「物理学の基礎としての物質と真空概念の変遷」
( これは最近「 日本科学者会議大阪支部哲学研究会」で報告したもののレジュメです。物理教育の参考になるはずです。)
物質概念と真空(空間)概念とは密接に関連していて、物理学の基礎をなすものです。物質と真空(空間)の物理的概念は、自然科学の進歩とともに変化発展してきた。その歴史的変遷(進化)の過程は物理学の進歩・発展の指標ともいえるほど重要なものである。
古典科学から近代物理学・化学、そして現代物理学・宇宙論まで、それがどのように進化してきたかを、科学論の観点から報告する。
1.古代の物質、空間概念
古代科学の主要テーマ:物質観、宇宙観、生命観
宇宙観(宇宙像)と空間概念は密接に関連。
物理的空間と真空の区別は明確ではない。
物質観:原子論と元素論(原子は大きさの究極要素、元素は質の究極要素)、
物質不滅。
宇宙観:構造のある有限宇宙とユークリッド的無限宇宙。
空間観:物質の無い空の空間(真空)を認めるものと、物質と空間は不可分(物質即空 間)という真空否定論。
2.古代ギリシアの主な物質・空間概念
・デモクリトス・エピクロス原子論:(ルクレチュウスが集大成)- 無神論
物質の究極実体として不変不可分な原子(atom)の存在を仮定、自然界の運動・変化を 原子の運動・組み合わせで説明。
原子は真空中を運動:真空の存在が不可欠。
物質ごとの原子が元素でもある(霊魂の原子も仮定された)。
宇宙空間は無限に開かれたもの。
・アリストテレス自然学
元素論:初期の一元論(水、火など)から多元素論へ
アリストテレスの元素論:4元素-火、水、土、空気;4性質-温、乾、湿、冷、
4元素と4性質の組み合わせですべての物質の性質と変化を説明。
空間論:物質と空間は不可分、真空を否定-真空嫌悪説。原子論と対立。
真空否定のために天上界に第5の元素エーテルを仮定。
宇宙観:地球中心の階層的有限宇宙-恒星天球、惑星天球。上空ほど質が高く高位。
・インド、中国の物質観・宇宙観
インド:原子論、元素論-宗派ごとに異なるもの。階層的原子論もあった。
ジャイナ教-ニャーニャ・バイシェーシカ派の原子論が有名。
不変不可分の究極原子、真空中を運動し離合集散。
元素論:火一元論から最後は5元素論(火、水、地、風、虚空(akasa))
それぞれの元素に固有の4性質(色、味、香、可触性)を付与。
「虚空」が元素の中に入っていることが特徴。
宇宙観:地球中心の有限宇宙、輪廻思想に基づく循環的宇宙。
中国:元素論はあったが原子論は無い。
気一元論-陰陽説-五行説(木、火、土、金、水)。
空間は気に充たされている-空間と物質は不可分-真空否定、原子論無し。
宇宙観:有限宇宙-天蓋説、渾天説
無限宇宙-宣夜説 (観念的理論)
このように、空間と物質の関係は密接であり、二つの自然観として対立して存在した。それぞれ二つの流れを作り、その後の自然観に影響を与えた。
3.中世から近代科学の前夜まで ・アラビア科学
科学文明の中心はイスラム圏アラビア科学へ移行。ギリシア科学とインド・中国から科学・技術を受け容れ、継承発展させた。アリストテレス自然学に対する批判が芽吹き、独自のアラビア科学を築く。
物質観、宇宙観はアリストテレス自然観とプトレマイオス天文学を受け継ぎ、とくに注目するほどの変化なし。運動学については、アリストテレスの媒体説からの脱皮を示すmayl説(運動傾向説)がでる-残留説、インペトゥス理論への道を拓いた。
また、プトレマイオス天文学への疑問をもち、批判もでた。
・中世西欧科学
14世紀に太陽中心説が現れる:新プラトン主義の影響を受けて、万物を育む太陽に特別の意味を与える自然観。
ニコル・オレムは太陽中心説を唱え、古来からの自然学や神学を反論し、地球の日周運動の可能性を論じた。ニコラウス・クサヌスは地球は星の一つであり、無限宇宙の中を運動と主張(15世紀)。
コペルニクスの太陽中心の地動説(1543):宇宙空間革命-アリストテレス自然学崩壊の端緒。しかし、彼はまだアリストテレスの恒星天と有限宇宙模型を信じ、円の概念を尊重した。
コペルニクス以前に太陽中心の地動説を唱えた者はいたが、それが受け容れられなかったのは当時の自然観や宗教的教義のためばかりではなく、運動学的理由、天文学的理由があった。
ガリレオの地動説擁護(1632):地球運動を感じない理由-運動の相対性 。
