2016年3月6日日曜日

認知症事故賠償訴訟 JRが敗訴 3月1日 19時17分

認知症事故賠償訴訟 JRが敗訴
3月1日 19時17分

認知症事故賠償訴訟 JRが敗訴
愛知県で認知症の男性が電車にはねられ死亡した事故を巡る裁判で、最高裁判所は、「家族に監督義務があるかどうかは生活の状況などを総合的に考慮すべきだ」という初めての判断を示し、今回のケースでは監督義務はなかったとして家族の賠償責任を認めない判決を言い渡しました。
平成19年、愛知県大府市のJR共和駅の構内で、認知症の91歳の男性が電車にはねられ死亡した事故で、JR東海は振り替え輸送にかかった費用などの賠償を求める裁判を起こし、1審と2審はいずれも家族に監督義務があるとして賠償を命じていました。
1日の判決で最高裁判所第3小法廷の岡部喜代子裁判長は、認知症の人や精神的な障害がある人の家族などが負う監督義務について「同居しているかどうかや介護の実態、それに財産の管理など日常的な関わりがどの程度かといった生活の状況などを総合的に考慮するべきだ」という初めての判断を示しました。そのうえで、「このケースでは妻も高齢者で介護が必要なうえ、長男も仕事のため離れて暮らしていたことなどから認知症の男性を監督することが可能な状況ではなかった」と指摘して、家族の監督義務や賠償責任を認めない判決を言い渡しました。
1日の判決は、認知症の人の家族などが無条件に賠償責任を負うのではなく、客観的に判断して監督することが難しい場合、責任を問われないとするもので、認知症などの介護の現場に広く影響を与えそうです。
認知症の男性の長男「温かい判断で大変感謝」
訴えられていた認知症の男性の長男は、判決のあと、弁護団を通じてコメントを出しました。長男は、「最高裁判所には、温かい判断をしていただいて大変感謝しています。よい結果となり、父も喜んでいると思います。8年間いろいろありましたが、これで肩の荷がおりました」とコメントしました。
弁護団の浅岡輝彦弁護士は「配偶者や家族だという理由だけで責任を問われることはないというこちらの主張が全面的に取り入れられ、すばらしい判決だと思います。認知症の人が関わる事案がいろいろある中で、介護の関係者や認知症の家族にとっては、救いになるのではないか」と話していました。
JR東海「真摯に受け止める」
今回の判決についてJR東海は「個々にはお気の毒な事情があることは十分に承知していますが、当社としては列車の運行に支障が生じ、振替輸送に係る費用なども発生したことから、裁判所の判断を求めたものです。今回の判決については、最高裁の判断ですので真摯(しんし)に受け止めます」とするコメントを発表しました。
判断のポイント
最高裁判所の判断は、認知症の家族だからといって、監督する義務を無条件に負うものではなく、生活の状況などを総合的に考慮して判断すべきだと指摘しています。
民法では法的な責任を問えない人が他人に損害を与えた場合、監督する立場の人が代わりに賠償責任を負うという規定があります。これについて最高裁判所は、認知症の人や精神的な障害がある人について、妻や実の息子だからといって、それだけで無条件で監督義務を負うものではないと判断しました。同居しているかどうかや、日常的な関わりがどの程度か、財産の管理にどう関与しているか、それに介護の実態などをもとに、家族などが監督義務を負うべきかどうかを考慮すべきだと指摘しました。
そのうえで今回のケースについて検討し、妻は当時85歳で介護が必要な状況だったうえ、長男も離れて暮らし、月に3回程度しか実家を訪ねていなかったことなどから、「認知症の男性を監督することはできなかった」として賠償責任は認められないと結論づけました。
認知症の人が事故を起こした時の家族などの責任について最高裁が判断の基準を示したのは初めてで、高齢化が進む中、認知症などの介護の現場に広く影響を与えそうです。
専門家「新たな法制度含め考えていく必要」
最高裁判所の判決について、損害賠償の問題に詳しい東京大学大学院の米村滋人准教授は、「認知症の人の家族に負担をかけるような判断をすべきではないという1審や2審への批判を重く受け止めた判決だと思う」と話しています。また「最高裁は、家族だけでなく、社会全体で責任を負う方向で問題を解決しようと、『認知症の高齢者と密接に関わりを持ち、監督できる立場にある人が責任を負う』という枠組みを示したのではないか」という見方を示しました。
一方で、「きょうの判決によると家族の中で高齢者と密接に関わる人ほど責任を負うリスクが高まり、病院や介護施設なども責任を負うリスクが出てくる」と指摘しています。そのうえで米村准教授は、「今回の判決ですべての問題が解決するとはいえない。少子高齢化の時代に、認知症の人が関わる事件や事故の負担を社会全体でどのように負っていくべきなのかしっかりと議論して、新たな法制度を作ることも含めて考えていく必要がある」と提言しています。
家族の会「感謝し敬意払いたい」
1日の判決について、「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「私たちはこれまでさまざまな方法で、家族の介護の大変さ、認知症の実態を裁判官に訴えてきましたが、それが通じたと思っています。法律家に認知症の問題を理解してもらえたことに感謝し、敬意を払いたいと思います」と話していました。
認知症の当事者で作る団体「認知症への理解を」
今回の判決について、認知症の当事者、およそ30人で作る「日本認知症ワーキンググループ」の藤田和子共同代表は、「認知症だと外出は危険だという一律の考え方や過剰な監視・制止は、私たちが生きる力や意欲を著しく蝕み、これから老後を迎える多くの人たちも生きにくい社会になることを懸念しています」と話しています。そのうえで、「今回の判決を機会に、家族だけに介護の責任を負わさず、認知症であっても安心して外出できる地域にすべての自治体がなるよう、具体的な取り組みを進めることを切望しています」として、認知症に対する理解や社会的な支援を求めています。
介護する家族は
認知症の高齢者と離れて暮らし介護にあたる家族からは、責任を問われる可能性があるならば安心して介護をすることができないといった声が聞かれました。
