「中学で数学苦手」解消へ
◆浜松市3中小が連携し基礎計算力テスト
計算力定着度確認テストを解く児童=浜松市中区の相生小で
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中学校で数学の授業について行けなくなる子どもが多くなるのを解消しようと、浜松市東部中(南区)と、ほとんどの児童が同中へ進学する相生(中区)と飯田(南区)の二小学校が連携し、基礎の計算力を確認する「算数計算力定着度確認テスト」を初めて実施した。中学での数学の学習に必要な分数の加減乗除などを理解しているかを問う三十問で、両小学校で十六日、六年生計二百二十五人が挑戦した。
テストは三十点満点。繰り下がりのある三桁の引き算、少数と分数を交えた足し算や引き算などを四十五分間で解答する。
確認テストを作ったのは、小学校で学んだ算数の基本的な計算方法を身に付けないまま、中学校に進み、数学が苦手になってしまう生徒が少なくないため。中学一年では、正の数と負の数を学習するが、小学校で学ぶ加減乗除の理解が不十分だとつまずきがちだ。
東部中の須山嘉七郎校長は「これまで、中学校の教員は『なぜ小学校で基礎を教えていないのか』と考える一方、小学校の教員からは『力を付けているはずなのに、なぜ数学でつまずくのか』と対立することもあった」と振り返る。このため、三校で連携し、中学での数学で必要となる基本問題を中学校教諭らが独自に作ることになった。小学校では、採点後に間違えた問題を確認し、再度解くように指導する。
飯田小の広岡龍雄校長は「確実に押さえなければならない点が分かるいい機会だ」、相生小の袴田昌弘校長は「子ども自身、苦手な問題がなにかを把握できる」とそれぞれ評価している。
浜松市教委指導課によると、同様の取り組みは聞いたことがないという。上野由紀夫課長は「学力向上のための小中の連携がうまくいけば」と話している。
再生核研究所声明187(2014.12.8)工科系における数学教育について
30余年 工科系で数学の教育に携わって来た者として、それらを回想して今後同じような経験をされる人たちの参考になるように省察して置きたい。
まず、工科系における数学教育の目標を抑えて置こう:
1) 工科系全般における表現の立場から、数学上の述語、概念、記号などは工科系を表現する言語として必要であるから、関係数学の習得は必要である。典型的な概念として、微積分の概念、行列の概念、微分方程式、ベクトル解析(勾配、回転、発散)、解析関数の概念などは必須の概念と考えられよう。
2) 計算機の普及、応用を待つまでもなく、論理の学習; 論理的に考え、推論して纏め、表現できるような精神の涵養に 数学教育の重要性があると考えられる。
3)高級に表現すれば、数学について、そもそも数学とは何だろうかと問い、ユニバースと数学の関係に思いを致すのは大事ではないだろうか。この本質論については次を参照:
No.81, May 2012(pdf 432kb)
19/03/2012 -ここでは、数学とは何かについて考えながら、数学と人間に絡む問題などについて、幅. 広く 面白く触れたい。
簡潔に述べれば、数学は 時間にも、エネルギーにもよらずに存在する神秘的な 関係の論理体系であるが、ユニバースは 数学を言語として構成されている という、信仰のような信念を抱いている。基本的な数学は ユニバースの基本的な様を表現しているのではないだろうか。すなわち、真理を追求する真摯な精神の涵養である。
それゆえに、工科系における数学教育の必要性は明らかである、それで、その明確な動機のもとで、数学教育に携われる工科系に属する数学の教師は、誠に充実感のする 社会的な使命を果たせる幸せな存在である。
担当の基本は、線形代数、微積分学、微分方程式、ベクトル解析、複素解析であろうが、それらは、理工科系の基本カリキュラムで、それらは、重要な概念を有していると考えられる。教える立場でも、ここをきちんと教えたいという、項目が多々存在する、楽しい数学である。
工科系で、生じる問題の基本は、工学 各学科の、期待、要請と 数学の専門家の担当する講義の仕方、カリキュラム内容との乖離で、しばしば問題が顕になる。上記、工科系における数学教育の目標について 科の先生方の反対意見は出ないと思われるが、近年、学生の基礎学力の大きな落ち込みの中で、科で直接必要、必須の言わば 1)の基本が疎かになり、科の教育に大きな障害が起きて、1)の強化、補充を数学教室に求めたり、科自身で補充の授業を準備する事態さえ招いている。数学教室で、科の要求する数学の内容を聞くと、相当に高級な現代的な数学の内容が広範に出てきて、対応できないような状況は よく見られる。体系的に見れば ちぐはぐ、また科の教員でも要求がバラバラな感じさえ受ける。もしそれらの要求を満たすようにするならば、辞書の項目の解説調になってしまい、数学者の好みである2)、3)項の要素が失われて、講義に熱が入らない気持ちになるのではないだろうか。― この観点が工科系における数学教育における問題の中心であると考えられる。
数学の教師の立場から見れば、自分の専門の研究に集中しすぎで、視野が狭く、工科系全般にわたる素養の貧しさを招き、しばしば独善的な講義スタイルになる傾向があるので、気をつけたい.
