再生核研究所: 宗教

宗教

東京新聞の3月26日の夕刊に米国の週刊誌「ニューズウィーク」が行った米国人の宗教観についての調査結果が紹介されていた。
神の存在を信ずる人　９４％　天国の存在を信ずる人　７７％　自分は天国へ行けると思っている人　７６％　地獄の存在を信ずる人　５８％　自分は地獄へゆくと思っている人６％　教会に定期的に行く人　４３％
日本で同じ調査をしたらどうなるだろう。なにぶん日本には八百萬（やおよろず）の神がいたり、神と仏の区別がはっきりしなかったりする。
どうも一つの神への執着心はうすそうである。
山本七平氏の『キリスト教の常識』（講談社）によれば、信仰とは、神と契約を結び、それを誠実に実行することだという。
契約書の中味は、新約か旧約の聖書の中にある律法である。
だからこそ信者は、ひたすら聖書に執着する。イスラム教やユダヤ教も根はキリスト教と同じだから、ホメイニ氏の『悪魔の詩』への反発などを見るとますますその執着心の深さに感心する。
「一書の人恐るべし」という言葉があるそうだ。
自然科学の勉強をする時に、あの本、この本と中途半端に読み散らかさないで、これぞと思う本一冊だけを何回も読み返して完全にマスターする人は、将来恐るべきであるという意味である。
でもこんなに進歩が早くて、情報のあふれる世の中に、そんなことでは遅れてしまうよ、と反発されそうである。キリスト信者ふうに、一冊にこだわって勉強するか、日本の八百萬の神方式でゆくかの違いに似ていないこともない。
私の意見では、一書の人を卒業してからでないと、多すぎる情報はこなせない。　
（平成１．４．３０）

大谷杉郎著　　火瓮（ほべ）平成3年6月１日　発行　印刷所　第一法規出版株式会社
P１２０・１２１より

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