2015年12月9日水曜日

50テスラ超強磁場まで維持される2次元超伝導状態を発見-相対論的効果により出現する新奇超伝 関連研究者

50テスラ超強磁場まで維持される2次元超伝導状態を発見-相対論的効果により出現する新奇超伝
関連研究者
斎藤 優
斎藤 優 科学研究費助成事業 
東京大学・特別研究員(DC1) - 2015年度(平成27年度)
中村 康晴
中村 康晴 科学研究費助成事業 
新潟大学・特別研究員(DC1) - 2014年度(平成26年度)
小濱芳允
小濱芳允 科学研究費助成事業 
東京大学・物性研究所・助教 - 2015年度(平成27年度)
研究分野 基礎化学 
キーワード 強磁場 熱容量測定 磁性 低温物性 熱伝導率
笠原裕一
笠原裕一 科学研究費助成事業 
京都大学・理学(系)研究科(研究院)・准教授 - 2015年度(平成27年度)
研究分野 物理学 
キーワード 超伝導対称性 電気二重層トランジスタ 電界誘起超伝導 高温超伝導 層状窒化物超伝導体
徳永将史
徳永将史 新規材料による高温超伝導基盤技術 科学研究費助成事業
東京大学・物性研究所・准教授 - 2013年度(平成25年度)
研究分野 物理学 
キーワード 強磁場 磁気光学イメージング 磁性形状記憶合金 物性実験 磁気熱量効果
野島勉
野島勉 科学研究費助成事業 
東北大学・金属材料研究所・准教授 - 2014年度(平成26年度)
研究分野 応用物理学・工学基礎 物理学 
キーワード トポロジカル絶縁体 多層膜超伝導体 電気二重層トランジスタ 空間反転対称性の破れ ホウ化物超伝導体
岩佐義宏
岩佐義宏 独立行政法人科学技術振興機構 チーム型研究 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業 
東京大学・工学(系)研究科(研究院)・教授 - 2013年度(平成25年度)
研究分野 ナノテクノロジー・材料・光技術 複合化学 ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ 物理学 応用物理学・工学基礎
キーワード イオントロニクス 機能デバイス カーボンナノチューブ 電気二重層トランジスタ イオン液体・ゲル
発表者
斎藤優 (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程1年)
中村康晴(新潟大学大学院自然科学研究科 数理物質科学専攻 博士課程2年) 
M. S. Bahramy(東京大学大学院 工学系研究科附属量子相エレクトロニクス 研究センター・物理工学専攻 特任講師/理化学研究所 創発物性科学 研究センター創発計算物理研究ユニットユニットリーダー)
小濱 芳允(東京大学 物性研究所 附属国際超強磁場科学研究施設 特任助教)
笠原 裕一(京都大学大学院 理学研究科 物理学第一教室 准教授) 徳永将史(東京大学物性研究所附属国際超強磁場科学研究施設 准教授)
野島勉 (東北大学金属材料研究所准教授)
柳瀬 陽一(京都大学大学院 理学研究科 物理学第一教室 准教授)
岩佐 義宏(東京大学大学院 工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻 教授 / 理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発デバイス研究チーム チームリーダー)

発表のポイント
市販ネオジウム磁石の 100 倍以上の超強磁場中で維持される 2 次元超伝導体を発見。
電子状態の第一原理計算とそれに基づく超伝導理論を用いることにより、実験結果を相対論的効果で説明することに成功。
磁場中新奇超伝導現象の探索や磁場に強い超伝導材料開発への新機軸となることが期待。

発表概要
東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻の岩佐義宏 教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発デバイス研究チーム チームリ ーダー兼任)、M. S. Bahramy特任講師(理化学研究所創発物性科学研究センター創発計算 物理研究ユニットユニットリーダー)、同研究科物理工学専攻の斎藤優 大学院生らの研究グ ループは、同大学物性研究所 徳永将史 准教授、京都大学大学院理学研究科 柳瀬陽一 准教授 と笠原裕一 准教授、東北大学金属材料研究所 野島勉 准教授らと共同で、原子膜材料(注1)で ある二流化モリブデン(MoS2)の電気二重層トランジスタ(EDLT)構造(注2)において、 MoS2 表面に誘起される原子1層分の厚さの極めて薄い 2 次元超伝導体が、層に平行な方向の 磁場に対して極めて強い耐久性を示すことを発見しました。さらに、第一原理に基づく理論計 算(注3)により、この超伝導体では超伝導電子対のスピンが層に対し垂直方向に固定されてい る、前例にない特殊な超伝導状態が実現していることを初めて実証しました。本研究成果は、 対称性が破れた 2 次元電子系における新奇超伝導という新たな学術分野を切り開く礎となる だけでなく、強磁場に対して極めて安定な超伝導材料を開発するための新機軸となることが期 待されます。
本研究成果は、英国科学雑誌『Nature Physics』のオンライン(平成 27 年 12 月 7 日版) に掲載されます。

