2015年12月30日水曜日

physics

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物理学(ぶつりがく、physics)は、自然科学の一分野である。自然界に見られる現象には、人間の恣意的な解釈に依らない普遍的な法則があると考え、自然界の現象とその性質を、物質とその間に働く相互作用によって理解すること(力学的理解)、および物質をより基本的な要素に還元して理解すること(原子論的理解)を目的とする。化学、生物学、地学などほかの自然科学に比べ数学との親和性が非常に強い。
古代ギリシアの自然学 (φύσις physis) にその源があり、"physics"という言葉も、元々は自然についての一般的な知識の追求を意味しており、天体現象から生物現象までを含む幅広い概念だった。現在の、物理現象のみを追求する"physics"として自然哲学から独立した意味を持つようになったのは19世紀からである。
物理学の古典的な研究分野は、物体の運動、光と色彩、音響、電気と磁気、熱、波動、天体の諸現象(物理現象)である。
目次 [非表示]
1 概論
1.1 物理現象の微視的視点と巨視的視点
1.2 物理学と数学
1.3 物理学の発展と拡張
1.4 物理学の親和性
2 主要な物理分野
2.1 学問体系
2.2 研究方法
2.3 専門分野
2.4 関連分野・境界領域
2.5 手法
3 物理の基礎概念
3.1 物理量
3.2 基本的な4つの力
3.3 物質の構成要素
4 図表
5 物理学の概略史
5.1 自然哲学
5.2 近代科学
5.3 電磁気学の発達
5.4 現代物理学
6 今後の方向性
7 参考文献
8 関連項目
9 出典
概論[編集]
物理現象の微視的視点と巨視的視点[編集]
物理学では物理現象を微視的な視点と巨視的な視点とから研究する[要出典]。
[要出典]微視的な視点の代表的なものは素粒子物理学で、自然界に存在するさまざまな物質が分子や原子、電子といった種類の限られた基本要素の組み合わせによって構成されていることを突き止めてきた。素粒子物理学は核子よりさらに基本的な要素であるクォークが存在することを解明し、さらにもっと基本的な要素であるストリングなどが研究されている。また、こうした物質要素の間に働く力が、重力、電磁気力、弱い力、強い力(又は核力)の四種類の力に還元できることも明らかにされてきた。現在知られている相互作用は以上の四つのみである。
[要出典]巨視的な視点からは、液体や気体、熱エネルギー、エントロピー、波といった巨視的な物理現象が研究される。こうした巨視的現象も原理的には無数の粒子の微視的現象の積み重ねの結果であると考えられているが、構成粒子数が極端に多いために、すべての素過程を記述して、そこから巨視的な現象を導くことは事実上不可能である。一方、こうした巨視的現象には構成粒子の従う法則とは関係なく、物質の巨視的な振る舞いを支配する別個の法則が存在するように見える。例えば、水や雲、蜂蜜といった液体は、原子レベルにさかのぼらなくても、液体として同じ法則に従って振る舞い、それらの物質的な特性の違いは粘性のような巨視的なパラメータとして表される。
材料力学や流体力学はそうした巨視的現象の法則からなる独立した物理学上の理論体系である。巨視現象を説明しながら微視現象との親和性が高い巨視物理学は統計熱力学のみである。ここで注意しなければならないのは材料力学や流体力学はそれらの適用範囲においては、他の理論から完全に閉じた理論体系として存在していることである。
現代の物理学は、たとえば素粒子論がある一方で熱力学があるように、巨視的現象の理論と微視的現象を記述する力学とをつなぐ理論や現象も、重要なテーマとして研究されている。一般的にこの分野では統計物理学と呼ばれる強力な手法が使われる。ルートヴィッヒ・ボルツマンらによって開発されたこの手法は、構成粒子の振る舞いを統計的に処理することによって、巨視的現象と結びつけるものである。統計力学の基礎づけは、古典力学によっては不可能であり、量子力学は欠かせない。また、量子力学の発見には、黒体放射を説明するプランクの法則など、当時の古典統計力学における問題とも深い関わりがあった。
大量の数値計算を可能にするスーパーコンピュータによって、大量の粒子の理論的振る舞いを数値的にシミュレートして巨視的な振る舞いを再現させようとする計算物理学の試みが20世紀後半から勃興している。
物理学と数学[編集]

