2016年2月27日土曜日

アインシュタインも驚愕、重力波を見つけた現代技術 1本の論文に1000人もの共著者がいる意味 2016.2.23(火) 伊東 乾

アインシュタインも驚愕、重力波を見つけた現代技術
1本の論文に1000人もの共著者がいる意味
2016.2.23(火) 伊東 乾




アインシュタイン予言の重力波、直接観測に初成功 国際チーム
観測された重力波を示す図。米首都ワシントンのナショナルプレスクラブで開かれた記者会見で(2016年2月11日撮影)〔AFPBB News〕
 高エネルギー宇宙物理学者の小谷太郎博士が簡潔にポイントを記されたコラム「重力波検出のすごさ、子どもに説明できますか?」はとても価値のあるものと思います。


 と言うのも、発表があってからわずか1週間、一線の専門家の手になる、正確で平易な解説が日本語で誰にでも読める形になっている。報道資料の丸写しといった類ではなく、実の所SF小説も書く宇宙物理学者が、自分の子供に話すように分かりやすく要点を押さえている。

 こういう記事が社会に普及することで、日本の科学リテラシー全体の密度が上がっていくことを大きく期待したいと思います。

 私自身を含め、科学の教育は受けたけれどその道の専門家ではない、という人間にとっては、

 「ひとまず1つ目のデータが出たということで、今後を見守りたい」

 というところで留まる話を、もう一歩先、二歩先まで踏み込んで書くことができる。実は小谷君は物理学生時代からかれこれ30年近い友人で、少し後輩に当たり、大学院での研究テーマは違いましたが、「量子力学の観測問題」というテーマをめぐる読書会などを一緒に開いていた仲間でもあります。

 今回は、小谷君がシンプルにまとめた稿の延長で、今回測定の実際について、主として原著論文(B.P.Abbott et al.”Observation of Gravitational Waves from a Binary Black Hole Merger”Phys.Rev.Lett.116,061102(2016)をリソースとして、いくつかのポイントを選んでお話してみましょう。

新しい巨大科学のあり方

 2015年9月14日、米国時間の9時50分45秒、約3000キロ離れた2つの「重力波検出レーザー干渉計システム」は同時に波動のシグナルを観測します。

 周波数は35ヘルツからだんだん加速して250ヘルツまで上昇、これは一般相対論が予測する、対になった2つのブラックホールが合体して単一の巨大ブラックホールになる際に示す波形と一致するものでした。

 このような現象が偶然に起きる確率は20万3000年に1イベント程度の稀さでしかありません。

 太陽質量の約29倍と36倍の巨大ブラックホール連星系が衝突し、結果的に太陽質量の62倍の単一ブラックホールが誕生するとともに、太陽の3倍ほどの質量が重力波として宇宙に広がっていったものと考えられます・・・。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46133


 最初の重力波検出、ならびに最初のブラックホール連星系の衝突を観測したと主張する2016年2月11日付けの原著論文は、このような書き出しで始まっています。


 上にも明記されているように、シグナルが検出されたのは2015年の9月14日のことだったようです。このペーパーがPRL誌に受け取られたのが今年の1月21日、公刊が2月11日。

 この間、論文の著者はもちろん、雑誌のエディター、査読者など、多数の人が詳細に論文の内容を検討しているわけですが、あまり強調されていないのが「共著者の数」です。

 「今回の発表だけで、本当に重力波が見つかったなんて言っちゃっていいのかな?」

 といった懐疑的なコメントも目にしますし、それはある意味もっともなことだとも思いますが、私は今回の測定について、今後精度がより高まることは当然期待できるけれど、測定自体は本物である可能性が非常に高いと予測しつつ、後続のイベント検出と論文発表を1ファンとして楽しみに待っています。

 この論文はカリフォルニア工科大学のB.P.アボットを筆頭著者としていますが、共著者の名前を並べただけで論文末尾の3ページを使っており、さらに残りの3ページ半に、それら共著者の所属する大学研究機関のリストが延々続いています。