本研究は科学研究費補助金特別推進研究などの支援を受けて行われました。


発表内容

背景
超伝導は電気抵抗がゼロになる現象で、消費電力を発生することなく電気を流すことがで きるため、省エネルギーにつながる次世代の技術として期待され、基礎及び応用的な面から世 界中で研究されています。物質中の個々の電子は、電荷に加え磁石の性質である「スピン」を 持ちます。多くの超伝導体では、共通してこのスピンが逆方向に向いた 2 つの電子が対をな す状態が形成されるため、ある大きさ以上の磁場を加えることによってスピンの同方向へ整列 させようとする力が働くと、超伝導が不安定になり、壊れてしまう原因となります。しかしな がら、医療現場で利用されている磁気共鳴イメージング装置(MRI)や、交通・輸送分野で活躍 が期待されるリニアモーターカーなどは強磁場下で超伝導を利用しているため、この磁場の上 限を向上させた強磁場下で安定な超伝導体をデザインし作製することは、学術的に中心的な課 題の一つであり、かつ材料開発において世界的に急務となっています。この候補物質として原 子層レベルまで薄くした 2 次元超伝導体が挙げられ、実際様々な形態の 2 次元超伝導の研究 が世界中で盛んに行われています。

研究内容
本研究グループは、原子膜材料の一種である層状物質・二硫化モリブデン(MoS2)の高品質 な単結晶を用いて、電界効果トランジスタの一種である EDLT 構造(図1)を作製しました。 この構造では、超強電界によって誘起された電子の集団が MoS2 の単結晶表面に蓄積できるた め、原子層 1 層分の厚さの、極めて薄い、究極の 2 次元超伝導を人工的に実現することが可 能です。本研究では、この極薄の 2 次元超伝導体の磁場への耐久性を調べるために、東京大 学物性研究所附属国際超強磁場科学研究施設で約 55 テスラの超強磁場中における超伝導転移 現象を電気抵抗測定により調べました(テスラは磁場の単位(注4))。この 55 テスラという磁 場は、市販のネオジウム磁石(約 0.5 テスラ)の 100 倍以上の大きさに相当します。測定の結 果、極低温領域の1.5 ケルビン(マイナス271.7°C)において、原子層に平行方向の臨界磁場 (超伝導が維持できる磁場の最大値)は 52 テスラまで上昇することを発見しました。これは 従来型の超伝導体を仮定した場合の理論的予測値(常磁性極限またはパウリ極限と呼ばれる 値)の 4 倍以上の大きさになります(図2)。本研究グループは、さらに第一原理に基づく 電子状態の理論計算、およびその計算結果を用いた臨界磁場の理論的導出を行った結果、この 超伝導体では、MoS2 単層結晶構造の特殊性である面内の反転対称性の破れ(図3)と相対論 的効果により局所的な内部磁場が発生し、超伝導電子対のスピンが、面直方向に強く固定され ていることを突き止め、これが原因となって外部磁場に対して極めて強いことを明らかにしま した。これは世界的にも前例にない特殊な超伝導状態(図4)が MoS2 薄膜で実現しているこ とを示しています。

今後の展望
本研究により、反転対称性が破れた原子層 1 層分の厚さの 2 次元超伝導体では、面に平行 な外部磁場に対して極めて耐久性の高い特殊超伝導が実現されることが分かりました。今後、 この原子層超伝導の特異な超伝導特性や電子対形成機構が明らかになることが見込まれます。 本研究成果は、対称性が破れた 2 次元超伝導という新たな学術分野を切り開く礎となるだけ でなく、強磁場に対して極めて安定的な超伝導材料を開発する指針となることが期待されます。