望遠鏡による月と惑星の観測から地球は他の惑星と同じ天体。
無限宇宙へ:恒星の年周視差が観測されないことから、恒星は従来の予想より遙か遠方。
ジョルダーノ・ブルーは天球を否定し、拓かれた無限宇宙を力説。
ケプラーの法則(1609~19):惑星運動に関する3法則-楕円軌道-円のドグマからの開放。その意義が注目されだしたのはずっと後。
惑星の運動を力学の対象にし、天上界と地上界の間の壁を無くした。
物質観:原子論の復活-ガッサンディは宇宙創生時の神の一撃で原子に運動を与えたとして、ギリシア原子論の無神論を回避して復活させた。
ボイルの粒子哲学、デカルト微粒子渦動論の提唱-原子論的自然観の定着へ。
インド、中国の物理学的物質・真空概念は、中世以後ほとんど進歩しなかった。
4.近代科学の基礎にある物質観と真空概念
16~17世紀に近代力学が成立。それを皮切りに、実証科学として近代科学が築かれた。近代物理学の基礎にある自然観は、原子論的、機械論的、数学的自然観である。
近代力学-ニュートン力学-が築かれうるためには、コペルニクス革命に引き続く重要な発見が必要であった。それらは、原子論の定着とともに、真空の存在、等方等質な無限宇宙空間、運動に関する物質の本性の認識革命などである。
その理由を以下に述べる。その中心的科学者はガリレオである。
(1)無限に開かれた等方等質空間の宇宙
コペルニクスの地動説を契機に、アリストテレスの有限階層宇宙模型が崩壊し、宇宙は無限であり、階層性も上下の質的差違もなく空間は等質等方であると見なされるようになった。太陽系はその無限宇宙に浮かぶ恒星系の一つ。
この宇宙模型は古代ギリシアの原子論の宇宙観と同じで、原子論を支持する一要因。
(2)慣性法則の発見:運動に関する物質の本性の認識転換
アリストテレスは、物質の本性は静止にあるといって、力が働き続けなければ物質は静止すると主張。アリストテレスの力学「媒体説」に対する疑問は3世紀頃からあり、14世紀にビュリダンなどの理論(投射体に手からインペトゥスが与えられ運動し続ける)が主流となっていた。
ガリレイは物質の慣性を見出し、運動に関する慣性法則を発見した(1638)。物質の本性は静止でなく、同じ速度を維持する性質(慣性)を有す、すなわち、物体に力が働かなければ等速運動を続ける。
慣性法則は運動に関する物質観の180度転換である。力学の基礎となるもっとも重要なものである-近代力学への道を拓いた。
これによって、力学の基本概念は力と加速度であることが認識された(アリストテレス力学の基本概念は力と速度)。
慣性法則は等方等質の無限空間で成立:空間が有限であれば、その境目で止まる。空間が等方等質でなければ力の作用なしで速度は変化する。
ガリレイの慣性法則の発見は、地球上の水平運動としてなされたから、慣性運動は地球を一周する円運動となる。ガリレイは天体の円運動は慣性運動と考えていた。
等方等質の無限空間で成立する完全な意味での慣性法則はデカルトにより確立された。
慣性法則を力学理論の基礎に据えてのもデカルト。
(3)ガリレイの自由落下法則
物体の落下運動は等加速度運動であること、また空気抵抗など副次的要素を排除した理想的状況下では、すべての物体は重さに関係なく同一加速度で落下する(アリストテレスの等速落下を否定)。 ガリレイの落下法則は真空の存在を前提にして成立する。
S=gt2/2 : 物体の質量は無関係
この法則を用いて円運動や放物運動などいろいろな加速度運動を分析-定量的力学理論を築く基礎となった。
(4)真空の存在を確認することが原子論成立の必要条件
アリストテレスの真空否定「真空嫌悪説」に対する疑問が台頭していた。
鉱山の鉱水汲み上げのポンプや井戸ポンプが10m以上は働かないこと、ポンプの筒のその上部は空ではないかという疑問がでた。ガリレイは「真空の力」と推測される現象例をいろいろあげている。「真空の恐れ」は有限と見られるようになった。
トリチェリーの真空実験(1643):水では10mだが、水銀なら76cmなので確実な実験がしやすいことに着眼。ガリレオが弟子のトリチェリーに示唆したらしい。
水銀柱の上部の空間は真空と主張し、水銀を押し上げる力は大気圧と推測。
それに対して、そこの空間は空ではなく、水銀蒸気があるとか、エーテルのようなある種の媒質があるといって、真空であることを認めない説もでた(デカルト)。