大阪・松原市に住む会社員、山口省三さんは(67)月に3回程度、東京で1人暮らしをしている母親の貴美子さん(95)の元に通って介護を続けています。おととし認知症と診断された貴美子さんは、週3回訪問看護のサービスを利用していますが、夜間は1人になるため山口さんは緊急の連絡に備え携帯電話を常にそばに置いているといいます。先週、2週間ぶりに母親の元を訪れた山口さんは、数日分の食料を買って冷蔵庫に入れ母親の様子を確認しました。山口さんが最も心配しているのが、一緒にいない間に母親が火事や事故を起こさないかということです。おととし、母親が台所のガスコンロをつけっぱなしにして鍋を焦がしてしまったのをきっかけに電気で調理をするIHの機器に替えました。はいかいに備えて、母親がいつも持ち歩くかばんに住所や名前が分かるキーホルダーをつけています。
山口さんは、「自分のように仕事などの都合で離れて暮らさざるをえない家族は今後増えると思う。24時間見守ることができない家族の介護には限界があることを理解してほしい」と話しています。そのうえで、今回の判決が家族に監督の義務があるかどうかは生活の状況などを総合的に考慮すべきだとしていることについて、「家族の責任が問われる可能性があるなら安心して介護を続けられない」と話していました。
年間1万人余が行方不明
警察庁によりますと、認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になったとして、警察に届けられた人はおととし1年間にのべ1万700人余りに上り、3年前に続いて、2年連続で1万人を超えました。このうち、98%はおととしのうちに所在が確認されましたが、168人は行方不明のままでした。
また、過去に行方不明の届け出が出され、おととし、死亡が確認された人は429人でした。
警察は、はいかいなどで行方不明になったお年寄りをいち早く発見して保護するための対策に取り組んでいて、ホームページに顔写真などの情報を公開したり、保護したものの、身元が分からない人の写真などを閲覧できる台帳を作成して警察署などに置いたりしています。
認知症の人の鉄道事故死22人
国土交通省によりますと昨年度、鉄道事故で亡くなった認知症の人は、少なくとも全国で22人に上るということです。
国土交通省は、全国のおよそ200の鉄道会社から事故報告書の提出を受けていて、昨年度からは事故の当事者が認知症だと分かった場合は報告書に記載するよう求めています。それによりますと、報告書に記載があった事故は29件で、22人が亡くなり、3人がけがをしたということです。
おととし8月、兵庫県佐用町で94歳の女性が列車にはねられて亡くなった事故など多くは線路への立ち入りが原因だったということです。鉄道各社によりますと、事故が起き、列車の運転を見合わせる時間が長くなると振り替え輸送の費用や人件費がかかるということで、NHKが全国の大手鉄道会社22社に対応を聞いたところ、14社が「相手方に原因があると判断した場合は、個別の事情に関かかわらず原則、賠償を求める」と答えました。残りの7社は「事故の状況などを踏まえて個別に判断する」と答え、このほかの1社は「公表できない」としました。
JRの訴えを退けた今回の判決は、今後の鉄道各社の事故後の対応に影響する可能性もあります。
電話相談が相次ぐ
介護に関する電話相談を行っている窓口には、認知症の高齢者のはいかいなどに悩む家族からの相談が相次いでいます。
東京・杉並区で介護に関する電話相談を15年以上続けている社会福祉法人の窓口には、年間およそ2000件の相談が寄せられています。このうちのおよそ8割は、認知症の高齢者を介護する家族からで、はいかいなどの症状への対応が分からず心身ともに疲れたといった相談が相次いでいます。この日は、60代の女性から「認知症の夫の介護で悩んでいるが、子どもは離れて暮らしていて頼れない」といった相談が寄せられ、担当者は「介護サービスの利用に加えて地域のボランティアに頼ってみてはどうか」とアドバイスしていました。
浴風会・介護支え合い電話相談の角田とよ子室長は「ドアに鍵をかけたり、つきっきりで介護をしていたりしても認知症の高齢者がはいかいするケースは少なくない。家の中に閉じ込めるわけにもいかず介護をする家族は疲れ切っているのが現状だ」と指摘しています。そのうえで、今回の判決について、「認知症の人と家族が安心して暮らせるよう地域で支える態勢を整えていく必要がある」と話しています。
損害保険の対象拡大も
認知症の人が起こした事故で家族が賠償を求められる場合に備えて、損害保険各社の間では、補償の対象を広げる動きがあります。
認知症の人が他人にけがをさせたり物を壊したりした場合、同居している家族や本人が「個人賠償責任保険」に契約していれば相手に支払う賠償金が原則、補償されますが、これまでは離れて暮らす家族は補償の対象になっていませんでした。
しかし、損害保険大手の三井住友海上とあいおいニッセイ同和の2社は去年10月から離れて暮らす家族も補償されるように対象を拡大しました。二つの社は今回の裁判をきっかけに対象を広げたということで、「高齢者だけの世帯が増えるなか、離れて暮らす家族が賠償を求められるケースも増えると考えた」としています。
また東京海上日動火災もことし10月に個人賠償責任保険の対象を同じように拡大するほか、損害保険ジャパン日本興亜も来年度中の拡大を検討しているということで、認知症の人の事故に備える動きが広がっています。
10年後には5人に1人が認知症
厚生労働省によりますと、認知症の高齢者は去年の時点で全国で520万人と推計され、いわゆる、団塊の世代がすべて75歳以上になる9年後には700万人に達して高齢者のおよそ5人に1人に上ると見込まれています。
厚生労働省は去年1月「新オレンジプラン」と呼ばれる、認知症の医療と介護の5か年計画を策定しました。これには、認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう認知症の人を支える医療と介護の充実や治療法などの研究開発の推進、それに、認知症の本人やその家族の視点を重視し政策に反映させることなどが盛り込まれています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160301/k10010427311000.html

