2017年2月15日水曜日

「日本版レアル・マドリード」のつくり方 欧州サッカー、MLBに学ぶチーム力強化の戦略 - 並木裕太

「日本版レアル・マドリード」のつくり方 欧州サッカー、MLBに学ぶチーム力強化の戦略 - 並木裕太

2016年12月18日、横浜国際総合競技場でFIFAクラブワールドカップの決勝戦が行われた。かたやクリスティアーノ・ロナウドらを擁するスター軍団のレアル・マドリード(スペイン)。かたや2016シーズンのJリーグを制し、開催国枠として出場権を得た鹿島アントラーズ。
 
 “格”の違いからレアルの楽勝と見る向きも多かったが、2-2の同点で試合は延長に突入。最終的にはレアルが4-2で熱戦を制したものの、鹿島の予想外の善戦に世界は驚いた。
 だが、選手の声を拾うと、いかんともしがたい実力差を痛感させられていた。DFの昌子源は試合後、「見ている人は案外できたんじゃないかって思うかもしれないけど、けっこうしんどかった。僕は通用したとは思っていない」と語ったという。別の選手が「段違いでした。かなわないです」と本音をこぼしたのも直に聞いた。
 たしかに鹿島はすばらしい試合をし、欧州王者を追いつめた。それが評価すべき事実であることに異論はないが、あえて厳しい表現を使えば、Jリーグはまだ“レアルに善戦”がニュースになるレベルでしかないとも言える。
 そもそも、経営体としてのクラブの規模があまりに違う。デロイトが16年1月に発表した「Football Money League 2016」によれば、世界で最も収入の多いクラブ(14-15シーズン)がレアルであり、11年連続でその座を守っている。売上の総計は5億7700万ユーロ(約710億円・以下、すべて1ユーロ=123円で計算)という超ビッグクラブだ。その内訳はチケット収入が1億2980万ユーロ(約160億円)、放映権収入が1億9990万ユーロ(約246億円)、スポンサー・コマーシャル収入が2億4730万ユーロ(約304億円)となっている。
 一方、鹿島の売上は43億円あまり(15年度)でレアルの16分の1の規模に過ぎない。年俸総額でも約7億円の鹿島に対してレアルは約291億円という比べようもないほどの差が横たわっている。
 世界のトップと日本のクラブになぜここまでの格差が生じているかといえば、その根本要因はクラブの経営構造の違いにある。Jリーグのほとんどのクラブは、責任企業(事実上の親会社)の“財布”によって経営を成立させている。90年代はじめのJリーグ発足時、かつての実業団チームは衣替えをし、企業名を外した名前でリーグに加盟したが、その経営のバックボーンの本質が大きく変化したわけではない。鹿島の前身は住友金属工業(現・新日鐵住金)のサッカー部であり、今も同社がクラブの主要株主だ。
 クラブの経営を維持するため、広告宣伝費などの名目で責任企業から損失補てんを受けることが常態化しているが、一部の企業では自社の経営環境悪化などを理由にクラブへの支出を削減する動きも見られるという。
 仮に、ある責任企業が10億円の予算をクラブに対して用意しているとする。そのクラブが経営努力により新規スポンサーを獲得し3億円の売上を上積みしたとすると、責任企業はクラブへの予算を7億円に減らす意思決定をする可能性がある。つまり経営努力もむなしくクラブのビジネス規模は拡大しない――。こうした経営構造となっている限り、Jリーグのクラブが現状の延長線上で爆発的な成長曲線を描くことは難しいのではないかと考えている。
 親会社からの経営者の出向や赤字補てんを含む予算管理の結果、Jリーグは当初の10クラブから現在の53クラブまでクラブ数は増えたものの全体のパイは1.5倍(約1000億円→約1500億円)にとどまる。これは日本のプロ野球も同じ構造で、ここ20年ほどで4倍以上に収益を伸ばしたメジャーリーグ(MLB)とは対照的に、目立った成長を遂げることができずにいる。
「社員の一体感醸成」等を目的にスポーツチームに資金を提供している企業もあるため、親会社依存のチームがあるのはもちろん構わないが、独立健全経営を目指すチームがもっとあってもよいのではないだろうか。そういうチームこそが将来、レアルを倒す存在になり得ると考えている。