物理学にとって数学は欠くことのできない道具である。自然現象を数式によって定量的に記述していくことは、物理学における基本的な方法論のひとつであり、どんな教科書にも方程式が、特に微分方程式が、よく登場する。この写真は物理学の教科書の一例で、熱・統計力学に関する本。
物理学では、理論やモデルを数式として表現することが多い。これは、自然言語で記述するとどうしても厳密さに欠け、定量的な評価や複雑な推論をすることが難しいためである。数学は非常に強力な記号操作体系であるため、推論を一連の計算として実行することが可能なことと、複雑なモデルを正確・簡潔に表現することに適している。このように言語としての数学は、物理学を記述するのに適した特性を備えているが、学問としての物理学と数学は扱う対象も方法論も異なる。
物理学の研究において最も重要なステップの一つは、物理法則を数式に表現する前の段階、観測された事実の中から記述すべき基本的な要素を抽出する行為である[要出典]。電磁気学に貢献したマイケル・ファラデーが正規の教育を受けなかったため、数学的知識がなかったにもかかわらず、さまざまな発見を成し遂げたことや、ノーベル賞を受賞したリチャード・P・ファインマンが液体ヘリウムについて論じた論文やジョージ・ガモフが初めてビッグバン理論を提唱した論文には数式が出てこないことは、自然界の中に記述すべき対象を見つけ出す営みが物理学において重要なステップであるということを示している[要出典]。
物理学の発展と拡張[編集]
物理学の歴史は一見異なって見える現象を、同一の法則の異なる側面であるとして、統一的に説明していく歴史でもあった[要出典](物理学の歴史そのものについては後述)。
地上付近での物体の落下と月の運動を同じ万有引力によるものとしたニュートンの重力の理論は、それまであった惑星の運動に関するケプラーの法則や、ガリレイの落体運動の法則が万有引力の別の側面であることを示した。 マクスウェルは、それまでアンペールやファラデーらが個別に発見していた電気と磁気の法則が、電磁気という一つの法則にまとめられることを導き、電磁波の存在を理論的に予言し、光が電磁波の一種であることを示した。
20世紀に入るとアインシュタインが相対性理論によって、時間と空間に関する認識を一変させた。彼はさらに重力と電磁気力に関する統一場理論の研究に取り組んだが実現しなかった。しかし、その後も統一場理論に関する研究は他の研究者たちによって続けられ、新しく発見された核力も含めて統一しようとする努力が続けられた。1967年頃電磁気力と弱い力に関する統一場理論(ワインバーグ・サラム理論)が提唱され、後の実験的な検証により理論の正当性が確立した。この理論により、電磁気力と弱い力は同じ力の異なる側面として説明されることになった。
自然界に存在する重力、電磁気力、強い力、弱い力の四つの相互作用のうち、上記の電弱統一理論を超えて、電磁気力、強い力、弱い力に関する統一場理論である大統一理論、重力、電磁気力、強い力、弱い力の四つの相互作用全てに関する統一場理論(例えば、超弦理論が候補)が研究されているが、実験的に検証されておらず、現在においても確立には至っていない(しばしば、上記の四つの相互作用に関する統一場理論は、既存の物理現象がその理論一つを基礎として理解できると考えられるため、万物の理論と呼ばれることがある)。
古典的な物理学では、物理現象が発生する空間と時間は、物理現象そのものとは別々のものと考えられてきたが、重力の理論(一般相対性理論)によって、物質の存在が空間と時間に影響を与えること、物質とエネルギーが等価であることが解明されたことから、現代物理学では、物理現象に時間と空間、物質とエネルギーを含める。
物理学の親和性[編集]
物理学はほかの自然科学と密接に関係している。物理学で得られた知見が非常に強力なために、他の自然科学の分野の問題の解決に寄与することも多く、生物学、医学など他の分野との連携も進んでいる。
特に化学においては密接に関連する分野が多く、特に物理学的な手法を用いる分野として物理化学という分野が設けられている。
生物学においても、生物の骨格や筋肉を力学的に考察したり、遺伝子レベルでの解析や進化の物理的考察を行う分子生物学がある。
地球科学においても地球を物理的な手法を用いて研究する地球物理学があり、地震学・気象学・海洋物理学・地球電磁気学等は地球物理学の代表的な分野であるといえる。
今日の物理学は自然科学のみならず人文科学・社会科学とも関係している。人文科学においては「哲学との学際領域に自然哲学があり、自然哲学から今日の哲学と自然科学が分離した[要出典]」という見方もある。また、心理学も精神物理学を通じて物理学と関係している。
社会科学においては中学校・高等学校における教科としての物理は教育学と密接に関係しており、経済現象を物理的に解明する経済物理学は経済学との学際的分野であるといえる。
主要な物理分野[編集]
学問体系[編集]
力学--解析力学--古典力学--量子力学--相対論的量子力学--場の量子論
熱力学--統計力学--量子統計力学--非平衡統計力学
連続体力学--流体力学
電磁気学--光学--特殊相対論--一般相対論
研究方法[編集]
理論物理学
実験物理学
数理物理学
計算物理学
専門分野[編集]
素粒子物理学(高エネルギー物理学)
原子核物理学(核物理学)--核構造物理学--核反応論--ハドロン物理学
天文学--天体物理学--宇宙物理学--宇宙論
原子物理学--分子物理学--高分子物理学
物性物理学(凝縮系物理学)--固体物理学--磁性物理学--金属物理学--半導体物理学--低温物理学--表面物理学--非線形物理学--流体力学--物性基礎論--統計物理学--数理物理学)
プラズマ物理学--電磁流体力学
音響学
関連分野・境界領域[編集]
数学--物理数学--(数理物理学)
数値解析--計算機科学--(計算物理学)
化学--物理化学--量子化学
生物学--生物物理学--分子生物学
工学--応用物理学
地球科学--地球物理学(地球電磁気学--地震学--海洋物理学--気象学)
医学--医療物理学--放射線物理学--保健物理学
哲学--自然哲学
心理学--精神物理学
教育学--教科としての物理 (PSSC:Physical Science Study Committee)
経済学--経済物理学
量子デバイス・量子コンピュータ・量子通信・量子暗号
手法[編集]
科学的研究法--測定--計測機器--次元解析--統計学--計算物理学--近似法--摂動論--調和振動子
物理の基礎概念[編集]
総合的なものとして、物理学用語一覧を参照。
物質--反物質
力--相互作用
時間--空間--次元--時空--(量子重力)
対称性--保存則--(量子異常--自発的対称性の破れ)
光--波--磁気--電気--電磁波
量子--波動関数--量子絡み合い--観測問題
ボース粒子--フェルミ粒子--超対称性
場の量子論--標準模型
物理量[編集]
質量--エネルギー--温度
位置--変位--長さ
速度--運動量--角運動量--スピン
力--モーメント--トルク
エントロピー--物理情報
基本的な4つの力[編集]
重力相互作用(万有引力)--電磁相互作用--弱い相互作用--強い相互作用
物質の構成要素[編集]
分子--原子--核子
素粒子--光子--ウィークボソン--グルーオン--重力子--電子--ミューオン--タウ粒子--ニュートリノ--クォーク--メソン--バリオン--超対称性粒子--アキシオン--モノポール