デカルトは宇宙に充満する一種の流体(微粒子)の存在を仮定し、その渦運動で天体の運行や重力を説明した。空間即物質のアリストテレス的空間論を受け継ぎ真空を否定した。
パスカルの「真空中の真空」実験:大気圧説を支持するものとして、高山上では水銀柱が低くなることを示した。決定的実験はパスカルの実験、トリチェリーの真空中でこの実験をすると水銀柱は上昇しない、というものであった。
ゲーリケが真空ポンプを発明し、真空科学が急速に進歩した。
パスカルの原理(流体の圧力の伝達則)、ボイルの法則(気体の体積と圧力の関係)がトリチェリーの実験と関連して発見された。
(5)原子論的自然観
原子論は17世紀以後の自然観の主流となった。
原子の機械的運動によって自然現象を説明-機械論的自然観の基礎。
ニュートン力学の背景に原子論:質点力学、等方等質の無限空間と一様時間。
宇宙の構成要素としての原子:自然現象をすべて原子の運動に帰す。
ラヴォアジェの元素概念の転換:近代的元素概念の確立(1789)-近代化学の誕生へ
ドルトンの原子論(19世紀):化学的原子論、熱素説のもとで熱学と関連(自由熱素・束縛熱素と真空-原子の隙間の空間に熱素が侵入)。
熱の原子運動論の成立(1845頃から):分子統計力学へ。
5.ニュートン力学の基礎
(1)ニュートン力学誕生の背景:
絶対空間・時間と経験的相対空間・時間の存在を仮定-絶対時空間は無限な等方等質空間と、一様に流れる時間を前提。
・ガリレイ・デカルトの慣性原理が力学理論の基礎。
・質点力学がベース:原子論的自然観を基礎にして成立。
・ケプラーの3法則:地上の法則と天上界の法則を同じ力学の対象へ。
(2)ニュートン力学について
・基本法則:慣性法則、運動法則、作用-反作用の法則
・運動法則:ma=fは質点にたいして成立-原子論が背景。
・1物体への力を外力として扱い、外力の作用で物体は真空中を自由に運動。
力学を単純な1体問題に帰着させた。デカルトのように宇宙を充たす媒質粒子の力学では不可
能。
・力の作用は2物体間の相互作用が基本:作用-反作用の法則
・拡がりのある物体や流体は質点の集合として扱いうる:オイラーたちにより完成。
(3)万有引力説
万有引力発見の背景:
・ガリレイの落下法則-地上ではすべての物体は真空中で同一加速度で落下(リンゴも石も羽毛
も)。
・円運動の向心加速度を落下法則を用いて求めうる。
・天上界の月も地上の物体も同じ力学法則に従う。
・真空中を伝わる遠隔作用を認める:デカルトの媒質渦動論を否定。
万有引力説について:
・地上の落下加速度と月の落下加速度を比較。
・距離の2乗に反比例し質量に比例する引力:地上の落下現象(リンゴ)だけからは距離依存性はえ られない。
・ケプラーの3法則(とくに楕円軌道)の説明で万有引力の法則の正しさを確信。
フックも同じ重力の法則をえた。
・空の空間(真空)中を伝わる万有引力は大きな仮定:デカルト派はそれを数学的仮説と批判-
両派の長年の論争。
ニュートンは遠隔力を説明できず「空間は神々に満ちている」と逃げた。その解決は現代科学に残 された。
・原子間の直接的2体力の合成でマクロ物体間の重力となると考えた。
ニュートンは地球の重力は独立な原子間力(万有引力)の合成力であるとして、地球の中心に向か う重力を導いた。
(6)エーテルと真空
光の波動説と粒子説は17世紀以前からあった。光速度が有限であり、その値が測定され、また光の波動説が19世紀の初めにヤングやフレネルによって確立された。
光を伝える媒質として宇宙に充満するエーテルが仮定された。エーテルは古代からいろいろな姿で登場してきたが、19世紀にはその存在は無視できなくなった。
電磁気学の進歩で、ファラデー・マクスウェルの場の理論派は、電磁場はエーテルの緊張状態であるとした。
マクスウェルの電磁波理論:電磁波を予言し、光の電磁波説を提唱。電磁場エーテルと光エーテルの統一へ-エーテルの存在を確信。
宇宙に充満する静止エーテルの存在は絶対空間を象徴。
エーテルを追って:エーテルの存在を実証しようと、電磁気現象 光現象を通していろいろな実験が試みられた。
マイケルソン・モーレーの実験:光りの往復運動から地球のエーテルに対する相対運動の効果を測定。 否定的結果から相対性理論へ。
ローレンツの電子論:静止エーテルの存在を前提。電磁場と電子を実体とする。
