あの英国人一家も驚嘆!?日本料理に欠かせない小道具「うちわ」の凄さ
ダイヤモンド
数年前、『英国一家日本を食べる』(マイケル・ブース 亜紀書房)という本がベストセラーになった。イギリスのフードライターが家族とともに日本に滞在し、外国人の視点で日本の食文化を語る紀行文である。
序盤に新宿の思い出横丁で焼き鳥を食べた著者が感心するくだりがある。著者は自分にとってバーベキューはいつも心配の種で、焦がしてしまいがち──なのだけれども、日本人は炭火の扱いに長けている上に、すばらしい工夫をしている、という。それはあらかじめ肉を小さくカットしていることだ、と。なるほど外国人の目から見れば焼き鳥という調理法もそうした工夫に見えるのか、と新鮮で、他にも「ふむふむ」と思うところの多い本だった。
日本料理ブームもあって世界に広がる炭火焼き。残念ながら著者は気づかなかったようだが、一緒に紹介したい道具がある。それが「うちわ」だ。職人は風を操ることで、火力と煙の方向を巧みに調整しているからである。
鰻や焼き鳥を美味しくする「越生うちわ」にしかできない芸当
埼玉県越生(おごせ)。関東三大梅林の一つ、越生梅林で有名なこの地は街道の要衝、江戸時代は行楽地として知られた。越生駅から越生町の観光センター〈里の駅・おごせ〉に向かうと、(越生)「渋団扇発祥の地」の石碑が立っている。町民文化の発達とともに全国各地でうちわが生産された江戸時代、越生のうちわはその名が全国に知られていた。
うちわは夏の風物詩。現在でも花火大会など夏の風情を楽しむ光景には欠かせない道具だが、実用品としての側面もある。全国各地、それぞれの個性のあるうちわがあるが、鰻や焼き鳥を焼くのに一番、適したものを探し、辿り着いたのがこの越生うちわだ。
石碑からほど近い場所にある『うちわ工房 しまの』の五代目、島野博行さんからお話を伺い、うちわの製造工程を見学させていただいた。
かつてここ越生では50軒の工房があったという。明治初期には年間43万本が生産されていたというから、相当な規模だ。ところが昭和30年代には扇風機が、40年代半ばを過ぎるとクーラーが普及し、キッチンでもガスコンロの普及が進みうちわの需要は減少。また竹を使ったうちわはその生産性の低さからポリプロピレン製のポリうちわに置き換わっていった。現在、越生でうちわを製造しているのは『うちわ工房 しまの』ただ1軒だけになった。
「昔は分業でつくっていたんですよ。うちわ造りが盛んなのは材料が近隣で手に入ったからでしょう。竹、越生に自生していますし、和紙は小川町から。昔は骨をイグサで編んでいたんですが、坂戸から川島辺りが畳の産地だったんで、そこから仕入れていました」
島野さんは訥々と静かな口調で話をする。小上がりの作業場がある古い工房には様々な種類のうちわが並ぶ。それぞれに図案が異なり、眺めていると目移りしてしまう。プラスチック製の大量生産品を見慣れた目には竹でつくられたうちわは一際新鮮に映る。形、大きさ、紙質と1本1本に異なる個性があるのだ。
──これは一本の竹を割っていくんですか?
「そうね。竹を切るのは12月、切り旬といいますが、一霜降りたら竹を切る。(一本の竹の先端に)切り込みをいれて、しごくと裂け目が下がっていくんですね。花割っていうんですけど、これが一番むずかしいところ。ここまでは冬場の仕事です。とった竹が湿っているうちにする作業ですね。次の工程は乾いていないと駄目です」
──形が独特ですよね。扇部の下辺が柄と一直線になっている。
「一文字うちわといって、肩入れという柄を打ち込むんです。こうすることで強い風が起こせるようになります。越生うちわの特徴ですね」
──うちわの良し悪しはどういったところで決まるのでしょうか。
「良し悪しね。うちのほうではへたらないで強い風がいくようにしていますけど。違う産地のうちわですと逆にしならせてやわらかい風をおこしたりするものもあります」
──料理に使ううちわの特徴を教えていただきたいのですが?