ダークマター
図表[編集]
物理学用語一覧 -- 物理法則一覧 -- 物理定数
SI基本単位 -- SI組立単位 -- SI接頭辞 -- 単位一覧 -- 単位換算
物理学者一覧--ノーベル物理学賞
原子核崩壊図--分光学データ
物理学の概略史[編集]
Question book-4.svg この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2010年6月)
自然哲学[編集]
古代から人々は物質の振る舞いを理解しようと努めていた。なぜ支持しない物は地面におちるのか?なぜ異なった物質は異なった性質を持つのか?など。宇宙の特徴はまた神秘であった。地球の成り立ちや太陽や月といった天体の動き。いくつかの理論が提唱されたが、そのほとんどは間違っていた。それらの理論は哲学の言葉でおおむね述べられており、系統だった試行的な試験によって変えられることはなかった。例外として、例えば古代ギリシアの思想家アルキメデスは力学と静水学に関して多くの正確で定量的な説明をした。
「自然哲学」も参照
近代科学[編集]
16世紀後半に、ガリレイは物理理論を立証するために実験を用いた。実験は科学的研究法における重要な概念である。ガリレイは力学に関するいくつかの結果を定式化し、成功裏に試験した。とくに、慣性の法則について。1687年にニュートンはプリンキピアを出版した。それは二つの包括的かつ成功した理論を詳述していた。その一つ、ニュートンの運動方程式は古典力学の起こりとなった。もう一つ、万有引力の法則は基本的な力である万有引力を記述する。両理論は実験と良く一致した。ラグランジュ、ハミルトンらは古典力学を徹底的に拡張し、新しい定式化、原理、結果を導いた。重力の法則によって宇宙物理学の分野が起こされた。宇宙物理学は物理理論をもちいて天体現象を記述する。
18世紀から、ボイル、ヤングら大勢の学者によって熱力学が発展した。1733年に、ベルヌーイが熱力学的な結果を導くために古典力学とともに統計論を用いた。これが統計力学の起こりである。1798年に、トムソンは力学的仕事が熱に変換されることを示した。1847年に、ジュールは力学的エネルギーを含めた熱についてのエネルギーの保存則を提示した。
「近代科学」も参照
電磁気学の発達[編集]
電気と磁気の挙動はファラデー、オーム、他によって研究された。1855年にマクスウェルはマクスウェル方程式で記述される電磁気学という単一理論で二つの現象を統一的に説明した。この理論によって光は電磁波であると予言された。
1895年に、レントゲンはX線を発見し、それが高い周波数の電磁波であることを明らかにした。放射能はベクレルによって1896年に発見された。さらに、ピエール・キュリーとマリ・キュリーほかによって研究された。これが核物理学の起こりとなった。
1897年に、トムソンは回路の中の電流を運ぶ素粒子である電子を見つけた。1904年に、原子の最初のモデルを提案した。それはプラムプリン模型として知られている(原子の存在は1808年にドルトンが提案していた)。
現代物理学[編集]
1905年に、アインシュタインは特殊相対性理論を定式化した。その中では時間と空間は時空という一つの実体に統一される。相対性理論は古典力学とは異なる慣性座標系間の変換を定める。それ故、古典力学の置き換えとなる相対論的力学を構築する必要があった。低(相対)速度領域においては二つの理論は一致する。1915年に、アインシュタインは特殊相対性理論を拡張し、一般相対性理論で重力を説明した。それはニュートンの万有引力の法則を置き換えるもので、低質量かつ低エネルギーの領域では二つの理論は一致する。
1911年に、ラザフォードは散乱実験から陽子と呼ばれる正の電荷の構成物質でぎっしりと詰まった原子核の存在を推定した。中性の核構成物質である中性子は1932年にチャドウィックによって発見された。
