2016年8月15日月曜日

こだわり天文書評

こだわり天文書評

金井三男さんのWebオリジナルレビューと「星ナビ」ブックレビューを、月1回ずつ掲載更新しています。▼天文・宇宙関連書の最新刊リストも掲載。

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金井三男のこだわり天文書評 第九十九回(8/15)

■ここまでわかった!宇宙の構造、歴史、そして未来 宇宙論■重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち■へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星■プラネタリウム男

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「星ナビ」Book Review(原智子さん他) 星ナビ2016年7月号(8/15)

■美しい光の図鑑 宇宙に満ちる、見えない光と見える光■世界で一番美しい深宇宙図鑑■星と星座■ガラケーで撮影した感動の天体写真集!

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金井三男さん 金井 三男(かない みつお)

1974~1989年に東京・渋谷にあった五島プラネタリウムで解説員として活躍の後、(株)東急コミュニティーにて後輩の指導・育成に携わる。現在は首都圏10カ所のカルチャーセンターで毎月講演会を行っている。月刊「星ナビ」で、独自の視点から天文や宇宙を追究する「金井三男のこだわり天文夜話」を連載中。

新着レビュー
金井三男金井三男さんによる書評星ナビ星ナビ「新着情報」に掲載の書評(原智子さん他)編集部オンラインニュース編集部による書評
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ここまでわかった!宇宙の構造、歴史、そして未来 宇宙論 
ここまでわかった!宇宙の構造、歴史、そして未来 宇宙論

佐藤勝彦 監修、ニュートン編集部 編
ニュートン・プレス 刊
27.4×21cm、207ページ
2016年5月
ISBN 978-4315520439
昨年来宇宙論の中で最も注目された言葉がある。それがビッグリップ。加速膨張の結果、従来の膨張理論では明確には想定されなかった、宇宙はやがて(評者の調査では今から1000億年後)に張り裂けるという理論である。今年3月本書評に掲載の「宇宙の始まり、そして終わり」で、評者は初めてこの用語について勉強したことをご紹介した。

実は本書でも見開き2頁の記事ながら紹介されている。本書では観測的根拠が現時点ではない、と記されているが、アストロアーツの天文ニュース「予測よりも速い宇宙の膨張速度」で紹介されたように、ジョンズ・ホプキンス大学チームがハッブル定数を測定した結果、従来のそれより相当大きいという結果が出たという。取りも直さず、これはビッグリップの証拠になるのではないだろうか。

などなど、本書を読みながら、というより見ながら、評者は考え込んでしまった。ぜひ皆さんも本書と上記の本を詳細に読み較べながら、お調べ戴きたい。ビッグリップ以外でも、意外なことを勉強することが本書からできる。特に本書後半は最先端の宇宙論についての記事で、マルチバースやらダークマター、ダークエネルギー等のほか、ミルカミーダの誕生や、ブラックホールの蒸発、ブレーンワールド、サイクリック宇宙論などなど、続々登場する。眠ってなんかいられません! 本書の最も良いところは、それが図解だということ。しかし明確に言えることは、天国や地獄の存在余地がどこにも無いことだ!

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重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち 
重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

ジャンナ・レヴィン 著、田沢恭子・松井信彦 訳
早川書房 刊
19.7×13.8cm、296ページ
2016年6月
ISBN 978-4152096197
原題「Black Hole Blues and Other Songs from Outer Space」も女性好みのロマンチックなものだが、内容はどうしてどうして。おそらく近年(重力波が注目されるようになったのは近年だけだが)最高の重力波の本だ。重力波に関する本質的な問題はもちろんのこと、ウェーバーをはじめ、初期の重力波研究者群を作ったホイーラーやワイス、ソーン、ヒューズ、ドレーバーらに面会し、そのインタビューを記事にした本。本題名からも、著者はまるでサイエンス・ライターかと思ったら、コロンビア大学の歴とした物理学・天文学教授である女性。

名実ともに凄い本と申し上げて良い。しかもそれが伝聞ではなく、つまり耳と目だけではなく著者の足と脳で稼いだ、それでいて難しくはない理解しやすい本だ。個性的人物だった、そして重力波観測のパイオニアと言うべきウェーバーの苦労話、その悲劇的死と最後まで連れ添った妻トリンブルの物語は語るも涙だ。著者の女性らしい感性の故だろう。