発表雑誌
雑誌名:「Nature Physics」(平成 27 年 12 月 7 日 オンライン速報版) 論文タイトル:「Superconductivity protected by spin-valley locking in ion-gated MoS2」 著者:Yu Saito*, Yasuharu Nakamura, Mohammad Saeed Bahramy, Yoshimitsu Kohama, Jianting Ye, Yuichi Kasahara, Yuji Nakagawa, Masaru Onga, Masashi Tokunaga, Tsutomu Nojima, Youichi Yanase, Yoshihiro Iwasa*
DOI 番号:10.1038/nphys3580

注意事項
日本時間 12 月 8 日(火)午前 1 時 (英国時間:7 日(月)午後 4 時)以前の公表は禁じられ ています。


用語解説

注1 原子膜材料
2010 年のノーベル物理学賞で有名となったグラフェンなどの 2 次元物質として注目され ている、原子層 1 層あるいは数層で形成される材料。これらの物質の多くはスコッチテ ープ法で劈開(へきかい)し、ナノメートルスケールの厚さの薄膜を容易に作製できるた め、ナノデバイスへの応用の期待が高まっている。

注2 電気二重層トランジスタ(EDLT) 
日常生活の至る所に使われている電化製品の中核を担う電界効果トランジスタ(FET) の絶縁層をイオン液体と呼ばれる特殊な塩(えん)で構成される液体に置き換えたトラン ジスタ(図 1 参照)。液体の塩あるいは塩を溶かした液体の中に 2 つの固体電極を入れ、 電極間に電圧を加えた時に液体と固体の界面にできる帯電層は電気二重層(electric- double-layer:EDL)と呼ぶ。この電気二重層では、塩を構成している陽イオン(正の電 荷を持つ)と陰イオン(負の電荷を持つ)はそれぞれ負と正の電圧が加えられている電極 に引き寄せられ、最終的に電極界面に整列し、同時に電極内では、イオンとは反対の符号 を持つ電荷が界面に引き寄せられている。

注3 第一原理計算
原子レベル、ナノスケールでの物質の基本法則である量子力学に基づいて、原子番号だけ を入力パラメータとして、非経験的に物理機構の解明や物性予測を行う計算手法のこと。 実験では分からないミクロな情報を補うことで、実験結果の理解に役立つだけでなく、最 近では、まだ合成されていない新物質や、実験困難な極限条件下の物質科学研究のために、 欠くことのできない研究手法となりつつある。

注4 テスラ
国際(SI)単位系での磁束密度の単位であり、磁場の強さを表す。市販で最も強いネオジ ウム永久磁石の表面磁束密度は約 0.5 テスラ、フェライト磁石の磁束密度は約 0.1 テスラ、 地磁気は日本では 0.00005 テスラ程度である。


図1:ニ硫化モリブデン MoS2 を用いた電気二重層トランジスタ構造
MoS2 薄膜をトランジスタのチャネルに用いた電気二重層トランジスタ(EDLT)のデバイス構造。 本研究で用いた MoS2 薄膜の厚さは約 20 ナノメートル(nm)。正の電圧を加えることで MoS2 の 表面(原子層 1 層分の厚さ)にのみ電子が蓄積する。


図2:MoS2 -EDLT における面内磁場下における臨界磁場の温度依存性
面内方向に磁場を加えた場合の(上部)臨界磁場(超伝導が壊れる限界の磁場)の温度依存性。最 低温での臨界磁場は、従来の理論での限界値の 4 倍の大きさになっている。


図3:MoS2 の面内方向の反転対称性の破れ
MoS21層の表面に対して垂直方向から見た様子。ある一点を中心に MoS2 表面と同じ面内で 180 度回転、すなわち“反転”を行うともとの構造に一致しない。これを“反転対称性の破れ”という。 相対論的効果とこの反転対称性の破れによって、結晶内部に局所的な有効磁場を生じている。


図4:内部有効磁場によって面直方向に固定された非従来型のクーパー対
クーパー対(超伝導電子対)は、面内の対称性の破れに起因する約 200 テスラの内部有効磁場に よって、層に垂直な方向に固定されているため、層に平行な方向の外部磁場(約 50 テスラ)を加 えてもその超伝導状態は維持される。下の図は、波数空間でのクーパー対の様子を示したものであ る。結晶構造の対称性から六角形の波数領域でペアを組む。https://research-er.jp/articles/view/41312