1900年代初頭に、プランク、アインシュタイン、ボーアたちは量子論を発展させ、離散的なエネルギー準位の導入によってさまざまな特異な実験結果を説明した。1925年にハイゼンベルクらが、そして1926年にシュレーディンガーとディラックが量子力学を定式化し、それによって前期量子論は解釈された。量子力学において物理測定の結果は本質的に確率的である。つまり、理論はそれらの確率の計算法を与える。量子力学は小さな長さの尺度での物質の振る舞いをうまく記述する。
また、量子力学は凝縮系物理学の理論的な道具を提供した。凝縮系物理学では誘電体、半導体、金属、超伝導、超流動、磁性体、といった現象、物質群を含む固体と液体の物理的振る舞いを研究する。凝縮系物理学の先駆者であるブロッホは結晶構造中の電子の振る舞いの量子力学的記述を1928年に生み出した。
第二次世界大戦の間、核爆弾を作るという目的のために、研究は核物理の各方面に向けられた。ハイゼンベルクが率いたドイツの努力は実らなかったが、連合国のマンハッタン計画は成功を収めた。アメリカでは、フェルミが率いたチームが1942年に最初の人工的な核連鎖反応を達成し、1945年にアメリカ合衆国ニューメキシコ州のアラモゴードで世界初の核爆弾が爆発した。
場の量子論は、特殊相対性理論と整合するように量子力学を拡張するために定式化された。それは、ファインマン、朝永、シュウインガー、ダイソンらの仕事によって1940年代後半に現代的な形に至った。彼らは電磁相互作用を記述する量子電磁力学の理論を定式化した。
場の量子論は基本的な力と素粒子を研究する現代の素粒子物理学の枠組みを提供した。1954年にヤンとミルズはゲージ理論という分野を発展させた。それは標準模型の枠組みを提供した。1970年代に完成した標準模型は今日観測される素粒子のほとんどすべてをうまく記述する。
場の量子論の方法は、多粒子系を扱う統計物理学にも応用されている。松原武生は場の量子論で用いられるグリーン関数を、統計物理学において初めて使用した。このグリーン関数の方法はロシアのアブリコソフらにより発展され、固体中の電子の磁性や超伝導の研究に用いられた。
今後の方向性[編集]
2003年時点において、物理学の多くの分野で研究が進展している。
スーパーカミオカンデの実験からニュートリノの質量が0でないことが判明した。このことを理論の立場から理解しようとするならば、既存の標準理論の枠組みを越えた理解が必要である。質量のあるニュートリノの物理は現在理論と実験が影響しあい活発に研究されている領域である。今後数年で粒子加速器によるTeV(テラ電子ボルト)領域のエネルギー尺度の探査はさらに活発になるであろう。実験物理学者はそこでヒッグス粒子や超対称性粒子の証拠を見つけられるのではないかと期待している。
量子力学と一般相対性理論を量子重力の単一理論に統合するという半世紀以上におよぶ試みはまだ結実していない。現在の有望な候補はM理論とループ量子重力理論である。
宇宙物理学の分野でも1990年代から2000年代にかけて大きな進展が見られた。特に1990年代以降、大口径望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡・COBE・WMAP などの宇宙探査機によって格段に精度の良い観測データが大量に得られるようになり、宇宙論の分野でも定量的で精密な議論が可能になった。ビッグバン理論及びインフレーションモデルに基づく現代のΛ-CDM宇宙モデルはこれらの観測とよく合致しているが、反面、ダークマターの正体や宇宙の加速膨張を引き起こしていると考えられるダークエネルギーの存在など、依然として謎となっている問題も残されている。これ以外に、ガンマ線バーストや超高エネルギー宇宙線の起源なども未解決であり、これらを解明するための様々な宇宙探査プロジェクトが進行している。
凝縮物質の物理において、高温超伝導の理論的説明は、未解明の問題として残されている。量子ドットなど単一の電子・光子を用いたデバイス技術の発展により、量子力学の基礎について実験的検証が可能になってきており、さらにはスピントロニクスや量子コンピュータなどへの応用展開が期待される。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AD%A6