もちろん、後半の大部分を占めるLIGO(2015年9月14日に世界で初めて重力波の直接検出に成功した、米国のレーザー干渉計型重力波検出器。参照:アストロアーツニュース「アインシュタインの予測から100年、重力波を直接検出」)が辿った、良しにつけ悪しにつけ、もみにもまれた開発史も、評者は本書でほとんど初めて知った。2回目の重力波観測に成功(2015年12月26日、参照:アストロアーツニュース「2例目となる重力波の直接検出、ブラックホール同士の合体で発生」)については、脱稿以後のことで触れられてはいないが、ともかく重力波発見迄の完璧な歴史書と言うべきだろう。ぜひお勧めしたい。

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へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星 
へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星

鳴沢真也 著
講談社 刊
17.4×11.2cm、264ページ
2016年6月
ISBN 978-4062579711
遂に出たぁ! 待ちに待った変光星の本! なにしろ評者は誰もが認める(だろう)永年の変行(偏向とも)性人、もとい変光星患者。第十章のアルマーズ(ぎょしゃ座ε)や第三章のミラ(くじら座ο)はじめ、第一章のプレイオネ(おうし座28番星:変光星名おうし座BU)は、評者のライフワークスター・アルゴルの仲間であり、長いお付き合いの星たちだ。ところでアルマーズの名前を知っている人、あるまーず(勿論オヤジギャグ)?

本書は天体物理学の本であると共に、惑星や流星などと違った楽しみがある変光星の紹介に徹した本で、おそらく近年の若い皆さんにとっては初めての本となるに違いない。それほどこの分野の本の出版は、長い間なかった。見開きカラー頁にあるとおり、夜空の向こうはへんなやつだらけを思い知らせてくれる本。いや、筆者脳裏には、ペルセウス座のδやε(共に名前がありそうで名無しで、後者について評者は一時食変光星として光電測光までやった)や、はくちょう座のP(本書に記事あり)χ(記事なし)V1500(記事なし)、いるか座HR(1967年の新星:古いので当然記事なし)などが走馬燈のように巡った。それが現代ではミラに尾が見つかったり、かんむり座Rには蛸の足が見つかったり、日本からよくは見えないけれどりゅうこつ座ηが瓢箪型だったり、ともかく本書を読んで、夜眠れなくなる人が続出することが絶対に確信できる! 一層のファンになれかし。

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プラネタリウム男 
プラネタリウム男

大平貴之 著
講談社 刊
17.5×10.6cm、272ページ
2016年6月
ISBN 978-4062883740
流星が飛ぶ一瞬より短時間、書店の山積み中から見つけた時、プラネタリウム男=金井三男かと思ったが、案の定、閉館した五島プラネタリウム跡でのバーチャリウム(その技術が後のギガスターとメガスターに繋がった)公開時にお会いした大平さんのことだった。題名どおり、本書評ピッタリの‘こだわり’の人。大体こういう人は評者同様、高校時代にクラブ活動で部長をやると失敗する人だ。詳しくは本書で。

本書は、大平さんがこれまでご苦労を重ねながら、一歩一歩歩んでこられた跡を辿った一代記である。変わり者少年時代の川崎市青少年科学館でのプラネタリウムとの出会いが、彼の一生を決定した。大平さんも勿論のこと、プラネタリウムの解説員だった若宮さん(評者も知っている)やその他指導者はいい人たちだった。プラネタリウム解説員が、人の一生を決めるほど役立っているのだということを、評者は本書からつぶさに納得することができた。

評者は、プラネタリウム愛好者ではなく観測者として、プラネタリウムは今でもツァイス製が、つまり肉眼限界の6等星までの投影と惑星の軌道運動精度で最高だと思っているが、なるほど飛行機をデジタル画像で飛ばしたときに、機体や翼に星が写ってしまうことを悩んだ経験はなかった。そこで大平さんが採った解決策は、本書後半でお読みください。http://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/magazine/books/index-j.shtml?160815

再生核研究所声明231(2015.5.22)本を書く人の気持ち、読む人の気持ち ― 本とは何か
(最近、立て続けに良い本を紹介されて 読書して、何のために読書するのだろうかと考え、そもそも本とは何だろうかと想った。そこで、本について思いのままに述べたい。)