再生核研究所声明259 (2015.12.04) 数学の生態、旬の数学 ―ゼロ除算の勧め

数学とは何だろうかと問うてきたが(No.81, May 2012(pdf 432kb) www.jams.or.jp/kaiho/kaiho-81.pdf)違う観点から、はじめに数学の生態について外観して、ゼロ除算の研究の勧めを提案したい。

純粋数学の理論は 恰も人間とは無関係に存在して、まるで神の言語のように感じられるが、しかしながら、生活している人間、関与している人間、またそれらを支えている社会が数学の発展の行くすえ、成長の生態に反映されているのは事実である。実際、最も古く、超古典のユークリッド幾何学の発展、現状を見れば、数学の生態の様を見ることができる。その幾何学は 素朴に土地を測るという、現実の要求から生まれ、知的要求で言わば社会との関わりを有しないレベルまで発展して、膨大な理論体系が作られたが、現在では研究の専門家がいない程に確立した理論とされている。研究課題としては終わっていると考えられる。多くの数学も同様な経過を辿っている様を見ることができる。多くは物理学やいろいろな現象から新しい数学が生まれた例は多いが、ここは、素朴な数学の具体例、基本的な問題から、新しい数学が生まれ、発展して、やがて、細分化、孤立化した結果に至って 衰退している様を 数学の生態として捉えることができるだろう。社会との関係が薄く、興味を抱く人が少なくなれば、その数学は衰退すると ―すなわち 誰もやらなくなり、殆ど忘れされていくことになるだろう。この意味で、多くの数学も、花の命や人の一生のように 夢多き時期、華やいだ時期、衰退して行く時期といろいろな時期があると考えるのが妥当ではないだろうか。基本的で、新規な結果がどんどん展開されるときは、その数学の発展期で、活動期にあると考えられる.他方、他との関係が付かず、興味、関心を抱く者が少なくなれば、既に衰退期にあり、研究は労あって成果は小さいと言えよう。
数学を言わば輸入に頼っている国では、価値観も定かではなく、権威ある、あるいは数学の未解決問題の解明や小さな部分の形式的な拡張や精密化に力を入れている現実がある。見るだけでうんざりしてしまう論文は 世に多いと言える:

再生核研究所声明128 (2013.8.27):  数学の危機、 末期数学について
(特に純粋数学においては、考えられるものは何でも考える自由な精神で真理の追究を行なっているから(再生核研究所声明36:恋の原理と心得)、一旦方向が、課題が定まると、どんどん先に研究が進められる。基本的な精神は 内部における新しい概念と問題の発掘、拡張、すなわち一般化と精密化、そして他の数学との関係の追求などである。それらがどんどん進むと、理解出来る者、関心を抱く者がどんどん少なくなり、世界でも数人しか興味を抱く者がいないという状況になり、そのような状況は 今や珍しくはないと言える。 ― 興味以前に分からない、理解できないが 殆どであると言える。 また、何のための結果かと問われる結果が 現代数学の大部分を占めていると言えるだろう。特に数学内部の興味本位の結果は そのような状況に追い込まれ、数学の末期的状況の典型的な形相と言えるだろう。実際、相当なブームに成っていた数学の分野が、興味や関心を失い、世界でも興味を抱く者が殆どいなくなる分野は 結構実在する。それらの様は、さまざまな古代遺跡のように見えるだろう。― 夏草や兵どもが夢の跡(なつくさや つわものどもがゆめのあと):松尾芭蕉。
もちろん、数学は、時間によらないようであるから、オイラーの公式のように、基本的で美しく、いろいろ広く関係しているような結果は、普遍 (不変) 的な価値を 有すると言える。)

どの辺の数学に興味を抱くは、個人の好みであるが、最近考えられているゼロ除算は極めて初期の段階にあり、夢多き段階にあると見られので、広く世に状況を公表して、ゼロ除算の研究を推進したい。
 
