2016年11月19日土曜日

芸能界を引退する嗣永桃子さんは、理想的な「算数の先生」になれるかもしれない。 - 深沢真太郎


芸能界を引退する嗣永桃子さんは、理想的な「算数の先生」になれるかもしれない。 - 深沢真太郎

先日、アイドルグループ「カントリー・ガールズ」の"ももち"こと嗣永桃子(つくながももこ)さんが芸能界の引退を表明しました。報道によれば、引退後は教育者として活動されるとか。芸能界で活躍しながら大学の教育学部に通い、教員免許を取得されたようです。

私はできれば彼女のような経歴を持つ方に、実際に算数など「数字の教育」に携わって欲しいと思っています。その理由は、アイドルとして活躍された方には「数字を苦手にさせない」教育者になれる条件が揃っているからです。言い換えれば、子供を“数字アタマ”にさせる資質があるのです。
 

■演じる技術

まず、「苦手にさせない」教育者の条件は役者であることです。その点、彼女はテレビであれだけのキャラクター(いわゆる“ぶりっこキャラ”)を演じてきたプロフェッショナルです。想像ですが、テレビで見るあのキャラクターはあくまでテレビ用のものでしょう。

そんな彼女なら、教育者になってもおそらく「数字が大好きなおねえさん」を演じ、教室の中でもっとも楽しそうに数字と戯れている“演技”をするでしょう。たとえご本人にとって算数が苦手な教科だとしても。
 

■ファンを喜ばせる技術

また、元アイドルですからファンをつくる術、そしてそのファンを喜ばせる術も知っているはずです。教育者になれば間違いなく子供たちを自分のファンにしてしまうことでしょう。
そしてそのファン(=子供たち)がどうすれば算数の時間を楽しんでくれるか知恵を絞るはずです。もしかしたら、九九の暗記すらも何かしら楽しい替え歌で教えてしまうかもしれません。

このように、アイドルという仕事の特徴は、初等教育において重要となる「得意にさせる必要はないけれど、苦手にさせてはいけない」という考え方と親和性が高いと考えます。特に算数の教育においては極めて重要です。
 

■強烈な苦手意識は小学校で生まれる

この分野はいちど苦手になってしまうと、大人として欠かせないリテラシーである「数的操作」や「論理思考」が育たなくなります。運動神経や芸術的感覚も大切ですが、“数字アタマ”であることは将来ビジネスパーソンとして幸福に生きていくことに直結します。

実際、私がビジネスパーソンや大学生の教育現場にいて感じるのは「数字」に対する強烈な苦手意識を持つ方の多さです。中には「私は小学校4年生で諦めました」「分数の計算がつまらなくてイヤになった」といったコメントも。楽しい空間をつくるために演じることができ、しかもファンメイクもできるアイドル経験者は、いま私が考える理想的な算数の先生です。

もちろん算数を「得意」にさせるためには解き方のコツや指導技術も必要ですが、「苦手」にさせないためのポイントはテクニカルなことではなく、指導者のタレント性なのです。
 

■「アイドル→教育者」というキャリアチェンジを歓迎

ですから私は冗談ではなく、テレビで活躍しているアイドルや芸人さんにどんどんキャリアチェンジしていただき、算数を教えて欲しいなと思っています。「難関校に合格させる授業」は難しくとも、間違いなく「苦手にさせない授業」はしてくれるはずです。

逆に言えば、既存の算数や数学の指導者は、テレビで活躍しているアイドルや芸人に学ぶべきことはたくさんあると考えます。メディアに出たほうがよいと言いたいのではありません。専門知識よりもタレント性が求められるということです。機械的に教科書の内容を説明するだけなら人間ではなくロボットで十分です。しかし、それでは“数字アタマ”な日本人は増えていかないでしょう。
 

■「タレント性」という基準

ちなみに、タレント性が人間の苦手意識に影響を与える例は大人の我々にもあります。
たとえば「人混みが苦手」という人は多いですし、満員電車などはその代表例です。しかし、そんな人でも自分の好きなアーティストのライブでは、きっとその場を楽しんでいるはずです。

あるいは読書が苦手で普段は本を読まない人でも、自分の好きな女優さんがエッセイ本を出版したらその本を迷わず購入し、ワクワクしながら読む事でしょう。そのタレントが好きというファン心理は、苦手意識や不快感を忘れさせてしまうほど強いチカラを持つのです。

