨年度、全国の企業1万社を対象に行った休暇制度についての調査では、回答した2091社のうち、裁判員のための有給休暇の制度を導入しているのは30%にとどまりました。また、非正規雇用の人たちの状況を調べるため、NHKが大手の人材派遣会社5社に取材したところ、登録している派遣社員のために有給休暇の制度を設けていると答えたのは3社で、残りの2社は休暇は取得できるものの、無給の制度でした。

裁判員を経験した人たちに対する取材では、派遣社員やパートとして働いている人から、「会社を何日も休むと同僚から嫌な顔をされるので、非正規の立場では参加したいと言いづらい」といった声も聞かれました。市民の感覚を広く取り入れるという裁判員制度の趣旨が損なわれないように、多くの人たちが参加しやすい環境をどう整えるかが課題となっています。

専門家「参加しやすい仕組みを」

裁判員の制度設計に携わった國學院大学法科大学院の四宮啓教授は、今回の分析で見えてきた問題点について、「裁判員の間で雇用形態の偏りが今後大きくなっていくと、幅広い社会の声を裁判に反映しようとする制度の趣旨が損なわれてしまう」と懸念しています。

そのうえで、「非正規雇用の人たちが立場が弱いと感じているというのは非常に理解できることなので、企業や団体の側が十分な配慮をする必要がある。制度開始から8年となるこの機会に、制度の公共的な意味をもう一度捉え直し、雇用形態にかかわらず参加しやすい仕組みを作り直してもらいたいし、裁判所も企業側に理解を求めていく必要がある」と指摘しています。

再生核研究所声明 16 (2008/05/27): 裁判員制度の修正を求める

素人の意見を広く求めることは、古来から行われてきた重要な考え方である。しかしながら、それらを型にはめて、一律に行う制度は、制度として無理があり、社会の混乱と大きな時間的、財政的、行政的な無駄を生み、更に良い結果を生むどころか、大きなマイナスの結果を生むだろう。 幾つかの問題点を具体的に指摘すると

(1)  制度を実行し、進めるには大きな行政的な手間と時間が掛かる。特に財政厳しい状況で大きな無駄を生む。
(2)  一般の人が裁判に関与することは、はなはだ問題である。その様なことで、時間を費やす事を好まない人や、ふさわしくない人、また希望しない人が相当数現れることが考えられる。多くの人は、そのようなことで時間をとられたり、関与することに、耐え難い苦痛を感じるだろう。
(3)  選ばれた少数の人による判断が、全国的なレベルで公正さを維持するのは難しく、また公正な裁判を要求し、期待することには無理があると考えられる。それを要求するには 大きな負担を一般の人たちにかけ過ぎる。
(4)  大きな社会で、裁判において、一律一様の考えには、無理があり、ある程度の専門性を取りいれないと、運用上も、無理が生じると考えられる。
(5)  戦後60年以上も経っていながら、裁判が遅れることに対する批判はあっても、裁判制度や裁判結果に対する批判が殆どないのは異例であり、この観点からも日本の裁判制度自身は高く評価されるべきであって、改めるべき本質的な問題は生じていないと考えられる。

上記のような状況に鑑み、例えば一律の考えを改め、裁判に参加を希望する者を公募して登録しておき、その中から選んで参加して頂く等の修正を速やかに行うべきであると考える。少なくても、裁判に強制的に参加させるべきではなく、参加しない権利を明確に認めるべきであると考える。また裁判制度の問題は別にして、一般の裁判についても、従来は、密室で判決が検討されてきているが、広く意見を聞くことは必要であり、また逆に人々が意見を述べることができるようにしておくのが良いのではないかと考える。ご検討を期待したい。 以上。

アメリカの陪審員制度みたいに、
陪審員が決めた判決内容で結審って感じになれば話も違ってくるかもしれないが、
上級審に持って行って判決内容をひっくり返せるシステムでは、
やるだけアホらしいと思うわなw

ホント、日本の司法制度ってロースクールもそうだが、
カッコだけ外国の真似をして中身スカスカってパターンが多いわなw 

0 件のコメント:

コメントを投稿