近代物理学における物質と真空概念:まとめ
空間:幾何学的延長、一様無限なユークリッド空間
真空:物質(原子・エーテル)とは独立な空の物理的空間。物質の受け皿としてその運動変化の
舞台である。(エネルギー的には最低の状態。)
物質:原子・元素論。究極的実体は原子。各原子に固有の質が元素。
このように、物質と真空概念は物理学の重要な基礎概念である。アリストテレス自然学の物質、真空(宇宙空間)概念から抜けて、近代科学的な物質、真空 概念への転換は近代科学成立には不可欠であった。
6.現代科学の物質・真空概念
(1)20世紀の物理革命:相対性理論と量子論
・19世紀終わり頃、近代物理学は、宇宙の原理をすべて掴んだと、物理学者の自負。
しかし、放射性元素の発見、陰極線から電子の発見-不変不滅の古典原子論への疑念。・エーテ ルに対する地球の相対運動の効果見出せず。黒体輻射(空洞輻射)のエネルギー 無限大の困 難-近代物理学への確かな信頼が揺らぎ出す。
アインシュタインの特殊相対性理論(1905)
・時間・空間概念の変革:絶対時空を否定
2つの原理:運動の相対性、光速度一定性。
・エーテルの存在を否定:真空は空の空間、その空の真空が物理的場-電磁場の舞台。
・運動により時間・空間スケールは変化:ローレンツ変換、 4次元ミンコフスキー空間。
・質量とエネルギーの同等性:物質概念の変更。
近代物理(ニュートン力学)への批判、その限界を認識。
一般相対性理論(1915)
・慣性系は人為的選択の基準系:自然法則は座標系の採り方に依存しないはず-加速度系を含 む一般座標系へ。
・万有引力は遠隔作用-電磁場の概念を拡張し、重力場による伝達を目指す。
・2つの原理の上に構成:一般相対性原理(すべての座標系で物理法則は同じ)と等価原理(重力 加速度と重力は同等)。特殊相対性理論の単なる一般化ではない。
・重力は4次元時空間の歪み:重力の幾何学化-等価原理による。
・任意座標系を同等に扱うにはユークリッド空間では不可-リーマン空間による記述。
物理的時空間の革命:一様無限時空から曲率をもった歪んだ時空間へ。
・アインシュタインの重力方程式:容れ物の時空間と中味の物質との相互規定的関係。
重力場はエネルギー・運動量を有し、時空間と不可分な存在。空間は単なる物質の容れ物ではな い。
時空間の構造が重力による物質の運動を規定し、逆に物質が時空間の構造を規定。
・ブラックホール:宇宙の中の小宇宙(閉じた空間)。
・一般相対論の宇宙:時空と物質が相互規定的に、持ちつ持たれつしつつ発展する一つの システム-原因・結果の時系列的運動・発展ではなく、同時的相互規定性。
これは物質と時空の新たな「存在の理法」の観点。
(作用-反作用の法則は力の作用の発現形式を表現した現象論。相互規定性ではない。)
古典原子概念の崩壊:階層的自然観へ
・原子・分子の存在を実証:アインシュタインの分子統計力学-ペランがブラウン運動の測定から分 子の実証。
・放射性原子の発見:不変実体の否定-元素の転換、原子は構造を有す-トムソンの原子模型。
・ラザフォードの有核原子模型:原子核と外殻電子。マクスウェル電磁気論と矛盾。
・古典的原子概念の崩壊-原子核も複合系(陽子・中性子)-階層的自然観へ。
量子論の誕生
・プランクの作用量子発見(1900年)
・物質粒子の2重性:ミクロ物質は粒子性と波動性(ド・ブロイ)を有する実体-物質概念の革命的変更。
・有核原子模型、原子スペクトル、作用量子の困難を統一-ボーアの前期量子論。
・ハイゼンベルグ・シュレーディンガーの量子力学(1925~6)
エネルギーの不連続性、量子飛躍-確率法則(ボルン)が物理理論に本質的に導入され た。
古典物理概念の全面的変革-科学革命、自然認識の意味を問い直す。
相対論的場の量子論:反粒子を予言
・相対論と量子論の統一:ディラックの電子論-真空の空孔理論-陽電子(反電子)の存在を予言。
・すべての粒子に反粒子が存在:反物質・反宇宙(裏の世界)の可能性-物質概念の再 革命。
真空から粒子・反粒子の対発生、対消滅して真空へ。
・真空の物質性:真空は粒子と反粒子が無限に縮退したエネルギー最低の空間-空の物理的空間 は存在しない。ごく短時間のうちに対発生・対消滅を繰り返している。
真空をエネルギー最低(ゼロとする)の安定な状態と定義。