再生核研究所声明 264 (2015.12.23):  永遠とは何か ― 永遠から

現代人は 空間とは 座標軸で表される数の組の集合 で表させるものと発想しているだろう。 基礎である直線は 実数を直線上に並べたもの、逆に直線とは 実は 実数全体の表現と考えられる。 すなわち、直線とは 基準点である原点ゼロから、正方向と負方向に正の実数と負の実数が大小関係で順序づけられ無限に双方向に伸びていると考えられる。
そこで、永遠とは 直線に時間を対応させ、限りなく正方向に進んだ先のことを 想像している。どこまでも どこまでも 先に行けばどうなるだろうか。直線上でも、平面上でも である。 砂漠の伝統を有する欧米文化の背景、キリスト教などの背後には、 永遠とは限りなく 果てしなく先にあると発想しているという。 どこまでも、どこまでも きりのない世界である。 ユークリッド幾何学が そのような空間を考えていることは確かである。
ところが四季に恵まれたアジアの民は、限りなく広がる世界に、不安や淋しさを直感して、 正の先と、負の先が一致していて、直線は円で どこまでも どこまでも行くと反対方向から、現在に至り、永遠は繰り返しであると、四季の繰り返し、天空の繰り返し、円運動のように発想して 仄かな安心感を覚えているという。永劫回帰、輪廻の思想を深く懐いている。実に面白いことには 美しい複素解析学では、立体射影の考えによって、直線を球面上の円と表現し、無限遠点の導入によって、 これらの思想を 数学的に厳格に実現させ、全ユークリッド平面の全貌を捉え、無限の彼方さえ捉えることが出来た。 その時 永遠を 確かに捉え、掴むことさえ出来たと言える。立体射影による球面上の北極に 確かに存在すると言える。素晴しい、数学を手に入れていた。この美しい数学は 100年以上もリーマン球面として、複素解析学の基本となってきている。
ところが2014.2.2偶然に発見されたゼロ除算の結果は、この無限遠点が 実は原点に一致していた という衝撃的な事実を述べていた。 永遠、無限の彼方と想像していたら、それが 実は原点に戻っていたという事実である。 それが我々の数学であり、ユークリッド空間の実相である。幾何学の性質や物理的な法則をきちんと説明している、我々の世界の数学である。
それで、永遠や無限遠点、我々の空間の 十分先の考え方、発想を考える必要がある。
無限の先が原点に一致している事実、それを如何に理解すべきであろうか。
それについて、 次のように解説してきた:

再生核研究所声明232(2015.5.26)無限大とは何か、無限遠点とは何か。― 驚嘆すべきゼロ除算の結果
再生核研究所声明257 (2015.11.05) 無限大とは何か、 無限遠点とは何か ー 新しい視点
再生核研究所声明262 (2015.12.09) 宇宙回帰説 ― ゼロ除算の拓いた世界観

新しい世界観は 始まりから始まり 最後には 突然戻るということを述べている。 しからば、始めとは何で 終りとは何だろうか。 これについて、 始めも終わりも、質的な変化であると定義できるのではないだろうか。 簡単な数学で万物、universe の現象を説明するのは難しい状況は確かにあるだろう.しかし、ゼロ除算の思想は、新羅万象が絶えず変化して 繰り返している様を表現しているように感じられる。
大事な人生の視点は 今日は 明日のためや遠い未来のためにあるのではなく、 現在、現在における在るべき適切な在りようが大事だと言っているようである。もちろん、現在は、未来と過去に関係する存在であり、それらは関係付けられ、繋がっているが 焦点はもちろん、 現在にあるということである。
ビッグバンの宇宙論は 適切に理解され、始めとは 大きな変化で 現状の元が始まり、
やがて突然、元に戻って 終わることを暗示しているようである。人生とは 要するに 内なる自分と環境に調和するように在れ と ゼロ除算は言っているようである。