余談ですが、ロシアにとても若くてセクシーな女性数学教師がいることが話題になっていると先日インターネットの記事で読みました。その情報はSNSなどで拡散され、男性と思われる人物が「こんな先生が数学の授業をするなら絶対に勉強する」と冗談混じりにコメントしていました。

品のないエピソードと思われるかもしれませんが、私はこのコメントは日本の算数や数学の教育に不足している本質を見事に突いているコメントだと思っています。いきなり「算数が好き」ではなく、まずは「先生が好き」なのです。

冒頭でご紹介した嗣永桃子さんは、そんな理想的な算数の先生になれる可能性がある人物です。報道によれば引退は2017年6月とのことですが、もし小学校の先生になることがあるならば、教育者としての嗣永桃子さんの活躍に期待したいと思います。

【関連記事】http://blogos.com/article/198500/ 
読んでためになりました:

再生核研究所声明325(2016.10.14) ゼロ除算の状況について ー 研究・教育活動への参加を求めて
アリストテレス以来、あるいは西暦628年インドにおけるゼロの記録と、算術の確立以来、またアインシュタインの人生最大の懸案の問題とされてきた、ゼロで割る問題 ゼロ除算は、本質的に新しい局面を迎え、数学における初歩的な部分の欠落が明瞭になってきた。ここ70年を越えても教科書や学術書における数学の初歩的な部分の期待される変更 かつて無かった事である。ユークリッドの考えた空間と解析幾何学などで述べられる我々の空間は実は違っていた。いわゆる非ユークリッド空間とも違う空間が現れた。不思議な飛び、ワープ現象が起きている世界である。ゼロと無限の不思議な関係を述べている。これが我々の空間であると考えられる。
そこで、最近の成果を基に現状における学術書、教科書の変更すべき大勢を外観して置きたい。特に、大学学部までの初等数学において、日本人の寄与は皆無であると言えるから、ゼロ除算の教育、研究は日本人が数学の基礎に貢献できる稀なる好機にもなるので、数学者、教育者など関係者の協力、参加をお願いしたい。
先ず、数学の基礎である四則演算において ゼロでは割れない との世の定説を改め、自然に拡張された分数、割り算で、いつでも四則演算は例外なく、可能であるとする。数学はより美しく、完全であった。さらに、数学の奥深い世界を示している。ゼロ除算を含む体の構造、山田体が確立している。その考えは、殆ど当たり前の従来の演算の修正であるが、分数における考え方に新規で重要、面白い、概念がある。その際、小学生から割り算や分数の定義を除算の意味で 繰り返し減法(道脇方式)で定義し、ゼロ除算は自明であるとし 計算機が割り算を行うような算法で 計算方法も指導する。― この方法は割り算の簡明な算法として児童・生徒たちにも歓迎されるだろう。
反比例の法則や関数y=1/xの出現の際には、その原点での値はゼロであると 定義する。その広範な応用は 学習過程の進展に従って どんどん触れて行くこととする。応用する。
いわゆるユークリッド幾何学の学習においては、立体射影の概念に早期に触れ、ゼロ除算が拓いた新しい空間像を指導する。無限、無限の彼方の概念、平行線の概念、勾配の概念を変える必要がある。どのように、如何に、カリキュラムに取り組むかは、もちろん、慎重な検討が必要で、数学界、教育界などの関係者による国家的取り組み、協議が必要である。重要項目は、直交座標系で y軸の勾配はゼロであること。真無限における破壊現象接線などの新しい性質解析幾何学との美しい関係と調和すべての直線が原点を代数的に通り、平行な2直線は原点で代数的に交わっていること行列式と破壊現象の美しい関係など。三角関数や初等関数でも考え方を修正、補充する。直線とは、そもそも、従来の直線に原点を加えたもので、平行線の公理は実は成り立たず、我々の世界は、ユークリッド空間でも、いわゆる非ユークリッド幾何学でもない、新しい空間である。原点は、あらゆる直線の中心になっている。