 その数実に133研究機関、共著者の名前はさすがに数える気にはなりませんでしたが、行数にして126行、1行に7~8人いますから900とか1000人という数の共著者がこの1本の論文に名を連ねている。

 これだけの人数のエキスパートがデータ観測以降の約4か月、おのおのの持分に関して徹底して精度を疑い、確実であると結論を下した総体として、今回の結論を得、論文の公刊とともに世界発表しているわけです。

 ごく一部の人間が不確かな手順で細胞を見つけた見つけなかった、間違いだった再現出来なかったといった水準の話では全くありません。

 もちろん「最初の1例目」のデータで、しかも実は「本格稼働以前のテスト」を始めて直ぐに「強い重力波シグナルがと美込んできた」というケースとのこと、LIGOの本当の実力はこれから発揮されるのかもしれません。

 かつて米ソ冷戦華やかなりし頃、核兵器の基礎研究として素粒子・高エネルギー物理学は各国が争って巨大加速器=原子破壊機を建造、多種多様な粒子を発見しまくり「素粒子民主主義」などと呼ばれたこともありました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46133?page=2


 しかし、加速器が作り出すエネルギーが莫大になりすぎ、いまや地上に建造できる限界に達した1980年代、高エネルギー原子破壊機の真逆の発想と言うべき「陰の思想」地上ではほとんどエネルギーを使わず、宇宙空間で発生した超巨大エネルギーの天体現象を、じっと待って観測しようという「天文学的発想」で、新しいスモールサイエンスが誕生したのです。


 その主要な立役者の1人が小柴昌俊教授で、彼の建造した「カミオカンデ」が偶然捉える形でニュートリノ観測に成功、約10年を経て強化されたシステムによってニュートリノ質量が確認され、昨年梶田隆章教授へのノーベル賞に至った経緯は周知のとおりです。

 この「陰の思想」つまり静かに、息を潜めて、地上の極微のゆらぎから、全宇宙の巨大ダイナミクスを検出しようというサイエンスが、小柴―戸塚時代の「スモールサイエンス」から、共著者数百人という「新しい巨大科学」に成長、変容して、ついに重力波=時空のゆがみの直接検出とブラックホール連星系の衝突観測という、人類の科学の新しいステップに到達した。驚くべきことだと思います。

 そしてそこには新しいサイエンスの民主主義を期待させるものがあるのです。

 先ほど挙げましたこの論文の代表著者、B.P.Abbottですが、実は単にアルファベット的に一番早いので代表著者という形になっているのです。もちろん、実際にはこの巨大な仕事でより多く働いた人、負担の少ない人などいろいろあるでしょう。

 でも、かつての冷戦期、マフィオーゾが跳梁跋扈した時代では考えられない、関わったすべての人1000人の名を平等に扱うという、科学の新しいモラルとエチケットを、私はここに感じます。

 マーラーの8番目のシンフォニーは「千人の交響曲」の愛称を持ちますが、まさに1000人の科学者の無名の努力の総体が民主的に公刊されている。新しい時代・世代を感じさせる、あまり目立ちませんが、数人のエラい人に光が当たり、「一将成って万骨枯る」(が巨大素粒子実験などでは常態になっており、私はこういう傾向に30年来強い疑問を持っておりましたので)とても希望に満ちた明るい兆候と思いました。

「陰の思想」を支える技術

 では、そのような「陰の思想」で宇宙の極微のシグナルをどのように検出するのでしょうか?