「焼鳥屋さんや鰻屋さんで使われる鰻うちわは表面に柿渋を塗っています。鰻屋さんなんかは匂いで客を呼ぶと言うけれど、叩いて音でもお客さんにアピールするでしょう。柿渋を塗ると強度と防虫、防水性が高まります。それと同じでこちらは七輪の窓口を扇ぐうちわ。狭い口に風を送るための形で、。やわらかいと下の土を叩いてしまうでしょう。だから、こういったしっかりした造りになっています」
──ピンポイントに風を送りたいときに適している、ということですね。
「そうです」
最初に述べたように職人は風で熱を操る。例えば脂が多いうなぎを焼くと、落ちた脂が燃えて味を損ねるので、常に下方向に落としこむように風を送る。そうすることで火が上がることを防ぎながら焼き上げることができる。焼き鳥の場合は表面が凸凹しているので、串に刺さった肉をなでるように風を送る。そうすると熱が均等にあたり、上手に火が入るのである。ガスや電気の熱源ではできない芸当なのだ。
夫婦で作り上げる1本のうちわ細部にこだわった美しさ
製造工程を見学させていただく。ノコで切り込みを入れて、肩骨を打ち込んでいく。天然素材である竹は1本1本、太さや性質が異なるので、加減が必要だと言う。
──できあがった製品は完全に揃っているのに、1本、1本こんなに違うんですね。
「ナイフ、一回舐めるかどうかだけで変わってくるからね。次は編みこみ。この紐は昔使っていたものが手に入らなくなって、これにしたんだけど、最初白くて浮いちゃったんですよね。それで梅の小枝で草木染めして、こういう色にしてあります。梅はこのあたりたくさん育てているので剪定で小枝が出るんですよ」
神は細部に宿る、という言葉があるが、こうした細かな部分が全体の美しさをつくる。骨を紙ひもで編み、「網竹」といううちわ型に成形する。
「この工程は修正しながら形をつくるのが大事。編みながらどっかの指で引っ張っているんですよ」
紙ひものテンションで形を保っているからか、緊張感があって美しい。
この後の紙を貼っていく作業は奥様の担当。民芸和紙の図版は様々だ。他には押し花もあるし、また島野夫妻が十年前からはじめたという手ぬぐいというパターンもある。手ぬぐいを張ったうちわをつくりはじめた理由を奥様に訊ねると「楽しいから(笑)」という答えが返ってきた。
「色々なかわいい柄があって楽しいので、いいのがあると買ってしまうの。亀田さんという名前の人が亀の絵が入ったうちわを買っていったこともありました。とても喜んでくれましたよ」
貼り終えたら、特殊な形の刃物で縁を一気に切り下ろす。これはやり直しのきかない一発勝負である。そして、最後に縁と柄に型紙を貼って完成である。
涼を呼び、調理にも欠かせない日本人の暮らしの知恵
──うちわの良さはなんでしょうか?