ゼロ除算は 仏教の偉大なる思想 を暗示させているように感じられる。

以 上

再生核研究所声明262 (2015.12.09) 宇宙回帰説 ― ゼロ除算の拓いた世界観
最近展開しているゼロ除算が、新しい世界観を示しているのは 大変興味深い。直線とは一体どうなっているだろうか.空間とはどのようになっているだろうか。これについて、現代人は、双方向にどこまでも どこまでも 続いている直線を想像するであろう。限りなく広がった平面や空間である。ところが 立体射影によって 平面全体を球面上に1対1に写せば、全平面は 球面から北極を除いた球面上に1対1にきちんと写るから、無限に広がる 全平面の全貌が捉えられる。ところが平面上には存在しない想像上の点 それはあらゆる方向に限りなく遠くに存在する無限遠点の導入によって、その点を球面の欠けた1点北極に対応させれば、無限遠点を含めた平面全体は 球面全体と1対1にきちんと対応する。
このような対応で 平面上の円や直線全体は 球面上では共に円に対応するという美しい対応になり、平面上の直線は 球面上では、北極(無限遠点)を通る円に写ると、直線と円の区別は 球面上では不要になる。また、平面上の平行線とは 無限遠点で 角度ゼロで交わっている(接している)と平面上の構造がよく見えて、無限遠点を含めての平面の全構造が 捉えられる。このように、考えると、直線とは、球面上では北極を通る円、平面上では無限遠点を通る直線となる。この構造は、直線を1方向にどこまでも, どこまでも進めば、無限遠点を 通って、逆方向から戻ってくるという、永劫回帰の思想をちょうど実現している。それは、球面上では、 円を繰り返し回ることを意味する。 その様は 何もかも すっかり良く見える。
これが、従来100年以上も続いた世界観で、関数y=x やW=zは 無限遠点に近づけば、それらの像も無限遠点に近づいていると考えるだろう。 関数y=x の値は正方向にどんどん行けば、どんどん大きくなると考えるだろう。
しかるに、ゼロ除算1/0=0は、それらの関数は無限遠点にいくらでも近づくと 無限遠点にいくらでも近づくが、無限遠点自身では、突然ゼロになっていることが 幾何学的にも確認された。上記、北極は 実は原点ゼロに一致しているという。
話しを簡単にするために、 関数y=x を考えよう。右に行けば、プラス無限に、負の方向左に行けば 負の無限に限りなく近づくは 従来通りである。ところが、ゼロ除算では いずれの方向でも上記無限遠点では 値ゼロをきちんと取っているという。ゼロ除算の数学では、どんどん、増加した先、突然、ゼロ、原点に戻っているという。また、円でも球面でも半径Rをどんどん大きくすると、当然、円の面積や球の体積はどんどん限りなく大きくなるが、半径が無限のとき、突然、それらはゼロになるという。それらの理由も数学ばかりではなく、幾何学的にも明確に見えている。
この数学的な事実は、我々の世界、宇宙がどんどん拡大して行くと突然、ゼロに帰するということを暗示させている。 ― これは 宇宙回帰説を意味しているようである。
これは、ユニバースの普遍的な現象、どんどん進んだ先が、元に突然戻る原理を示しているようである。
そもそも人生とは如何なるものか。― よくは分からないが、事実として、生まれて、どんどん物心がついて、人間として精神活動が活発化して、多くは本能原理によって生かされて、そして、突然元に戻ることを意味しているようである。このことを深く捉えられれば、世界がよりよく観え、悟りの境地に達する大きなヒントを得ることができるだろう。

ここでは ゼロ除算の帰結として、宇宙回帰説、ユニバースの回帰説を唱えたい。この考えでは、どんどん進めば、突然元に戻るという原理を述べている。珠算における 御破算で願いましては で 再び始めることを想起させる。これは、また、reset と同様であると考えられる。

以 上


Title page of Leonhard Euler, Vollständige Anleitung zur Algebra, Vol. 1 (edition of 1771, first published in 1770), and p. 34 from Article 83, where Euler explains why a number divided by zero gives infinity.
https://notevenpast.org/dividing-nothing/

割り算のできる人には、どんなことも難しくない

世の中には多くのむずかしいものがあるが、加減乗除の四則演算ほどむずかしいものはほかにない。

ベーダ・ヴェネラビリス

数学名言集:ヴィルチェンコ編:松野武 山崎昇 訳大竹出版1989年


再生核研究所声明259 (2015.12.04) 数学の生態、旬の数学 ―ゼロ除算の勧め

数学とは何だろうかと問うてきたが(No.81, May 2012(pdf 432kb) www.jams.or.jp/kaiho/kaiho-81.pdf)違う観点から、はじめに数学の生態について外観して、ゼロ除算の研究の勧めを提案したい。