根拠なき大物選手獲得はバクチ。 必要なのは資金を増やせるビジネスマン

 世界のトップに君臨する欧米の主たるプロスポーツは着実に経営基盤を拡大させてきた。チームを運営する企業は完全なる独立採算が当たり前。ビジネス面の発展という目標を共有するリーグ(機構)と手をたずさえながら、合理的なシステムを構築している。
 欧米のいわゆるリーグビジネスの手法に日本のスポーツ界が学ぶべきところは多い。特に、全国ネット放映権や球場外でのグッズ販売などを一括管理したうえでその収益金をチームに再分配するとともに、総年俸の上限額を設定するサラリーキャップ制を導入して戦力均衡を図るなどしているMLBは、チームビジネス頼みで全体最適の視点を構造的にもちにくい日本プロ野球機構(NPB)と比べ、急速に成長した。
 その点、Jリーグは発足当初からリーグビジネスの思想をもって、放映権の一括管理やリーグスポンサーの獲得などを推し進めてきた。英パフォーム社の提供するライブストリーミングサービス「DAZN」との間で、今季から10年間総額約2100億円の放映権契約を締結したことは大きな成果だと言える。
 ただし、欧州の主要リーグと異なるのは、リーグ全体の人気を牽引するようなビッグクラブがないことであり、今般の契約によって増収が見込まれる放映権収入の使途がカギを握ることになるだろう。順位や観客動員数などに応じて傾斜配分したり、外国人枠を撤廃したり、海外選手・監督の招聘活動を活発化するなどして、リーグ主導でビッグクラブを生みだす方向へと徐々に動き始めているところではあるが、先を行く欧州主要リーグに追いつくにはさらなる努力が求められる。
 MLBを改革したバド・セリグ前コミッショナーに代表されるように、リーグを率いるリーダーに優れた経営手腕は不可欠だ。そのことは当然、個別の球団・クラブにも当てはまる。
 仮にあるプロスポーツチームが5億円の臨時収入を得たとする。その使い道として日本でよく見られるのは、海外で実績をもった、ピークを過ぎた選手を助っ人として獲得するケースだ。象徴的な事例としては、2014年、セレッソ大阪が10年の南アフリカワールドカップ得点王、ディエゴ・フォルランを年俸6億円で獲得した。その狙いは、チームの戦力補強という本来的な意義に加え、彼ら見たさに観客が増えることも期待できることだ。
 しかし、経営に対する貢献度は、その継続性と確実性という点で限定的だと言わざるをえない。いずれ話題性は薄れるし、期待したような活躍ができなかった場合はファンの失望感にもつながる。助っ人への投資がその額に見合ったものになるかどうかは、どうしてもバクチ的な側面がある。
 欧米のスポーツチームが同じ額の臨時収入を得た時、使い道としてプライオリティが高いのは、優秀なプロ経営者の獲得だ。
 レアルの現在の経営トップはフィオレンティーノ・ペレス会長。同職は選挙によって選出されるためヘッドハンティングされたわけではないが、ペレスは世界的な建設グループ企業「ACS社」のCEOを務める、まさに一流のビジネスマン。実は現在のレアルの隆盛も、彼の経営手腕あってこそなのだ。
 ペレスが一度目の会長職に就いた00年当時、レアルは総額2億300万ユーロ(約250億円)もの負債を抱え、危機的な財政状況に陥っていたという。ペレスはマーチャンダイジング権や選手肖像権などの一部を売却したほか、マドリード中心地の広大な練習場も自治体に売り、調達した資金で負債を完済したうえ、ジネディーヌ・ジダンやデイビッド・ベッカムといったスター選手を次々と獲得していった。“銀河系軍団”となったレアルの人気は欧州のみならず北米やアジアにまで波及。
 海外市場の開拓とPRを兼ねて、プレシーズンに日本をはじめ韓国、中国、アメリカなどの国々を転戦して親善試合を行うワールドツアーを実施して、グッズ販売などで莫大な収益を手にしたという。「金を生むには金を使わなければならない」というモットーのもと歯車を回し始めた結果、世界一のクラブという現在の地位は築かれたのだ。
 さらに建設界の大物らしく、スタジアムの再開発にも注力した。VIPゾーンやボックスシート、レストランなどを次々とリニューアルし、同国最大規模というサッカーショップも設置してホームスタジアム「サンチャゴ・ベルナベウ」は大きく変貌を遂げた。06年、成績不振の責任をとって会長を一度は辞職したが、09年に復帰すると、改革は第2フェーズへ。ショッピングセンターの拡大やスタジアムに直接アクセスできるホテルの建設などを含む周辺地区再編計画が現在も進行中だ。
 レアルとともに欧州サッカーの双璧をなすバルサもまた、ビジネスセンスに長けた経営者がクラブを蘇らせた過去がある。
 それが03年から副会長を務めたフェラン・ソリアーノだ。MBA取得後、起業家、経営コンサルタントとして国際的に活躍していたフェランはバルサ副会長就任時、「世界最高のサッカーと世界最高の経営」というゴールを掲げ、放漫経営によって赤字に陥っていたバルサの財政基盤強化に着手。ロナウジーニョの獲得によって“プロダクト(商品)”たるチームの魅力を上げるとともに、多岐にわたる改革をいっきに推し進めた。たとえばスタジアムに関しては、治安対策や企業向けのVIPシートの設置、購入意欲の高い観光客向けに値段を高めに設定したチケットを用意するなどした。国内放映権契約の見直しに加え、海外の放送局に対する営業の強化によってクラブの国際化を図り、多数の外部企業に運営を委託していたマーケティング権をクラブの管理下に置いてマーケティングチームを発足させたりもしている。
 こうして、着任当時には年間7300万ユーロもの赤字を計上していたバルサは、5年後には2000万ユーロの黒字を出せるまでになった。フェランはスペインの航空会社会長を経て、現在は英プレミアリーグ・マンチェスターシティのCEOなどを務めている。
MLBでも、球団経営の舵取りを担うのはビジネスエリートたちだ。2005年、29歳の若さでデビルレイズ(現レイズ)球団社長に就任したマシュー・シルバーマンは、ハーバード大学卒、ゴールドマンサックスで不動産金融を手掛けた経歴をもつ。就任早々、シルバーマンはチームのリブランディングに着手。チームの名前、ロゴ、カラーなどを一新してイメージの再構築に取り組んだ。さらにチケットや駐車場、飲食などの料金を下げることで動員を増やし、増収を実現した。これはヤンキースなどのビッグチームとは正反対の手法だが、タンパというMLB球団の本拠地としては小さな街の特性を的確に把握したうえでの戦略だろう。
 また、予算規模が小さいなりに、マイナーリーグに投資を向け、大金を積んでスター選手を獲得するのではなく、育成による強化に舵を切った。レイズの1勝あたりのコスト(1996~2015)はMLB30球団中1位、つまり「最もお金をかけずに勝利を手にした」効率的な球団だとするデータもあるほどだ。http://blogos.com/article/210014/
 
