再生核研究所声明332(2016.11.17) 再生核の著書: Theory of Reproducing Kernels and Applications, Developments in Mathematics 44 © Springer 2016 について ー 内容
本書は澤野嘉宏氏の凄い才能と、献身的な努力で8年以上の歳月を掛けて、出版されたので、まず澤野氏に深く感謝したい。さらに、研究と著書に 本質的に貢献された 山田正人、松浦勉、山田陽、藤原宏志 氏に、また本書謝辞欄に挙げられた多くの研究者に、英文や原稿形式について深く検討され、素晴らしい装填で本書を出版されたSpringerの方々に深く感謝したい。幾つかの観点に分けて本書について、触れていきたい。今回は内容について述べたい。
本書は再生核の一般論とその応用を広く纏めたもので、本文452ページで大著と言える。大勢であるが、理工系学部程度の知識を前提にすれば、本書の内容を殆ど記述できるのは、既に本書の特徴であると言える。実際、現在殆どの数学の研究学術書が高度化、専門家、細分化して言わば、専門外の人たちには興味、関心を持たれず、また理解できないものが殆どである実情からみれば、本書はそのような観点で特徴的な内容であると言える。実際、本書は学部での、ベクトル解析、微分方程式、複素解析、関数解析、フーリエ解析、ラプラス変換などに続く、多くは新規な研究成果の内容である。再生核の理論の内容よりも、本書を学習するとどのような効果があるのか、何ができるのかという、観点で内容を述べたい。
本書の背景に存在する精神はピタゴラスの定理の一般論、展開である。線形変換で、逆変換を確立する方法が広く議論される、微分・積分方程式を含むいろいろな方程式の近似的な解法が議論される。ここで、特に計算機で具体的に解を構成する方法が理論と共に具体的な公式の形で与えられる。ラプラス変換の実逆変換公式が確立されている。藤原宏志氏は藤原氏の無限精度の概念による計算機システムで既に8年以上も前に6000元の一般(密行列)の線形方程式を有効桁数600桁の精度で解かれて、難問とされてきた実ラプラス変換の実際的な解法に成功・可能にされた。その数学的な理論と様々な方程式の計算機による解法が与えられている ― それは、有効な新しい型の離散化法、究極離散化法として、発展、提案されている。その結果、究極と考えられるサンプリングの定理 ― 連続量を可附番無限な量で表現する原理 ― も与えられている。再生核の理論から美しいいろいろ基本的な不等式が導かれるが、具体的な例が与えられ、再生核の一般理論における深い理論の象徴として、山田陽氏の不等式における等号問題を論じている。関数の近似や極値問題 は本書の基本的な課題である。非線形変換を線形変換で捉える原理が再生核の理論で考えられている。非線形システムと線形システムの入力と出力の関係から、システムを定める同定問題が議論されている。一般分数関数の概念・表現は 最近のゼロ除算の概念 に発展させたコンボルーシオン方程式の解法を与える新規な概念で新しい研究課題である。― 特別な帰結として、ゼロで割ること、ゼロ除算はその自然な意味で可能であり、結果自体z/0=0は自明である。― 有限個のデータから、方程式の近似解を構成する方法が、計算機による解法の視点から、多くの具体的な偏微分方程式や特異積分方程式の解について与えられている。再生核に関する最近の話題も広く言及されている; すなわち、いろいろなノルム不等式、関数族の包含関係の特定問題、関数の滑らかさを計算機で判定する方法、偏微分方程式における初期値問題をそれに関係する方程式の固有関数族を用いて具体的に構成する方法、一般的な線形写像の逆写像の表現方法、超関数デルタ関数及びグリーン関数と再生核の関係など。拡張された意味にける再生核は超関数デルタの一般化と考えられ、その結果、関数族からなる可分なヒルベルト空間は一般化再生核空間と見なせることが導かれている。さらに、付録で、任意写像の逆写像を考える非常に一般的で抽象的な理論の発展から導かれた、陰関数の存在定理が保証する陰関数の具体的な陽な表現定理が述べられている。この基本的な結果は特記されるべきであると考えられる。本書は再生核の理論の総合的な著書になるように、歴史や文献が出来るだけ詳しく述べられている。再生核の理論はサポートベクトルマシン、統計的学習理論、データ解析、グラフの理論、ランダムフィールド評価問題、確率過程論、逆問題、素粒子論、量子力学などと深い関係があり、それらの様子にも触れられている。基本的で具体的な応用の豊かさから、再生核の理論は数学関係者を越えて、微積分学や線形代数学と同様に多くの数理科学の関係者に有益な数学であると考えられる。
以 上
2016.11.12.21:38
2016.11.13.06:28
2016.11.13.10:15 晴天、散歩の後。
2016.11.13.13:00 暖かな良い日和。
2016.11.13.16:06
2016.11.13.20:51
2016.11.14.06:04 ほぼ良い。
2016.11.14.10:10 曇り。
2016.11.14.14:08 曇り。
2016.11.15.06:17 昨夜道脇氏のNHKテレビをみる.
2016.11.15.10:05 雨上がりの美しい、紅葉を見てくる。
2016.11.15.14:40 昼職後、柚の収穫を行う。
2016.11.15.19:50 スーパームーンの下、山間部を散歩してくる。
2016.11.16.06:12 スーパームーンの美しい月、快晴、暖かな朝。
2016.11.16.09:50 紅葉の進んだ山間部の散歩の後。
2016.11.16.13:45 紅葉の中、山奥まで散歩して来る。快晴。
2016.11.16.20:00 良い。
2016.11.17.05:57 スーパームーンの美しい、輝く月、快晴、暖かな朝。
2016.11.17.06:37 完成、公表。
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