まず、本とは何のために存在するのだろうか。本とは何だろうか。まず、定義をウィキペディアで確かめて置こう:
本(ほん、英: book)は書物の一種であり、書籍・雑誌などの印刷・製本された出版物である。
狭義では、複数枚の紙が一方の端を綴じられた状態になっているもの。この状態で紙の片面をページという。本を読む場合はページをめくる事によって次々と情報を得る事が出来る。つまり、狭義の本には巻物は含まれない。端から順を追ってしかみられない巻物を伸ばして蛇腹に折り、任意のページを開ける体裁としたものを折り本といい、折本の背面(文字の書かれていない側)で綴じたものが狭義の「本」といえる。本文が縦書きなら右綴じ、本文が横書きなら左綴じにする。また、1964年のユネスコ総会で採択された国際的基準は、「本とは、表紙はページ数に入れず、本文が少なくとも49ページ以上から成る、印刷された非定期刊行物」と、定義している。5ページ以上49ページ未満は小冊子として分類している[1]。
本には伝えるべき情報が入っていて、人に伝える働きがあることは認められるだろう。そこで、本を書く立場と本を読んで情報を得る立場が 存在する。この声明の主旨は本の体裁や形式ではなく 本質的なことに関心がある。
何故本を書くか? 記録を残して伝えたい、これは生命の根源である共感、共鳴を求める人間存在の原理に根ざしていると考えられるが、伝えたい内容は、心情的な面と相当に客観性のある情報、記録、事実の表現にゆるく分けられるのではないだろうか。事実の記録、記述として ユークリッド原論のように数学的な事実、理論を 感情を入れずに客観的に述べているのは典型的な例ではないだろうか。様々な記録が本になっている場合は多い。マニュアルや辞書なども、そう言えるのではないだろうか。他方、多くの小説や物語、手記、論説、学術書、回想記などは 相当な主観や感情が表現されていて、いわば自己表現の性格の強いものが 世に多い。ここでは、主として、後者に属する本を想定している。
このような状況で、書く人の立場と、それを読む立場について、考察したい。
書く人は書きたい存念が湧いて書く訳であるが、共感、共鳴を求めて、いわば生命の表現として 絵描きが絵を描くように、作曲家が作曲するように 書くと考えられる。意見表明などは明確な内容を有し、主張を理解できる場合は多いが、詩や短歌などは より情感が強く現れる。この部分で最も言いたいことは、我々の感性も 心もどんどん時間と共に環境とともに 変化していくという事実である。従って著者がシリーズや 複数の本を出版しても、著者の書いた状況によって、相当に変化して行くということである。 若い時代に 恋愛小説を書いたり、人生についての想いを書いたものが、後になっては、とても読めない心情になる事は 相当に普遍的な状況のようにみえる。作者の心情、感性、心がどんどん変化していることをしっかりと捉えたい。
しかしながら、本は多く宣言されているように 永年保存を基本とするような、何時までも残る性格が有り、それゆえに書く者にとっては、後悔しないような、慎重さが要求されるのは 当然である。
次に如何に本を読むべきかの視点である。これは共感、共鳴したい、あるいは価値ある知識を入れたい、情報を得たい等、しっかりとした動機があるのは確かである。教科書や専門書、旅行案内書、辞書など、明確な動機を持つものは世に多く、そのような本の選択は多くの場合、易しいと言える。
ここで、特に触れたいのは、文芸書や小説、随筆など、著者の心情が現れている本などの選択の問題である。 現在、 本の種類はそれこそ、星の数ほどあり、本の選択は重大な問題になる。本には情報といろいろな世界が反映されているから、個人にとって価値あるものとは何かと真剣に、己に、心に尋ねる必要がある。いわゆる、物知りになっても いろいろな世界に触れても それが 私にとって 何になるのか と深く絶えず、問うべきである。知識や情報に振り回されないことは 大事ではないだろうか。
我々の時間には限りがあり、 我々の吸収できる情報も、触れられる世界にも大きな制限がある。
そこで、選択が重要な問題である。
本声明の結論は 簡単である。 本の選択をしっかりして、吸収するということである。
これは、自分に合ったものを探し、精選するということである。自分に合った著者のちょうど良い精神状態における本が良いのではないだろうか。社会にはいろいろな人間がいるから、自分に合った人を探し、そこを中心に考えれば 良いのではないだろうか。この文、自分に合った人を探し、そこを中心に考えれば 良いのではないだろうか は広く一般的な人間関係やいろいろな組織に加わる場合にでも大事な心得ではないだろうか。選択の重要性を言っている。上手い本に出会えれば、それだけ人生を豊かにできるだろう。
それらは、原則であるが、そうは言っても自分の好きなものばかりでは,  視野と世界を狭めることにもなるから、時には積極的に新規な世界に触れる重要性は 変化を持たせ、気持ちの転換をして、新規な感動をよびさますためにも大事ではないだろうか。 この点、次の声明が参考になるであろう:
再生核研究所声明85(2012.4.24):  食欲から人間を考える ― 飽きること。