再生核研究所声明 1 (2007/01/27):美しい社会はどうしたらできるか、 美しい社会とは:

最近の世相として,不景気・政界・財界・官界・大学の不振,教育の混迷,さらにニューヨークのテロ事件,アフガン紛争,パレスチナ問題と心痛めることが多いことです.どうしたら美しい社会を築けるでしょうか.一年半も前に纏めた次の手記はそれらのすべての解決の基礎になると思いますが,如何でしょうか.

平成12年9月21日早朝,公正とは何かについて次のような考えがひらめいて目を覚ました.

1) 法律,規則,慣習,約束に合っているか.
2) 逆の立場に立ってみてそれは受け入れられるか.
3) それはみんなに受け入れられるか. 
4) それは安定的に実現可能か.

これらの「公正の判定条件」の視点から一つの行為を確認して諒となればそれは公正といえる.

現在,社会の規範が混乱し,不透明になっているように思うが,公正の原則を確認して,行動していけば ―― これは容易なことではないが ―― 世の中ははるかに明るくなり,多くの混乱は少なくなると思いますが如何でしょうか.

また,こういうことを考える教育は,人間関係や社会生活の基本的な在り方を明らかにし,環境の保全などにも貢献すると思います.

特に少年期の教育にあっては哲学(ものごとの本質と人生,世界を考えること),道徳,芸術,体育などを中心とする人間を育てる教育に改めるべきではないでしょうか.国や隣人を愛せるようになる教育,多様性を重視し,個性や隠れた才能を伸ばし,友情を育み,人々が助け合うようになるような教育が望まれます.

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