 今回の測定を行ったLIGOというシステムは、すでに報道されているように1辺4キロの長さに及ぶ「腕」を2つもつ、L字型の「干渉計」2つのセットです。両者はアメリカ大陸で約3000キロ離れて設置されており、もし重力波が到来すれば(高速で移動すると考えて必要な所要時間である)10ミリ秒以内に同じ現象が観測されると見積もられています。

 高エネルギー原子破壊機では、装置の中で粒子が加速されますが、この装置に入射するのは一筋のレーザー光で(同期検波;homodyne resonance)これを静かに静かに干渉させるのが「陰の思想」低エネルギー物理のキーポイントになります。

 レーザー光はL字の扇の要である種のプリズムのような分光器(ビームスプリッターという「鏡」)で2筋に分けられ、2つのLの腕に分岐し、光路長をチェックされながら反対端に設置されている「鏡」で反射され、再びLの要で出会い、光検出器(アウトプット・フォトディテクター)で干渉が観測できるという仕組み、その状態で息を潜めて待っている、というのが観測の基準状態になります。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46133?page=3


もしここに重力波が訪れれば、レーザーの航路がほんの少しゆがみますが、それは原子核を構成する陽子の直径の1万分の1ほどの、本当にわずかな長さでしかない。こんなものが測れるとはアインシュタイン自身が思っていなかったと伝えられるとおりです。


 そのような微細な距離の変化を、光の干渉パターンの変化から見つけ出そうとするわけですから、この「陰」の思想の測定器では、様々な雑音除去、ノイズリダクションが工夫されています。

 退治すべきノイズの1つは地面のゆれ「振動(seismic noise)」です。光自身は真空中を真っ直ぐに飛びますが、それが反射するプリズムや鏡が揺れてしまうと測定になりません。

 ちょうど子供がブランコに乗ったような形が4つ直列につながれたシステム(に宙吊りされたうえで(4元振り子/4重振り子=quadruple pendulum)システムと地震波とを切り離すべく、あえて制御されたゆれを加えることで安定させるシステム(active seismic isolation platform)にのせられ、そこに吊るされています。

 またシステム全体が高真空の中に置かれなければなりません。LIGOでは直径1.2メートルの光路パイプの中が1.2μパスカルの減圧状態に保たれました。

 慎重な防振対策と真空の確保。これで万全か?というとまだそうではない。「熱雑音」や電気的なノイズなど、ほかにも様々なノイズリダクションが施されています。詳細にご興味の方には、LIGOが発表している資料ページに原著論文を含め記されていますので、どうかご参照ください。

 防振、真空、光増幅キャヴィティ、較正システム・・・一つひとつ大変慎重に作られ、保守管理されねばならない機器が、LIGOの場合まるまる2つ、双子の干渉計各々に必要で、それに張りついているスタッフがいるわけです。

 そういう「1000人の低エネルギー実験」が、1人のスターを表に出す形ではなく、新しい科学の民主主義のもとで大きく花開いて、重力波検出とブラックホールの直接観測という新時代をもたらしている。

 今回の実験成功との朗報は、物理OBの新たなグローバル雇用など、研究人事や行政のあり方まで含め、次世代のあり方を強く示唆するものになっているように思うのです。

 そうしたあり方を考えるうえでも、社会の科学への正確な理解は欠かすことができません。大学では「コピーペースト防止」といったレベルでの研究倫理不正防止ルールが強調され、やっかいな手続きばかりが増えていますが、北風をいくら吹かせても旅人はコートを脱がないでしょう。

 科学が本当に豊かな成果をもたらす「太陽」に相当するメリット、新しい学術創成と画期的な新成果の獲得という、本当の果実を実らせる中から、次の形を模索するのが正しいあり方と思います。

 「重力波検出」という一言で終わらせるのではない、そこには何千人という科学者集団の、真摯で公正でフェアで情熱的な献身と、それによって可能となった画期的な検出テクノロジーがあることこそ、意識すべきではないかと思うのです。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46133?page=4