大学レベルになれば、微積分、線形代数、微分方程式、複素解析をゼロ除算の発展の成果で修正、補充して行く。複素解析学におけるローラン展開の学習以前でも形式的なローラン展開(負べき項を含む展開)の中心の値をゼロ除算で定義し ― ゼロ除算算法、広範な応用を展開する。最も顕著な例は、tan 90度 の値がゼロであることで、いろいろ幾何学的な説明は、我々の空間の認識を変えるのに教育的で楽しい題材である。特に微分係数が正や負の無限大に収束(発散)する時微分係数をゼロと修正することによって、微分法の多くの公式や定理の表現が簡素化され、教科書の結構な記述の変更が要求される。媒介変数を含む多くの関数族は、ゼロ除算 算法統一的な視点が与えられる。多くの公式の記述が簡単になり、修正される。新しい、関数の素性が見えてくる。
複素解析学において 無限遠点はゼロで表現されると、コペルニクス的変更(無限とされていたのが実はゼロだった)を行い、極の概念を次のように変更する。極、特異点の定義は そのままであるが、それらの点の近傍で、限りなく無限の値に近づく値を位数まで込めて取るが、特異点自身では、ゼロ除算に言う、有限確定値をとるとする。その有限確定値のいろいろ幾何学的な意味を学ぶ。古典的な鏡像の定説;原点の 原点を中心とする円に関する鏡像は無限遠点であるは、誤りであり、修正し、ゼロであると いろいろな根拠によって説明する。これら、無限遠点の考え方の修正は、ユークリッド以来、我々の空間に対する認識の世界史上における大きな変更であり、数学を越えた世界観の変更を意味している。これはアリストテレスの世界の連続性の概念を変えるもので強力な不連続性を示している。 ― この文脈では天動説が地動説に変わった歴史上の事件が想起される。
ゼロ除算は 物理学を始め、広く自然科学や計算機科学への大きな影響があり、さらに哲学、宗教、文化への大きな影響がある。しかしながら、ゼロ除算の研究成果を教科書、学術書に遅滞なく取り入れていくことは、真智への愛、真理の追究の表現であり、四則演算が自由にできないとなれば、数学者ばかりではなく、人類の名誉にも関わることである。実際、ゼロ除算の歴史は 止むことのない闘争の歴史とともに人類の恥ずべき人類の愚かさの象徴となるだろう。世間ではゼロ除算について不適切な情報が溢れていて 今尚奇怪で抽象的な議論によって混乱していると言える。― 美しい世界が拓けているのに、誰がそれを閉ざそうと、隠したいと、無視したいと考えられるだろうか。我々は間違いを含む、不適切な数学を教えていると言える: ― 再生核研究所声明 41: 世界史、大義、評価、神、最後の審判 ―。
地動説のように真実は、実体は既に明らかである。 ― 研究と研究成果の活用の推進を 大きな夢を懐きながら 要請したい。 研究課題は基礎的で関与する分野は広い、いろいろな方の研究・教育活動への参加を求めたい。素人でも数学の研究に参加できる新しい初歩的な数学を沢山含んでいる。ゼロ除算は発展中の世界史上の事件、問題であると言える。
以 上
追記:
*156  Qian,T./Rodino,L.(eds.): Mathematical Analysis, Probability and
 Applications -Plenary Lectures: Isaac 2015, Macau, China.
 (Springer Proceedings in Mathematics and Statistics, Vol. 177)  Sep. 2016 305 pp.            (Springer)
Paper:Division by Zero z/0 = 0 in Euclidean Spaces
Dear Prof. Hiroshi Michiwaki, Hiroshi Okumura and Saburou Saitoh
With reference to above, The Editor-in-Chief IJMC (Prof. Haydar Akca) accepted the your paper after getting positive and supporting respond from the reviewer.
Now, we inform you that your paper is accepted for next issue of International Journal of Mathematics and Computation 9 Vol. 28; Issue  1, 2017),
数学基礎学力研究会のホームページ
URL
再生核研究所声明327(2016.10.18)  数学教育についての提案
次で、数学教育の重要性、効用性について触れている:

再生核研究所声明313(2016.08.01) 良い数学教育の推進を
― 数学を通して、人類が交流でき、世には道理、秩序が 存在すると理解できるだろう。分かり易いスポーツを通して、ドラマを見て、芸術を通して理解するは 世に多いが、数学の効用をここでは強調したい。道理、秩序に対する認識には 数学の効用は大きく、上記 公正の原則の理解にも 大きく寄与するのではないだろうか。数学教育の充実を国際的な視点で提案したい。その留意点を纏めて置きたい:
1) 世には共通の論理があることを理解し、論理的な思考を学習する。
2) 数学の論理的な面には、美しさとuniverseの、世の秩序を述べていることを学ぶ。
3) 非ユークリッド幾何学の出現過程を良く学び、真理を追求する精神感情と論理の関係を学ぶ。批判精神、理性、客観性について学ぶ。予断と偏見、思い込み、囚われやすい人間の精神を掘り下げる。
ここで、数学教育の充実とは、いわゆる数学の学力、問題解決に重点をおいた従来の学習ではなく、上記のような数学教育を通して身に付く数学の精神に重点をおいた教育である。他方数学の学力を付けることに偏りすぎたり、学力を競争させたりして 世に多くの数学嫌いな人たちを育てていることを大いに反省したい。数学の美しさ、楽しさを教えることが第一であると心がけなければならない。
数学愛好者の増大は かつて和算が広く民衆に普及していたように、環境にも優しく、人間の修行にも、精神衛生上も、また創造性を養い、考える力を育成するにも大いに貢献するのではないだろうか。囲碁や将棋、歌会、俳句会など良い趣味集団を構成しているが、数学愛好者クラブなど大いに進められるべきではないだろうか。新聞やテレビ、マスコミ、週刊誌などでもどんどん話題を取り上げ、また奨励されるべきではないだろうか。社会の浄化と低俗化防止にも貢献するのではないだろうか。―

と述べた。古くはプラトン学派の門に、幾何学知らざる者この門をくぐるべからず、ナポレオンが軍隊を強くするには数学の教育が大事であると述べていることや、現中国政府の数学重視の姿勢も注目される。
ここでは、明確な提案が閃いたので纏めて置きたい。まず現状の分析と問題であるが、数学は選別、能力を評価する重要な科目になっていて、受験勉強の強い枠に縛られてカリキュラムは相当に厳格に範囲が定められている。そのため限られた範囲での特訓の要素が強く、現実には理想的な教育の有り様からの乖離が甚だしい状態と言える。標語的には、ゆっくり面白いところを追求しようとすれば、そんなことでは、時間内に解答できない、そのようなものは型として、このように対応すれば良いと、薄っぺらな教育内容になり、多くの場合才能ある学生の みずみずしい知的好奇心 を失なわせ、薄っぺらな学習で数学そのものを嫌う学生を多く育てている現実があると考えられる。これは創造性や好奇心を育てる教育と いわゆる学力をつけるための勉強の乖離の問題である。さらに顕著な事実として、高校までの数学と大学での数学の大きな乖離は 相当に広く認められる現象ではないだろうか。多くの高校生は、大学に入って、数学とはそんなに広く、深く、雄大なものであるかと知って驚くのではないだろうか? また、教育現場の感じも相当に違う感じを受けるだろう。
― このような乖離は、研究成果と学部教育の内容についても言えることに注意しておきたい ―。
背に腹は変えられない、受験勉強は無視できない現実であるから、この問題を改善する具体的な提案として、例えば、週1時間とか、月1時間、カリキュラムにとらわれない数学の時間を用意して、カリキュラムに関係する素材や、新しい話題、面白い歴史的な話題から題材をとり、本来数学の教育に求められるような方向での教育を行うようにする。このような時間は、先生の新鮮な研究、研修にも繋がる面があって 先生の柔軟な精神の涵養にも良いのではないだろうか。さらに視野を広げるためにも、いろいろな講演会の企画なども良いのではないだろうか? 提案したい。数理科学の文化の裾野を広げる努力をしたい。近年は教育・研究環境の厳しさと専門の深さ、困難さで、専門的に深くなりすぎて、数理科学など幅の広さや基礎への関わりが薄くなっているように感じられる。その様な事情を反映させて、教育が疎かになる傾向にもなっているのではないかと危惧される。成果が数字に表されるような貧しい教育である。

数学の教育については、下記も参照:

再生核研究所声明315(2016.08.08) 世界観を大きく変えた、ユークリッドと幾何学
再生核研究所声明283 (2016.2.8)  受験勉強が過熱化した場合の危惧について
再生核研究所声明260 (2015.12.07) 受験勉強、嫌な予感がした ― 受験勉強が過熱化した場合の弊害
再生核研究所声明 187 (2014.12.8)工科系における数学教育について                 
以 上

再生核研究所声明331(2016.11.04) 提案 ― ゼロ除算の研究は、学部卒論や修士論文の題材に適切
(雨上がり 山間部の散歩で考えが湧いた。ゼロ除算の下記論文は、新しい数学の研究課題で、学部4年生の卒論ゼミの課題、修士論文の研究課題に適切である:

The division by zero is uniquely and reasonably determined as 1/0=0/0=z/0=0 in the natural extensions of fractions. We have to change our basic ideas for our space and world:
http://www.diogenes.bg/ijam/contents/2014-27-2/9/9.pdf
Qian,T./Rodino,L.(eds.): Mathematical Analysis, Probability and Applications -Plenary Lectures: Isaac 2015, Macau, China. (Springer Proceedings in Mathematics and Statistics, Vol. 177) Sep. 2016        305 pp. (Springer) 
Paper:Division by Zero z/0 = 0 in Euclidean Spaces
Dear Prof. Hiroshi Michiwaki, Hiroshi Okumura and Saburou Saitoh
With reference to above, The Editor-in-Chief IJMC (Prof. Haydar Akca) accepted the your paper after getting positive and supporting respond from the reviewer.
Now, we inform you that your paper is accepted for next issue of International Journal of Mathematics and Computation 9 Vol. 28; Issue  1, 2017),
数学基礎学力研究会のホームページ
URL
簡単に理由を纏めて置きたい。
1) 基礎知識が学部3年生程度で十分で、基本的な結果を議論でき、新しい結果を導ける余地が十分に存在する。新規で、多くの人が興味を持つ課題で国際的にも広く交流できる。
2) 内容は、永い歴史を有する世界史の問題に関わり、空間の考え、勾配、微分、接線、連続性、無限など数学の基礎概念に関与している。相対性理論、ブラックホール、ビッグバン、計算機障害などにも関係している。
3) もともと歴史的な大問題で、ゼロ除算として永い歴史と文化に関わり、広い視点が発展中の生きた数学の中に持てる。
4) 論理には厳格性、精密性、創造性が要求され、数学の精神の涵養に適切である。予断と偏見、思い込みの深さなどについて人間を知ることが出来る。
5) 基礎数学の広範な修正構想に参画でき、物理学など広い研究課題への応用が展望でき、ゼロ除算算法のような新規で基礎数学の新しい手段を身に付けることが出来る。
6) 現在数学は高度化、細分化して、永い学習期間を経て創造的な仕事に取り掛かれるのが普通であるが、ゼロ除算の研究課題では初期段階から、新しい先端の研究に取り掛かれる基礎的な広い研究領域が存在する。ゼロ除算の研究課題は、世にも稀なる夢のある研究課題であると考えられる。― アリストテレス以来、あるいは西暦628年インドにおけるゼロの記録と、算術の確立以来、またアインシュタインの人生最大の懸案の問題とされてきた、ゼロで割る問題 ゼロ除算は、本質的に新しい局面を迎え、数学における初歩的な部分の欠落が明瞭になってきた。ここ70年を越えても教科書や学術書における数学の初歩的な部分の期待される変更 かつて無かった事である。ユークリッドの考えた空間と解析幾何学などで述べられる我々の空間は実は違っていた。いわゆる非ユークリッド空間とも違う空間が現れた。不思議な飛び、ワープ現象が起きている世界である。ゼロと無限の不思議な関係を述べている。これが我々の空間であると考えられる(再生核研究所声明325(2016.10.14) ゼロ除算の状況について ー 研究・教育活動への参加を求めて)。

偉大なる研究は 2段階の発展でなされる という考えによれば、ゼロ除算には何か画期的な発見が大いに期待できるのではないだろうか。 その意味では 天才や超秀才による本格的な研究が期待される。純粋数学として、新しい空間の意義、ワープ現象の解明が、さらには相対性理論との関係、ゼロ除算計算機障害問題の回避など、本質的で重要な問題が存在する。 他方、新しい空間について、ユークリッド幾何学の見直し、世のいろいろな現象におけるゼロ除算の発見など、数学愛好者の趣味の研究にも良いのではないだろうか。 ゼロ除算の研究課題は、理系の多くの人が驚いて楽しめる普遍的な課題で、論文は多くの人に愛される論文と考えられる。

以 上
再生核研究所声明332(2016.11.17) 再生核の著書: Theory of Reproducing Kernels and Applications, Developments in Mathematics 44 © Springer 2016 について ー 内容