・無限多体問題:厳密には1電子でも1体問題として扱えない-真空の粒子・反粒子と相互作用- 真空偏極、自己エネルギーなど無限大の困難-繰り込み理論へ。
相対性理論はエーテルを追放し、いったん真空を空にしたが、量子論とともに再び真空を 物質で埋めた。
反粒子の存在は、宇宙創世時の物質の起源を説明する糸口となる。
真空の相転移:ヒグス場の縮退
・宇宙生成のビッグバンから膨張する宇宙-温度降下-ヒグス場による真空の相転移。
・自発的対称性の破れ:中性ヒグス場がボーズ凝縮をした状態がエネルギー最低の状態-それが 真空。真空の非対称性。
・相互作用の統一理論:4種の基礎的相互作用は宇宙創生時には統一された一つのもの (現在 は超高エネルギー相互作用、あるいは極短距離相互作用で実現)と見なされる。
真空の相転移により相互作用の対称性が破れ、4種の相互作用に分岐。
真空の非対称性が相互作用の分岐を生み、自然の多様性の根源。
現代の物理的真空:複雑な構造-粒子・反粒子対、ヒグス場などを内包した空間。
物理学の進歩・発展の基礎に物質概念と真空(時空間)概念の変革があった。
-------------------------------------
現代物理学の物質観と時空(真空)観
物質 ←----→ 相互規定 ←----→ 時空間
・階層的構造 ・空間概念と真空を区別
宇宙---原子---クォーク ・連続的延長
物質の非連続性 幾何学的構造(ユークリッド性、 非ユークリッド性)
・元素概念:質的区別、相互転化
原子の場合:物質の種 ・真空:エーテルで充たされた空間 素粒子・クォークの場合:量子数 ・内部空間(内部対称性空間)
荷電スピン空間、色対称性空間など
・質量=エネルギー:同等性 ・空間=真空(エーテル否定)
E=Mc2 空間(真空)は物理的場
・物質と時空の相互依存 ・空間の大域的位相構造 空間の物質性(一般相対性理論) 宇宙構造:閉空間か開空間か、
ブラックホール:宇宙は連結でない
・量子論:粒子・波動の二重性 ・量子的不可分性
局在性と非局在性
・物質と反物質 ・真空の物質性:空の空間を否定
真空から粒子-反粒子の対発生・対消滅 粒子・反粒子の凝縮した空間
ヒグス場の凝縮
・真空の相転移:ヒグス場の縮退
・物質場とゲージ場
相互規定性的存在 ・場の量子論の真空:物理的真空とは
エネルギー最低の安定な状態
無限多体問題:繰り込みが必要 ・エントロピー増大則 ・時間の非可逆性
・物質の本性:運動と相互作用
物質の能動性:自己組織化、進化
すべての原因は物質の相互作用、および物質と時空間との相互規定関係。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参考文献
説明不足のところは以下の拙著を参照してください。
1.『物理学の論理と方法 上下卷 』大月書店(1983)、
2.『素粒子・クォークのはなし』新日本新書(1985)、
3.『東の科学・西の科学』東方出版(1988)、
4.『力とは何か』丸善株式会社(1995)
5.『科学は自然をどう語ってきたか』ミネルヴァ書房(1999)、
6.『科学はこうして発展した-科学革命の論理』せせらぎ書房(2002)、
7.「アインシュタインの自然観と思考形式」素粒子論研究Vol.114,No.1(2006)http://zero21.blog65.fc2.com/?mode=m&no=64
再生核研究所声明287(2016.02.12) 神秘的なゼロ除算の歴史―数学界で見捨てられていたゼロ除算
(最近 相当 ゼロ除算について幅広く歴史、状況について調べている。)
ゼロ除算とは ゼロで割ることを考えることである。ゼロがインドで628年に記録され、現代数学の四則演算ができていたが、そのとき、既にゼロで割ることか考えられていた。しかしながら、その後1300年を超えてずっと我々の研究成果以外解決には至っていないと言える。実に面白いのは、628年の時に、ゼロ除算は正解と判断される結果1/0=0が期待されていたということである。さらに、詳しく歴史を調べているC.B. Boyer氏の視点では、ゼロ除算を最初に考えたのはアリストテレスであると判断され、アリストテレスは ゼロ除算は不可能であると判断していたという。― 真空で比を考えること、ゼロで割ることはできない。アリストテレスの世界観は 2000年を超えて現代にも及び、我々の得たゼロ除算はアリストテレスの 世界は連続である に反しているので受け入れられないと 複数の数学者が言明されたり、情感でゼロ除算は受け入れられないという人は結構多い。