再生核研究所声明287(2016.02.12) 神秘的なゼロ除算の歴史―数学界で見捨てられていたゼロ除算
(最近 相当 ゼロ除算について幅広く歴史、状況について調べている。)
ゼロ除算とは ゼロで割ることを考えることである。ゼロがインドで628年に記録され、現代数学の四則演算ができていたが、そのとき、既にゼロで割ることか考えられていた。しかしながら、その後1300年を超えてずっと我々の研究成果以外解決には至っていないと言える。実に面白いのは、628年の時に、ゼロ除算は正解と判断される結果1/0=0が期待されていたということである。さらに、詳しく歴史を調べているC.B. Boyer氏の視点では、ゼロ除算を最初に考えたのはアリストテレスであると判断され、アリストテレスは ゼロ除算は不可能であると判断していたという。― 真空で比を考えること、ゼロで割ることはできない。アリストテレスの世界観は 2000年を超えて現代にも及び、我々の得たゼロ除算はアリストテレスの 世界は連続である に反しているので受け入れられないと 複数の数学者が言明されたり、情感でゼロ除算は受け入れられないという人は結構多い。
数学界では,オイラーが積極的に1/0 は無限であるという論文を書き、その誤りを論じた論文がある。アーベルも記号として、それを無限と表し、リーマンもその流れで無限遠点の概念を持ち、リーマン球面を考えている。これらの思想は現代でも踏襲され、超古典アルフォースの複素解析の本にもしっかりと受け継がれている。現代数学の世界の常識である。これらが畏れ多い天才たちの足跡である。こうなると、ゼロ除算は数学的に確定し、何びとと雖も疑うことのない、数学的真実であると考えるのは至極当然である。― ゼロ除算はそのような重い歴史で、数学界では見捨てられていた問題であると言える。
しかしながら、現在に至るも ゼロ除算は広い世界で話題になっている。 まず、顕著な研究者たちの議論を紹介したい:

論理、計算機科学、代数的な体の構造の問題(J. A. Bergstra, Y. Hirshfeld and J. V. Tucker)、
特殊相対性の理論とゼロ除算の関係(J. P. Barukcic and I. Barukcic)、
計算器がゼロ除算に会うと実害が起きることから、ゼロ除算回避の視点から、ゼロ除算の研究(T. S. Reis and James A.D.W. Anderson)。
またフランスでも、奇怪な抽象的な世界を建設している人たちがいるが、個人レベルでもいろいろ奇怪な議論をしている人があとを立たない。また、数学界の難問リーマン予想に関係しているという。

直接議論を行っているところであるが、ゼロ除算で大きな広い話題は 特殊相対性理論、一般相対性理論の関係である。実際、物理とゼロ除算の関係はアリストテレス以来、ニュートン、アインシュタインの中心的な課題で、それはアインシュタインの次の意味深長な言葉で表現される:

Albert Einstein:
Blackholes are where God divided by zero.
I don’t believe in mathematics.
George Gamow (1904-1968) Russian-born American nuclear physicist and cosmologist remarked that "it is well known to students of high school algebra" that division by zero is not valid; and Einstein admitted it as {\bf the biggest blunder of his life} [1]:
1. Gamow, G., My World Line (Viking, New York). p 44, 1970.

数学では不可能である、あるいは無限遠点と確定していた数学、それでも話題が尽きなかったゼロ除算、それが予想外の偶然性から、思いがけない結果、ゼロ除算は一般化された除算,分数の意味で、何時でも唯一つに定まり、解は何時でもゼロであるという、美しい結果が発見された。いろいろ具体的な例を上げて、我々の世界に直接関係する数学で、結果は確定的であるとして、世界の公認を要請している:
再生核研究所声明280(2016.01.29) ゼロ除算の公認、認知を求める
Announcement 282: The Division by Zero $z/0=0$ on the Second Birthday

詳しい解説も次で行っている:
○ 堪らなく楽しい数学-ゼロで割ることを考える(18)
数学基礎学力研究会のホームページ
URLは http://www.mirun.sctv.jp/~suugaku

以 上


何故ゼロ除算が不可能であったか理由

1 割り算を掛け算の逆と考えた事
2 極限で考えようとした事
3 教科書やあらゆる文献が、不可能であると書いてあるので、みんなそう思った。









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