とても興味深く読みました:
 
 再生核研究所声明169(2014.6.25) サッカー観戦の印象 と 日本チーム強化の戦略
(サッカーファンからの要望によって、日本チームを強くする戦略を考察した。)

ワールドカップ日本の観戦をして、自国チームが負けるのは、生物の本能に由来するように、嫌なものである。 誰でもそうではないだろうか。― 生命には、本質的に切なさが存在する。― 数学などの研究を永くしてくると あまりにも厳しい世界で とても志す気には成れない。数学などの研究は 何十年のスパンで 長期戦略で進める求道や 真理の追究、人生の志に由来する。
サッカーは 子供の頃校庭でよくやったものであるが、勝負と言えるようなことをやったことは無く、全くの素人である。
しかし、今回の日本戦を見て、良い戦略、強化方法が思い付いたので、上記要望も寄せられた経緯も有るので、触れて、提案したい。言うは易く、行うは難しい??
特に、ギリシャ戦などでは、全体的な力では相当優位にあるように見えたが、結局、引き分けに終わった苦しい戦いであった。どうしてだろう。 それは、ゴールを決められない決定的な弱点にある。 ゴールを決めることは、サッカーで 優位に立つ 重要な、肝心な点 ではないだろうか。初戦についても言える。コロンビア戦についても言える。ゴールの機会は、結構あったと言える。
そこで、次のような訓練は 如何であろうか。
ゴールを狙える立場の人は、ゴールの枠にぶつけて、反射で ゴールを決める訓練を徹底的にやる。
この訓練は ゴールキーパーにはよらず、 何時でも安定的に練習ができ、何時でも、最も有効にゴール決める方法である。 本能かも知れないが、ゴールを狙うとき、わざわざキーパーにぶつけているような例が多く見られる。これは、極めて残念な場合である。ゴールを狙う機会はそう多くはないので、痛切残念、そのような場合には、国中でため息が聞かれる状況と言える。
条件反射的に、ゴールの枠にぶつけて、反射で ゴールを決めるような訓練を 徹底的にして欲しい。
総合的な力を付けるのは、専門家の課題であるが、この要点をしっかり訓練すれば、戦力は飛躍的に向上するのではないだろうか。実際、ゴールを決めている場合、ゴールの枠にぶつかって、ゴールを決めている場合が多く見られる。既にそのような訓練を意図的に行っているのではないだろうか。
サッカーの印象は、アジアや日本は まだまだ伝統が浅く、世界レベルから見ると、まだ力不足は否めない。 伝統は甘くはない。世界的になる、世界を狙う精神がどのようなものか、その精神がまだ、しっかり身についていないと言うことではないだろうか。 これは単にサッカーばかりではなく、近代科学や民主主義、人権、評価システム、大学の在りよう、マスコミの在りよう、政治家の在りようなどなど、欧米から 入ってきた多くが表面的な物まねで、それらの深いところの理解が 浅く、しっかりしていない状況と同様ではないだろうか。輸入したものを身に付けるのは、教えられ、学んだものを身に付けるのは、 一朝一夕にはゆかないのが、道理ではないだろうか。長期的な視点に立って、頑張って欲しい。

以 上

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