以 上

再生核研究所声明296(2016.05.06)   ゼロ除算の混乱

ゼロ除算の研究を進めているが、誠に奇妙な状況と言える。簡潔に焦点を述べておきたい。
ゼロ除算はゼロで割ることを考えることであるが、物理学的にはアリストテレス、ニュートン、アンシュタインの相当に深刻な問題として、問題にされてきた。他方、数学界では628年にインドで四則演算の算術の法則の確立、記録とともに永年問題とされてきたが、オイラー、アーベル、リーマン達による、不可能であるという考えと、極限値で考えて無限遠点とする定説が永く定着してきている。
ところが数学界の定説には満足せず、今尚熱い話題、問題として、議論されている。理由は、ゼロで割れないという例外がどうして存在するのかという、素朴な疑問とともに、積極的に、計算機がゼロ除算に出会うと混乱を起こす具体的な懸案問題を解消したいという明確な動機があること、他の動機としてはアインシュタインの相対性理論の上手い解釈を求めることである。これにはアインシュタインが直接言及しているように、ゼロ除算はブラックホールに関係していて、ブラックホールの解明を意図している面もある。偶然、アインシュタイン以後100年 実に面白い事件が起きていると言える。偶然、20年以上も考えて解明できたとの著書さえ出版された。― これは、初めから、間違いであると理由を付けて質問を送っているが、納得させる回答が無い。実名を上げず、具体的に 状況を客観的に述べたい。尚、ゼロ除算はリーマン仮説に密接に関係があるとの情報があるが 詳しいことは分からない。
1: ゼロ除算回避を目指して、新しい代数的な構造を研究しているグループ、相当な積み重ねのある理論を、体や環の構造で研究している。例えて言うと、ゼロ除算は沢山存在するという、考え方と言える。― そのような抽象的な理論は不要であると主張している。
2:同じくゼロ除算回避を志向して 何と0/0 を想像上の数として導入し、正、負無限大とともに数として導入して、新しい数の体系と演算の法則を考え、展開している。相当なグループを作っているという。BBCでも報じられたが、数学界の評判は良くないようである。― そのような抽象的な理論は不要であると主張している。
3:最近、アインシュタインの理論の専門家達が アインシュタインの理論から、0/0=1, 1/0=無限 が出て、ゼロ除算は解決したと報告している。― しかし、これについては、論理的な間違いがあると具体的に指摘している。結果も我々の結果と違っている。
4:数学界の永い定説では、1/0 は不可能もしくは、極限の考え方で、無限遠点を対応させる. 0/0 は不定、解は何でも良いとなっている。― 数学に基本的な欠落があって、ゼロ除算を導入しなければ数学は不完全であると主張し、新しい世界観を提起している。
ここ2年間の研究で、ゼロ除算は 何時でもゼロz/0=0であるとして、 上記の全ての立場を否定して、新しい理論の建設を進めている。z/0 は 普通の分数ではなく、拡張された意味でと初期から説明しているが、今でも誤解していて、混乱している人は多い、これは真面目に論文を読まず、初めから、問題にしていない証拠であると言える。
上記、関係者たちと交流、討論しているが、中々理解されず、自分たちの建設している理論に固執しているさまがよく現れていて、数学なのに、心情の問題のように感じられる微妙で、奇妙な状況である。
我々のゼロ除算の理論的な簡潔な説明、それを裏付ける具体的な証拠に当たる結果を沢山提示しているが、中々理解されない状況である。
数学界でも永い間の定説で、初めから、問題にしない人は多い状況である。ゼロ除算は算数、ユークリッド幾何学、解析幾何学など、数学の基本に関わることなので、この問題を究明、明確にして頂きたいと要請している:

再生核研究所声明 277(2016.01.26):アインシュタインの数学不信 ― 数学の欠陥
再生核研究所声明 278(2016.01.27): 面白いゼロ除算の混乱と話題 
再生核研究所声明279(2016.01.28) : ゼロ除算の意義
再生核研究所声明280(2016.01.29) : ゼロ除算の公認、認知を求める

我々のゼロ除算について8歳の少女が3週間くらいで、当たり前であると理解し、高校の先生たちも、簡単に理解されている数学、それを数学の専門家や、ゼロ除算の専門家が2年を超えても、誤解したり、受け入れられない状況は誠に奇妙で、アリストテレスの2000年を超える世の連続性についての固定した世界観や、上記天才数学者たちの足跡、数学界の定説に まるで全く嵌っている状況に感じられる。

以 上


考えてはいけないことが、考えられるようになった。 
説明できないことが説明できることになった。
Matrices and Division by Zero z/0 = 0
http://file.scirp.org/pdf/ALAMT_2016061413593686.pdf

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