ゼロ除算は、西暦628年インドでゼロが記録されて以来の発見で、全く未知の新しい数学、前人未到の新世界の発見である。すなわち、ゼロで割るは 不可能であるがゆえに 考えてはいけないとされてきたところ、ゼロで割ることができるとなったのであるから、全く未知の世界を探検できる。 既に数学的には確立され、物理的、幾何学的にも実証されている。 最近、素人にも分かるような例が結構発見されてきたので、 広く 世にそのような面白い新しい現象の発見を呼びかけたい。まず結果は、分数を拡張して、自然に100割るゼロを考えると、何でもゼロで割れば、ゼロで、面白いのは、どの様に考えを一般化しても、それに限ると言うことが証明されたことである。導入、動機、一意性、すなわち、それ以外の考えが無いこと、それらが、高校レベルの数学で、簡単に証明されたと言う事実である。出版された論文は、高校生にも十分理解できる内容である。具体的な結果は、関数y = 1/x のグラフは、原点で ゼロであると述べている。すなわち、 1/0=0 である。それらは 既に 数の実体である と言える。
― 要点は、上記直角双曲線は、原点で猛烈な不連続性を有し、爆発や衝突、コマで言えば、 中心の特異性などの現象を記述していることである。複素解析学では、1/0として、無限遠点が存在して、美しい世界であるが、無限遠点は 数値としては ゼロが対応する。
現在までに発見されたゼロ除算の実現例を簡単に列挙して置こう:
万有引力の法則で、2つの質点が一致すれば、引力はゼロである;一定の角速度で回転している回転体の中心で、角速度はゼロで、中心で不連続性を有している;光の輝度は 光源でゼロであること:円の中心の鏡像は 無限遠点ではなくて、中心そのものであるという強力な不連続性;電柱の微小な左右の揺れから、真っ直ぐに立った電柱の勾配はゼロであり、左右からマイナス無限とプラス無限の傾きの一致として、傾きゼロが存在している; 代数的には ゼロ除算z/0=0を含む簡単な体の構造が明らかにされ、数体系として自然な体系である複素数体より ゼロ除算z/0=0を含むY体 の方が自然であると考えられること; 点の曲率がゼロであること、などである。
さらに、原始的なテコの原理にもゼロ除算は明確に現れ、初等幾何学にも明確に現れ、例えば、半径Rの円をどんどん大きくすると,円の面積はいくらでも大きくなるが、半径が無限になると突然、その面積はゼロになることが認識された。 Rが無限になると円は直線になり、円は壊れて半空間になるからである。 このことの明確な意味が数学的に捉えられ、一般に図形が壊れる現象をゼロ除算は表していることが分かった。これらの現象は ゼロ除算が 普遍的に存在する現象を説明するもの と考えられる。
また、ゼロ除算において 無限遠点が 数値では ゼロで表されることは 驚嘆すべきことであり、それではuniverse は一体どうなっているのかと、真智への愛の 激しい情念が湧いてくるのではないだろうか。ゼロ除算は、数学ばかりではなく、物理学や世界観や文化にも大きな影響を与える:

再生核研究所声明166(2014.6.20)ゼロで割る(ゼロ除算)から学ぶ 世界観
再生核研究所声明188(2014.12.16)ゼロで割る(ゼロ除算)から観えてきた世界

ゼロ除算の最も関与している研究は まず 第1に複素解析学への影響、複素解析学の研究ではないだろうか。 実際、ゼロ除算は、ローラン展開そのものの見方から始まり、それは佐藤の超関数や特異積分などに関係している。
第2は、 ゼロ除算の物理学への影響である。 これは、ニュートンの万有引力の法則など多くの物理法則の公式に、ゼロ除算が現れているので、それらに対する新しい結果の解釈、影響である。
第3は ゼロ除算の代数的な、あるいは作用素論的な研究である。これらも始まったばかりであり、出版が確定している論文:

S.-E. Takahasi, M. Tsukada and Y.Kobayashi, Classification of continuous fractional binary operators on the realand complex fields, Tokyo Journal of Mathematics {\bf 8}(2015), no.2 (in press).
がそれらの最先端である。

これらの分野では、誰でも先頭に立てる全く新しい研究分野と言える。
全く、新しい研究分野となると、若い人がやみくもに挑戦するのは危険だと考えるのは、 よく理解できるが、ある程度自己の研究課題が確立していて、多少の余裕がみいだせる方は、新しい世界を自分の研究課題と比較しながら、ちょっと覗いてみるかは、面白いのではないだろうか。思わぬ関係が出てくるのが、数学の研究の楽しさであると言える面は多い。アメリカ新大陸に初めて移った人たちの想い、 ピッツバーグの地域に初めて移住した人たちの想いを想像してみたい。ゼロ除算は 新しい数学である。専門家はいないから、多くの人が面白い現象を発見できる機会があると考えられる。

次も参考:

再生核研究所声明189(2014.12.233) ゼロ除算の研究の勧め
再生核研究所声明222(2015.4.8) 日本の代表的な数学として  ゼロ除算の研究の推進を求める
再生核研究所声明253(2015.10.28) 私も探そう ―ゼロ除算z/0=0 の現象

以 上

追記: ゼロ除算の楽しい、易しい解説を次で行っている:
数学基礎学力研究会のホームページ
URLは
http://www.mirun.sctv.jp/~suugaku

再生核研究所声明257 (2015.11.05) 無限大とは何か、 無限遠点とは何か ー 新しい視点 
(道脇さんたちの、和算の伝統を感じさせるような、何とも 言えない魅力 がありますね。 添付のように完成させたい。例の専門家たち、驚いて対応を検討しているのでは?どんどん、事情がみえてきました. 今朝の疑問も きれいに散歩中 8時15分 ころ、解決できました.成文化したい。2015.11.1.9:7
無限遠点の値の意味を 約1年半ぶりに 神は関数値を平均値として認識する で 理解できました。今、気になるのは,どうして、正の無限 負の無限、および ゼロが近いのかです。その近いという意味を、 正確に理解できない。 近い事実は 添付する 電柱の左右の傾きに現れている。
log 0=0
と定義するのが 自然ですが、それには、 ゼロと マイナス無限大 が一致しているとも言える。 そのところが 不明、何か新しい概念、考え 哲学が 求められている???
2015.11.1.05:50)

ローラン展開の正則部の値の解釈のように(再生核研究所声明255 (2015.11.03) 神は、平均値として関数値を認識する)、実は当たり前だったのに、認識がおかしかったことに気づいたので、正確に表現したい。
まず、正の無限大とは何だろうか。 1,2,3,…… といけば、正の整数は 正の無限大に収束、あるいは発散すると表現するだろう。 この正確な意味は イプシロン、デルタ論法という表現で厳格に表現される。すなわち、 どんなに大きな 整数 n をとっても、あるN を取れば(存在して)、N より大の 全ての整数 m に対して、n < m が成り立つと定義できる。 いろいろな設定で、このようにして、無限は定義できる。 どんなに大きな数に対しても、より大の整数が存在する。 それでは、+∞ とは何だろうか。 限りなく大きな数の先を表す概念であることが分かる。 大事な視点は +∞は 定まった数ではなくて、極限で考えられたもので、近づいていく先を表した状況で考えられていることである。 これらの概念は極限の概念として、現代数学で厳格に定義され、その概念は新しいゼロ除算の世界でも、全て適切で、もちろん正しい。
簡単な具体例で説明しよう。 関数y=1/x のグラフはよく知られているように、正の実軸からゼロに近づけば、+∞に発散し、負からゼロに近づけば、-∞に発散する。 ところが、原点では、既に述べてきたように、その関数値はゼロである。 この状況を見て、0、+∞、-∞ らが近い、あるいは 一致していると誤解してはならない。+∞、-∞  らは数ではなく、どんどん大きくなる極限値や、どんどん小さくなる極限値を表しているのであって、それらの先、原点では突然にゼロにとんでいる 強力な不連続性を示しているのである。
複素解析における無限遠点も同様であって、立体射影で複素平面はリーマン球面に射影されるが、無限遠点とは あらゆる方向で原点から限りなく遠ざかった時に、想像上の点が存在するとして、その射影としてりーマン球面上の北極を対応させる。 関数W=1/z は原点でその点が対応すると、解析関数論では考え、原点で一位の極をとると表現してきた。
しかしながら、新しく発見されたゼロ除算では、1/0=0 であり 原点には、ゼロが対応すると言っている。 これは矛盾ではなくて、上記、一位の極とは、原点に近づけは、限りなく無限遠点に近づく、あるいは発散するという、従来の厳格議論はそのままであるが、ゼロ除算は、原点自身では、数としてゼロの値をきちんとして取っているということである。 この区別をきちんとすれば、従来の概念とゼロ除算はしっかりとした位置づけができる。 近づく値とそこにおける値の区別である。

以 上

再生核研究所声明254 (2015.11.2)  愛が無ければ観えない ― について、 更に

既に、

再生核研究所声明173(2014.8.6) 愛が無ければ観えない
2013.2.26.11:15:
で、愛が無ければ、見えない、 関心が無ければ、進まない、できると考えなかった。
何と 15年も前から、 考え、 3人の学位論文の素材になり、 2冊の著書でも扱い、 S先生やF先生も講究録で触れている。 それなのに馬鹿みたいなことに気付かなかった。