純粋数学の理論は 恰も人間とは無関係に存在して、まるで神の言語のように感じられるが、しかしながら、生活している人間、関与している人間、またそれらを支えている社会が数学の発展の行くすえ、成長の生態に反映されているのは事実である。実際、最も古く、超古典のユークリッド幾何学の発展、現状を見れば、数学の生態の様を見ることができる。その幾何学は 素朴に土地を測るという、現実の要求から生まれ、知的要求で言わば社会との関わりを有しないレベルまで発展して、膨大な理論体系が作られたが、現在では研究の専門家がいない程に確立した理論とされている。研究課題としては終わっていると考えられる。多くの数学も同様な経過を辿っている様を見ることができる。多くは物理学やいろいろな現象から新しい数学が生まれた例は多いが、ここは、素朴な数学の具体例、基本的な問題から、新しい数学が生まれ、発展して、やがて、細分化、孤立化した結果に至って 衰退している様を 数学の生態として捉えることができるだろう。社会との関係が薄く、興味を抱く人が少なくなれば、その数学は衰退すると ―すなわち 誰もやらなくなり、殆ど忘れされていくことになるだろう。この意味で、多くの数学も、花の命や人の一生のように 夢多き時期、華やいだ時期、衰退して行く時期といろいろな時期があると考えるのが妥当ではないだろうか。基本的で、新規な結果がどんどん展開されるときは、その数学の発展期で、活動期にあると考えられる.他方、他との関係が付かず、興味、関心を抱く者が少なくなれば、既に衰退期にあり、研究は労あって成果は小さいと言えよう。
数学を言わば輸入に頼っている国では、価値観も定かではなく、権威ある、あるいは数学の未解決問題の解明や小さな部分の形式的な拡張や精密化に力を入れている現実がある。見るだけでうんざりしてしまう論文は 世に多いと言える:

再生核研究所声明128 (2013.8.27):  数学の危機、 末期数学について
(特に純粋数学においては、考えられるものは何でも考える自由な精神で真理の追究を行なっているから(再生核研究所声明36:恋の原理と心得)、一旦方向が、課題が定まると、どんどん先に研究が進められる。基本的な精神は 内部における新しい概念と問題の発掘、拡張、すなわち一般化と精密化、そして他の数学との関係の追求などである。それらがどんどん進むと、理解出来る者、関心を抱く者がどんどん少なくなり、世界でも数人しか興味を抱く者がいないという状況になり、そのような状況は 今や珍しくはないと言える。 ― 興味以前に分からない、理解できないが 殆どであると言える。 また、何のための結果かと問われる結果が 現代数学の大部分を占めていると言えるだろう。特に数学内部の興味本位の結果は そのような状況に追い込まれ、数学の末期的状況の典型的な形相と言えるだろう。実際、相当なブームに成っていた数学の分野が、興味や関心を失い、世界でも興味を抱く者が殆どいなくなる分野は 結構実在する。それらの様は、さまざまな古代遺跡のように見えるだろう。― 夏草や兵どもが夢の跡(なつくさや つわものどもがゆめのあと):松尾芭蕉。
もちろん、数学は、時間によらないようであるから、オイラーの公式のように、基本的で美しく、いろいろ広く関係しているような結果は、普遍 (不変) 的な価値を 有すると言える。)

どの辺の数学に興味を抱くは、個人の好みであるが、最近考えられているゼロ除算は極めて初期の段階にあり、夢多き段階にあると見られので、広く世に状況を公表して、ゼロ除算の研究を推進したい。
 