「うーんとね。まず風をイメージできる涼を感じるアイテムだということ。実際に使うと手軽で個人個人、自分で自由に調節できる。生活必需品から嗜好品になったとは思いますけれども、今は持ち歩いていただけるような小さなうちわもつくっています。そういうのは喜ばれますね」
『うちわ工房 しまの』では伝統文化を残したい、という想いから、うちわ作り体験も開いている。頼めば持ち込んだ手ぬぐいも貼ってもらえるという。工房に足を運べば驚くほど種類のあるうちわから自分の好みの1本を購入することもできる。
体験教室、押し花やてぬぐい、持ち歩ける小さなうちわ……伝統文化のなかにごく自然な形で新しさがあり、どのうちわも高価すぎず、質の高い日用品として使える。手元に置くならプラスチック製の大量生産品よりずっといい。
うちわでおこした風は扇風機やクーラーよりもずっとやさしい。日本人の暮らしに対する知恵を感じることができる。涼を呼び、調理にも欠かせないうちわ。梅雨が過ぎるとこれから熱い夏がやってくる。http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%81%82%E3%81%AE%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E4%B8%80%E5%AE%B6%E3%82%82%E9%A9%9A%E5%98%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%96%99%E7%90%86%E3%81%AB%E6%AC%A0%E3%81%8B%E3%81%9B%E3%81%AA%E3%81%84%E5%B0%8F%E9%81%93%E5%85%B7%E3%80%8C%E3%81%86%E3%81%A1%E3%82%8F%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%87%84%E3%81%95/ar-AAcmIKE?ocid=UP97DHP#page=2
再生核研究所声明34(2010/04/16):日本のビジネス―日本料理店の海外展開
日本製品として、国際的に高い評価を得て、世界の富を日本国にもたらしてきたものとして、家電、カメラ、半導体、自動車などが 顕著なものとして、想起される。しかしながら、諸外国の台頭によって、日本国の大きな目玉となる産業にかげりが見えてきており、 国内には失業者があふれ、経済不振と、慢性的な財政赤字に陥っている。 日本国の再生の基礎は、根本的には教育を正し、精神をきたえ直す必要があると考えるが 一つの戦略を具体的に提案したい。要旨は世界の多くの都市に、日本料理店を展開すること である。
先ず、食に対する関心の深さは いずこも同じで、生きることとは 食べること にも通じるものがあり、食に対する関心、経費は、人間存在と活動の大きな部分を占めるという事実から、認識を深める必要がある。 日本料理は健康食品であると同時に、際立った特徴を有し、幸い、日本料理に対する世界の人々の関心の深さは 驚くべきものであり、現状よりは遥かに大きなビジネスチャンスを有すると考える。多くの日本人に、海外の日本料理店で働く職場を広く開拓して、同時に日本の文化を海外に紹介し、また逆に、日本人は海外に出ることによって、国際的な広い視野をもつ機会が得られて、好ましい効果が期待される。
これらのことは、比較的簡単に 少ない投資と準備で実現でき、大きな経済的、文化的な効果が望めると考える。 一つの国家戦略にしようではありませんか。 世界の多くの都市に、日本国の象徴として、美しい日本料理店を展開し、日本の文化を世界に紹介する拠点にしようではありませんか。 若者の雇用や、経済、文化への波及効果は 大きいと考える。もちろん、世界の平和にも大きく貢献するものと考える。
具体的に 次のように提案したい:
経済産業省、外務省、農林水産省などの関係省庁の積極的な援助、
文部科学省は、料理学校などを充実、格あげし、合わせて関係教養教育の充実も図る、
外国人向け 観光関係機関の積極的な支援、
国防省の組織的な支援: たとえば、5000億の資金を兵器の購入にかけるより、そのような面で援助して、日本料理店を通して世界の情報を組織的に得るシステムを確立する、また平和のための戦略を進め、観光促進の拠点にもする。 これこそ、愚かな軍事費を美しい営みにまわしたいとの想いの 現実的な一つの提案になるのではないだろうか。
日本料理店を拠点に、先ずは、世界的の人々の関心が期待される花道、茶道などの組織的な教室の開講を意図する。 また、そのような関係組織との連携を図る。さらに、日本庭園などの文化的な輸出も展望する。
既に相当数、日本人のいない日本料理店が存在する状況を調べて、日本人の派遣による より日本的な料理を浸透させるのは、最も手短な第1歩になると考える。 また、日本料理店の評価機関の設置の検討なども、なされるべきであると考える。
美しい特徴をもつ日本文化を もっと世界で活かそうではありませんか。 関係者のご検討と積極的な取り組みを期待したい。
以上
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