学科への対応の精神は、数学に分け与えられる時間数が極めて限られていて、しかも、要求される内容の豊富さを考えれば、講義内容を精選して、基礎の基礎、基本の基本をきちんと学習させ、多くの内容については、学生が必要に応じて、自分で学習できるようなるように教授するのが良いのではないだろうか。それには、まず、数学が楽しい、大いに有効であると 学生が感じられるような、そのような講義が望まれる。講義は全人格をかけた、交流の場であり、真理を追求する研究者の尊い姿が 学生への愛とともに 反映されるものでなくてはならない。学生による評価の問題で、教師が講義の有り様などいろいろ気遣い、板書やPDファイルなどの作成など講義の技術面などに関心が移っているような世相があるが、それらの営みの空虚さを指摘したい。そうではなくて、学生は、教師の学問に取り組む姿勢や、人生や社会に取り組む姿勢、全人格をみて教師を評価していることが分かるだろう。技術面のことよりは、研究者として、人間としての精進が肝要ではないだろうか。
人生とは何か、生きるということは どのようなことか、そのような問を忘れて久しいように感じられる世相ではないだろうか。学生は、いろいろな情報、勉学、就職関係の将来構想などなどで時間に追われ、教員も研究、教育に専念できず、さらに教育、研究の環境を悪化させる要務で忙しすぎて、何事じっくり取り組み、考察を深めるような貴重な時間を失っているように見える。学生時代には全人生を思考できるように 学生に自由を保証する精神が 大学教育の基本な配慮でなければならないと考える。― 学生時代は良かった、良い環境で、たっぷり自由な時間がとれた。
インターネットの普及で、いわゆる知識、単なる情報は、簡単にどこでも利用できる時代の到来は、カリキュラム、教育内容の精選と講義の有り様の変革をもたらし、自由の保証に明るい展望をもたらすのではないだろうか。その骨格として、講義、教育時間の縮小、休暇の増大、そのために一般教職員の大学の年間、1ヶ月間閉鎖、学生の休暇2ヶ月間を考えるのは良い出発点ではないだろうか。これらは既に、欧米の大学では相当に確立していて習慣になっていることも大いに参考にすべきではないだろうか。― 5年間ポルトガルのアヴェイロ大学で研究員として過ごしたが、何と8月は 大学の暦に 無かった。完全休暇である。土、日の休暇は当然で、水曜日は講義が無く、水曜日と金曜日は 昔の日本の土曜日のような調子で、金曜日午後には 多くの学生が、帰省するような情景であった。年中仕事に追われている 異常な日本の大学の有り様を見るにつけて、我々は大いに学び、大学の有り様を変革すべきだと考える。
そのような大幅な自由の下で、自主学習する風潮と日本のように 相当に学力などを気にして、詰み込み式授業の風潮のどちらが、長期的に見て優れているか、考えてみる必要があるのではないだろうか。ただし、自由の代償に 試験は相当に期間と時間を掛けて厳しくする風潮がある。
工科系に属する教員の担当学生数は、数学の所属部署で、最も多い状況にあり、ある意味で、数学を現実社会に活かす立場で それだけ大きな役割が有ると考えられる。教育ばかりではなく、入試に関与する部分も極めて大きく、入試業務は年中 心を傷めさせられる負担になっている場合が多いのではないだろうか。そもそも入試の有り様そのものの見直しを提案、問題提起しているが(再生核研究所声明20:大学入試センター試験の見直しを提案する),ポルトガルの制度を紹介して、関係者の検討を要望して置きたい:
有り様は簡単で、そもそも大学は入試業務を殆どせず、作成された資料を元に、選択するだけである。入試問題作成は国の機関が行い、入試は高校を会場に高校が期間を掛けて行なう。― このような入試で、個々の数学教員や、大学で膨大な仕事を課せられている日本の状況と比べて、唖然とさせられた。大きな仕事からの開放である。― 勿論、これは国立大学の場合であるが、私立大学などでも上記資料を参考にしているのではないだろうか。
さらに、女性数学者の割合が、殆ど自然に男女、同数であることは 数学の研究、教育、そして教室の雰囲気を日本のそれらとは相当に違ったものにしている。それらは、家庭と大学の仕事が両立出来る基礎があることを示しており、ポルトガルの大学は、相当に優雅であると表現されるだろう。7年目には 日曜日が週に有るように サバーティカルライトで1年間大学の仕事から解放される。それは、何を意味するだろうか。
以 上
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