数学界では,オイラーが積極的に1/0 は無限であるという論文を書き、その誤りを論じた論文がある。アーベルも記号として、それを無限と表し、リーマンもその流れで無限遠点の概念を持ち、リーマン球面を考えている。これらの思想は現代でも踏襲され、超古典アルフォースの複素解析の本にもしっかりと受け継がれている。現代数学の世界の常識である。これらが畏れ多い天才たちの足跡である。こうなると、ゼロ除算は数学的に確定し、何びとと雖も疑うことのない、数学的真実であると考えるのは至極当然である。― ゼロ除算はそのような重い歴史で、数学界では見捨てられていた問題であると言える。
しかしながら、現在に至るも ゼロ除算は広い世界で話題になっている。 まず、顕著な研究者たちの議論を紹介したい:
論理、計算機科学、代数的な体の構造の問題(J. A. Bergstra, Y. Hirshfeld and J. V. Tucker)、
特殊相対性の理論とゼロ除算の関係(J. P. Barukcic and I. Barukcic)、
計算器がゼロ除算に会うと実害が起きることから、ゼロ除算回避の視点から、ゼロ除算の研究(T. S. Reis and James A.D.W. Anderson)。
またフランスでも、奇怪な抽象的な世界を建設している人たちがいるが、個人レベルでもいろいろ奇怪な議論をしている人があとを立たない。また、数学界の難問リーマン予想に関係しているという。
直接議論を行っているところであるが、ゼロ除算で大きな広い話題は 特殊相対性理論、一般相対性理論の関係である。実際、物理とゼロ除算の関係はアリストテレス以来、ニュートン、アインシュタインの中心的な課題で、それはアインシュタインの次の意味深長な言葉で表現される:
Albert Einstein:
Blackholes are where God divided by zero.
I don’t believe in mathematics.
George Gamow (1904-1968) Russian-born American nuclear physicist and cosmologist remarked that "it is well known to students of high school algebra" that division by zero is not valid; and Einstein admitted it as {\bf the biggest blunder of his life} [1]:
1. Gamow, G., My World Line (Viking, New York). p 44, 1970.
数学では不可能である、あるいは無限遠点と確定していた数学、それでも話題が尽きなかったゼロ除算、それが予想外の偶然性から、思いがけない結果、ゼロ除算は一般化された除算,分数の意味で、何時でも唯一つに定まり、解は何時でもゼロであるという、美しい結果が発見された。いろいろ具体的な例を上げて、我々の世界に直接関係する数学で、結果は確定的であるとして、世界の公認を要請している:
再生核研究所声明280(2016.01.29) ゼロ除算の公認、認知を求める
Announcement 282: The Division by Zero $z/0=0$ on the Second Birthday
詳しい解説も次で行っている:
○ 堪らなく楽しい数学-ゼロで割ることを考える(18)
数学基礎学力研究会のホームページ
URLは http://www.mirun.sctv.jp/~suugaku
以 上
何故ゼロ除算が不可能であったか理由
1 割り算を掛け算の逆と考えた事
2 極限で考えようとした事
3 教科書やあらゆる文献が、不可能であると書いてあるので、みんなそう思った。
Matrices and Division by Zero z/0 = 0
http://file.scirp.org/pdf/ALAMT_2016061413593686.pdf
0 件のコメント:
コメントを投稿