ゼロ除算は、西暦628年インドでゼロが記録されて以来の発見で、全く未知の新しい数学、前人未到の新世界の発見である。すなわち、ゼロで割るは 不可能であるがゆえに 考えてはいけないとされてきたところ、ゼロで割ることができるとなったのであるから、全く未知の世界を探検できる。 既に数学的には確立され、物理的、幾何学的にも実証されている。 最近、素人にも分かるような例が結構発見されてきたので、 広く 世にそのような面白い新しい現象の発見を呼びかけたい。まず結果は、分数を拡張して、自然に100割るゼロを考えると、何でもゼロで割れば、ゼロで、面白いのは、どの様に考えを一般化しても、それに限ると言うことが証明されたことである。導入、動機、一意性、すなわち、それ以外の考えが無いこと、それらが、高校レベルの数学で、簡単に証明されたと言う事実である。出版された論文は、高校生にも十分理解できる内容である。具体的な結果は、関数y = 1/x のグラフは、原点で ゼロであると述べている。すなわち、 1/0=0 である。それらは 既に 数の実体である と言える。
― 要点は、上記直角双曲線は、原点で猛烈な不連続性を有し、爆発や衝突、コマで言えば、 中心の特異性などの現象を記述していることである。複素解析学では、1/0として、無限遠点が存在して、美しい世界であるが、無限遠点は 数値としては ゼロが対応する。
現在までに発見されたゼロ除算の実現例を簡単に列挙して置こう:
万有引力の法則で、2つの質点が一致すれば、引力はゼロである;一定の角速度で回転している回転体の中心で、角速度はゼロで、中心で不連続性を有している;光の輝度は 光源でゼロであること:円の中心の鏡像は 無限遠点ではなくて、中心そのものであるという強力な不連続性;電柱の微小な左右の揺れから、真っ直ぐに立った電柱の勾配はゼロであり、左右からマイナス無限とプラス無限の傾きの一致として、傾きゼロが存在している; 代数的には ゼロ除算z/0=0を含む簡単な体の構造が明らかにされ、数体系として自然な体系である複素数体より ゼロ除算z/0=0を含むY体 の方が自然であると考えられること; 点の曲率がゼロであること、などである。
さらに、原始的なテコの原理にもゼロ除算は明確に現れ、初等幾何学にも明確に現れ、例えば、半径Rの円をどんどん大きくすると,円の面積はいくらでも大きくなるが、半径が無限になると突然、その面積はゼロになることが認識された。 Rが無限になると円は直線になり、円は壊れて半空間になるからである。 このことの明確な意味が数学的に捉えられ、一般に図形が壊れる現象をゼロ除算は表していることが分かった。これらの現象は ゼロ除算が 普遍的に存在する現象を説明するもの と考えられる。
また、ゼロ除算において 無限遠点が 数値では ゼロで表されることは 驚嘆すべきことであり、それではuniverse は一体どうなっているのかと、真智への愛の 激しい情念が湧いてくるのではないだろうか。ゼロ除算は、数学ばかりではなく、物理学や世界観や文化にも大きな影響を与える:

再生核研究所声明166(2014.6.20)ゼロで割る(ゼロ除算)から学ぶ 世界観
再生核研究所声明188(2014.12.16)ゼロで割る(ゼロ除算)から観えてきた世界

ゼロ除算の最も関与している研究は まず 第1に複素解析学への影響、複素解析学の研究ではないだろうか。 実際、ゼロ除算は、ローラン展開そのものの見方から始まり、それは佐藤の超関数や特異積分などに関係している。
第2は、 ゼロ除算の物理学への影響である。 これは、ニュートンの万有引力の法則など多くの物理法則の公式に、ゼロ除算が現れているので、それらに対する新しい結果の解釈、影響である。
第3は ゼロ除算の代数的な、あるいは作用素論的な研究である。これらも始まったばかりであり、出版が確定している論文:

S.-E. Takahasi, M. Tsukada and Y.Kobayashi, Classification of continuous fractional binary operators on the realand complex fields, Tokyo Journal of Mathematics {\bf 8}(2015), no.2 (in press).
がそれらの最先端である。

これらの分野では、誰でも先頭に立てる全く新しい研究分野と言える。
全く、新しい研究分野となると、若い人がやみくもに挑戦するのは危険だと考えるのは、 よく理解できるが、ある程度自己の研究課題が確立していて、多少の余裕がみいだせる方は、新しい世界を自分の研究課題と比較しながら、ちょっと覗いてみるかは、面白いのではないだろうか。思わぬ関係が出てくるのが、数学の研究の楽しさであると言える面は多い。アメリカ新大陸に初めて移った人たちの想い、 ピッツバーグの地域に初めて移住した人たちの想いを想像してみたい。ゼロ除算は 新しい数学である。専門家はいないから、多くの人が面白い現象を発見できる機会があると考えられる。

次も参考:

再生核研究所声明189(2014.12.233) ゼロ除算の研究の勧め
再生核研究所声明222(2015.4.8) 日本の代表的な数学として  ゼロ除算の研究の推進を求める
再生核研究所声明253(2015.10.28) 私も探そう ―ゼロ除算z/0=0 の現象

以 上

追記: ゼロ除算の楽しい、易しい解説を次で行っている:
数学基礎学力研究会のホームページ
URLは
http://www.mirun.sctv.jp/~suugaku
Title page of Leonhard Euler, Vollständige Anleitung zur Algebra, Vol. 1 (edition of 1771, first published in 1770), and p. 34 from Article 83, where Euler explains why a number divided by zero gives infinity.
https://notevenpast.org/dividing-nothing/






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