再生核研究所声明233(2015年6月9日)西行花伝 - 辻邦生、新潮社を読んで
- よっちゃんの想いの中でも述べたように、 - 私は、 - と述べ、素人の簡単な所見が
そこで、今回は全体的な感じを纏めたい。
まず、どのようにして書かれたのかと考えると、その壮大な構想、深い考察、繊細な表現には驚嘆に値すると著者に対して畏敬の念に駆られる。多分、歴史を学び、関係文献を整理して、登場人物像を描き、特に西行については著者の世界観も反映させ人物像を描き、平安時代末期の時代背景を元に当時の世界を人物を織り込んで纏められている。それゆえに、その荘重さに驚嘆させられる。人物像や社会、政治混乱の様子を時代を映画を見るように見事に描き出しているのであるから、実に凄いと感じてしまう。
そこで、実像と虚像、フィクションの関係でいろいろ警戒する必要もあるが、当時の世相、権力の現場、社会、人々の人生観を拝見出来て、とにかく得がたい経験、世界を覗いたように感じるだろう。当時の宮廷内部の様子も相当に深く触れられていて、感じるところが大きい。皇室の絶対の権力および、それが揺らいでいく状況もよく描かれている。大きな世界、時代に触れて、世界が大きく拓かれたように感じるだろう。世の多くの価値については、省察が求められるだろう。
宮廷内の権力争いの現実が様子が相当事実的に描かれているので、歴史の真実の姿についても、大いに学べるのではないだろうか。源氏や平氏の様子なども全体的によくわかる。
勿論、西行の人物像の描写が本の主題である。それは西行の人物像、事実に基づいた著者の解釈とみたい。
西行とはどのような人物であろうか。
志、求道と同じように考えられる。自然を愛でて歌に表現することが よくわかる。書を読まれた方は 現代人よりある意味で
西行は相当に満足な気持ちをもって人生を閉じたと言える。そのような面でも読書後に、好感の印象を受けるのではないだろうか。多くの人が、生活におわれ,育児家庭のことで心を悩まされるのが人生であるとも言えるのに対して、西行の場合、大きな豪族で生活の基礎がしっかりしていて、歌をとうして、広い交友関係を持ち、出家された僧侶として、家庭を持たなかったのであるから、自由な豊かな人生を楽しめたとも言える。その中心をしっかりと捉えたい。
今後、繰り返し、精読を続け、いろいろ感じたところを纏めていき、理解を深めたい。
以上
西行花伝(新潮文庫)/辻邦生
1008円
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