再生核研究所声明230(2015.5.13)終戦70周年を迎えての反省
― 逆に戦勝国の責任も問う
第2次世界大戦の終戦70周年を迎えて、いろいろな記念行事が各地で開催されている。 ドイツや日本など、敗戦国の侵略に対する批判が多く、戦勝国の勝利を祝賀する事は世界的な世相にみえる。確かに、終戦以前、ドイツや日本の国内政治状況において、異常で おかしな状況については 根本的な反省が重要である。この観点に置いて、実際、連合国の勝利は ドイツおよび日本国など 敗戦国の国民をも開放した面は歴然として存在し、連合国の勝利は 世界の開放をもたらした意味で、世界的な祝賀と考えるのは、極めて妥当である。
しかしながら、ここでは違った視点から 世界的に反省を行う必要性を指摘したい。
戦勝国に 全ての正義があるのではなくて、敗戦国にもそれなりの経緯、止むを得ない事情があったのではないだろうかという、大事な視点である。
賢明なるドイツ国民が おかしな指導者に熱狂したのは それなりの歴史的な背景と理由があるのではないだろうか。世界は第1次世界大戦後、ドイツに多大な賠償を求め、尋常では、真面目には立ち行かないような状況に追い込んで、熱狂的な民族的な運動に火を付けてしまったような背景はないだろうか。大きな国家が 命運を掛けて立ち上がるには 相当な 歴史的な背景が有ったと、真面目に考えるのでなければ、空虚な戦勝記念などは 空しいものとなり、真に歴史から、学ぶことはできないのではないだろうか。
日本でも日本の置かれた状況について、一般の善良な大学教授が貴重な記録を残されている:
第二次世界大戦と日本の良心(大谷杉郎)(夜明け前よっちゃんの想い、文芸社(2009)84-86:
(前略)20世紀に入った頃、スペインはフィリッピンを、オランダはインドネシアを、イギリスはインド、ビルマ、マレー半島、それにオーストラリアを、フランスはベトナム、カンボジャ、ラオスを、つまり東南アジアの全域を侵略しつくしていました。アメリカも遅ればせながら、スペインからフィリッピンを奪っています。太平洋の島々もイギリス、フランス、アメリカの領地にくみこまれてしまいました。その上、勢いをつけたイギリス、ドイツ、フランス、ロシアなどが、競って中国侵略を着々と実行していました。日本に対しても、中国に対する侵略と同じ手法で、治外法権の外人居留地をもうけたり、不平等条約を押しつけたり、で明治維新以来、侵略の初期段階にあったと思っています。ロシアと中国の清朝も、中国東北地区から韓国へと勢力を拡大すべく圧力を強めていました。
このような欧米諸外国からの侵略に対する危機感や対抗意識が、私の若い頃の日本の底流にあったと思っています。諸外国はみんなお行儀がよいのに、日本だけが侵略者でした、などとはどのようにひっくり返っても言えません。第二次世界大戦の本質は、世界列強の世界侵略に対する日本の切ない反逆です。
次に「いわゆる戦犯をどう考えるか」です。第二次大戦を前述のように考えているから、戦争裁判がまともなものであったとはとても考えられません。国際紛争には常に二つの正義が存在します。
どちらがより悪い侵略者だったかを考えるべきです。非は明らかに諸外国にあると私は思っています。 どちらがより悪い侵略者だったかを純客観的に考えられる人はいません。非はいつも相手側にあるものです。しかも勝敗がつけば、必ず敗者側に押しつけられるものです。それが正しいなどというわけにはいきません。たった1回の東京大空襲で非戦闘員の一般市民を徹底的に殺戮して10万人の死者を出し、同じ非人道的な殺戮をあちこちの都市でおこないました。その上、1発の原爆で広島20万人の非戦闘員を殺戮したことも許せません。このような桁外れの悪逆非道を犯した犯人を裁かないで、戦争裁判の正当性を主張することなどはとても承伏できません。戦犯問題は茶番です。
戦中派の私の第二次世界大戦と戦犯についての基本的な考え方です。靖国問題などは、わたくしにとって、どうでもいいことです。うまく処理してくれることを願うだけです。
と述べて、日本の開戦は 世界列強の世界侵略に対する切ない反撃であった との存念を懐き、多くの戦中者の共感が得られると述べている。
これは、日本には日本の止むを得ない状況が有ったとの存念を表現されているものである。
このような状況は、いわゆる戦勝国に正義があり、敗戦国に非があったと単純に判断すべきものではなく、双方を超えた世界全体の状況における反省、考察が必要であることを示しているのではないだろうか。
歴史上の上辺だけの現象を見るだけでは、真に 悲劇や戦争の原因は明らかにされず、とても 歴史を直視して などとは言えるものではない。
敗戦国の非は歴然であるから、逆に 戦勝国の責任を大いに問題にすべき ではないだろうか。敗戦国を追い詰めるようなことは無かったろうか。敗戦国はなぜおかしな国になってしまっていたのであろうか。
以 上
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