本書は澤野嘉宏氏の凄い才能と、献身的な努力で8年以上の歳月を掛けて、出版されたので、まず澤野氏に深く感謝したい。さらに、研究と著書に 本質的に貢献された 山田正人、松浦勉、山田陽、藤原宏志 氏に、また本書謝辞欄に挙げられた多くの研究者に、英文や原稿形式について深く検討され、素晴らしい装填で本書を出版されたSpringerの方々に深く感謝したい。幾つかの観点に分けて本書について、触れていきたい。今回は内容について述べたい。
本書は再生核の一般論とその応用を広く纏めたもので、本文452ページで大著と言える。大勢であるが、理工系学部程度の知識を前提にすれば、本書の内容を殆ど記述できるのは、既に本書の特徴であると言える。実際、現在殆どの数学の研究学術書が高度化、専門家、細分化して言わば、専門外の人たちには興味、関心を持たれず、また理解できないものが殆どである実情からみれば、本書はそのような観点で特徴的な内容であると言える。実際、本書は学部での、ベクトル解析、微分方程式、複素解析、関数解析、フーリエ解析、ラプラス変換などに続く、多くは新規な研究成果の内容である。再生核の理論の内容よりも、本書を学習するとどのような効果があるのか、何ができるのかという、観点で内容を述べたい。
本書の背景に存在する精神はピタゴラスの定理の一般論、展開である。線形変換で、逆変換を確立する方法が広く議論される、微分・積分方程式を含むいろいろな方程式の近似的な解法が議論される。ここで、特に計算機で具体的に解を構成する方法が理論と共に具体的な公式の形で与えられる。ラプラス変換の実逆変換公式が確立されている。藤原宏志氏は藤原氏の無限精度の概念による計算機システムで既に8年以上も前に6000元の一般(密行列)の線形方程式を有効桁数600桁の精度で解かれて、難問とされてきた実ラプラス変換の実際的な解法に成功・可能にされた。その数学的な理論と様々な方程式の計算機による解法が与えられている ― それは、有効な新しい型の離散化法、究極離散化法として、発展、提案されている。その結果、究極と考えられるサンプリングの定理 ― 連続量を可附番無限な量で表現する原理 ― も与えられている。再生核の理論から美しいいろいろ基本的な不等式が導かれるが、具体的な例が与えられ、再生核の一般理論における深い理論の象徴として、山田陽氏の不等式における等号問題を論じている。関数の近似や極値問題 は本書の基本的な課題である。非線形変換を線形変換で捉える原理が再生核の理論で考えられている。非線形システムと線形システムの入力と出力の関係から、システムを定める同定問題が議論されている。一般分数関数の概念・表現は 最近のゼロ除算の概念 に発展させたコンボルーシオン方程式の解法を与える新規な概念で新しい研究課題である。― 特別な帰結として、ゼロで割ること、ゼロ除算はその自然な意味で可能であり、結果自体z/0=0は自明である。― 有限個のデータから、方程式の近似解を構成する方法が、計算機による解法の視点から、多くの具体的な偏微分方程式や特異積分方程式の解について与えられている。再生核に関する最近の話題も広く言及されている; すなわち、いろいろなノルム不等式、関数族の包含関係の特定問題、関数の滑らかさを計算機で判定する方法、偏微分方程式における初期値問題をそれに関係する方程式の固有関数族を用いて具体的に構成する方法、一般的な線形写像の逆写像の表現方法、超関数デルタ関数及びグリーン関数と再生核の関係など。拡張された意味にける再生核は超関数デルタの一般化と考えられ、その結果、関数族からなる可分なヒルベルト空間は一般化再生核空間と見なせることが導かれている。さらに、付録で、任意写像の逆写像を考える非常に一般的で抽象的な理論の発展から導かれた、陰関数の存在定理が保証する陰関数の具体的な陽な表現定理が述べられている。この基本的な結果は特記されるべきであると考えられる。本書は再生核の理論の総合的な著書になるように、歴史や文献が出来るだけ詳しく述べられている。再生核の理論はサポートベクトルマシン、統計的学習理論、データ解析、グラフの理論、ランダムフィールド評価問題、確率過程論、逆問題、素粒子論、量子力学などと深い関係があり、それらの様子にも触れられている。基本的で具体的な応用の豊かさから、再生核の理論は数学関係者を越えて、微積分学や線形代数学と同様に多くの数理科学の関係者に有益な数学であると考えられる。

以 上

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