と述べている。要するにある結果に気づいたのであるが、先が有ると思わなかったので、関心をもって考えなかったので、長い間 基本的な結果に気づかず、通り過ぎていた、事を示している。
さらに、最近のゼロ除算100/0=0,0/0=0の結果の場合は 凄い歴史的な事件と言える。すなわち、ゼロ除算100/0=0は割り算を掛け算の逆と考えると、不可能であることが証明されるので、不可能の烙印を押されていた。しかし、物理学などでは重要な問題が絡んでいるにも関わらず、何百年間も人は、新しい考え方に関心を抱かず、不明のままで年を重ねてきた。それが、偶然ちょっとしたきっかけで、解決をもたらした(再生核研究所声明171参照)。
興味、関心、愛が無ければ、何も気づかず、発見もせず、認知さえしないで、空しいものになる。
と言及している。
さらに、そもそも人間とは何者かと問い

― 哲学とは 真智への愛 であり、真智とは 神の意志 のことである。哲学することは、人間の本能であり、それは 神の意志 であると考えられる。愛の定義は 声明146で与えられ、神の定義は 声明122と132で与えられている― 再生核研究所声明148

そこまでは行かなくても、 人間が何に関心を抱くは 極めて興味深い、人間研究の課題である。実に多種多様であり、世間を見てもその多様性には驚かされる。その多様性こそ人間社会の豊かさの表れであると評価される。生まれながらの性格、能力、幼児時の育ち、教育など、どうして興味の対象、関心を抱く対象が決まるかは 今後の大きな課題である。 一般には、関心や愛情はどんどん深まって、成長、発展する性格があり、人生の晩年までには名人や、達人の域にまで成長する例は世に多い。 多くの数学者が、子供の頃将棋や碁で遊んでいたなどの話しを交わしたことが有るが、興味深い例である。一流のスポーツマン、イチロー選手などいろいろな有名選手の生い立ちと名前が思い出される。
愛を抱く、興味を持つ、関心を持つは、人間らしい人間を育てる基本であるから、知識偏重、詰め込み教育ではなくて、 みずみずしい愛、意欲が湧く、情念が生命力とともに湧いてくるような 全人的な教育が大事ではないだろうか。
心身を大事にすることともに、真理、真智を愛する精神こそ、大事ではないだろうか。
何のために、何故か? ― 人間らしい、人生を送るためにである。
と結んでいる。
愛とは 共生感に基づく喜びの感情であると 表現した。 全く経験したことのない世界に触れると、全然、共感、共鳴しないで、ただ暗号が並んでいるように感じることがある。 純粋数学などでは純粋な抽象理論であるから 顕著に遭遇することがある。専門外だと始めから最後まで、殆ど何も分からない研究発表も珍しくはない。 共感、共鳴が、更に愛の感情まで高まるには相当な経験に基づいた共通の基盤が必要ではないだろうか。 民族の文化や、男女関係の愛の問題についても言える。愛の素である共生感が深まるための背景について言及している。最近のゼロ除算の理解の仕方から実感してきた感情である。
ゼロ除算は 千年以上も、不可能であるとされ、ゼロで割れないことは定説である。 そこで、突然、ゼロ除算が可能であると言い出され、可能であると言われたとき、人はそんな馬鹿な、今更何を言っているのか? また結果が、従来の数学と全然違う、強力な不連続性を述べていることに触れられると、そんな数学は始めから、正しくとも興味がないと発想するは多い。 全く新しい結果となると、共感も、共鳴もなく、愛着も湧かないのは 我々の心の仕組みからも言えるのではないだろうか。
他方、客観的には何の、あるいは大した意味や、動機が無くても、いわゆる未解決問題として提起された問題などで、永く挑戦を続けていると どんどん愛着、愛情が深まり、湧いてきて、いわば問題にハマって行く状況は 数学界などで、個人や、グループとしてもよく見られる現象である。― 不可能、未解決と言われると、挑戦したいという心情と 解いて、いわば競争に勝ちたい という心情が湧くのは当然で、結構数学の研究を推進する原動力になっているのではないだろうか?
この声明の趣旨は、愛は 共通の基盤、経験、関わりの深さで深まり、我々の心は、生命のあるべき方向での 関わりの深さで 愛も深まるという 観点に想いを致すことである。

                                                        以 上








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