2014年5月9日金曜日

米国でも議論の的となる出生前診断と選択的中絶

米国でも議論の的となる出生前診断と選択的中絶
2014年05月09日
 食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
 妊娠や不妊治療をテーマに前々回(不妊・妊活)、前回(不妊治療)と続けてきましたが、今回は今話題の「出生前診断」について解説します。
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 最近よく耳にするようになった「出生前診断、選択的中絶問題」。今回はこのテーマで、名古屋大学産婦人科の大須賀智子先生に話をうかがい、日米の状況を踏まえつつ考えたいと思います。
出生前診断とは何か?
大西睦子(以下、大西):出生前診断とは何でしょうか?
大須賀智子先生(以下、大須賀):  もともとは「母体および胎児が、可能な限り安全に妊娠期間を過ごしお産を迎える」ため、胎児の健康状態をチェックする、出生前に行う検査の総称を指していました。
 しかし近年、遺伝学的な出生前検査が広く知られるようになり、遺伝学的検査の中でも特に「胎児の染色体異常の診断」のことを指して用いられることが多い言葉となっています。つまり本来なら「胎児の健康状態をチェックする」という意味で、妊婦健診で行われるスクリーニング超音波検査なども含まれるます。一方で胎児染色体検査を前提とした出生前診断は、次のように分けられます。
1. 非確定的検査
染色体異常の確率を示すもの。染色体異常の診断を行うためには、2に示す「確定的検査」が必要ながら、侵襲(生体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激。妊婦の場合、流産など)が低いため、行われることが多い検査。
[1]胎児ドッグ(胎児超音波スクリーニング検査):超音波検査による染色体疾患の可能性の評価
[2]母体血清マーカー検査:妊婦から血液を採取し血液中のアルファフェトプロテインヒト絨毛性ゴナドトロピン、エストリオール、インヒビンAの濃度を測定
[3]母体血胎児染色体検査(NIPT: Noninvasive prenatal genetic testing):最近、新しい「新型出生前診断」として、話題になっている検査方法。母体の血液を用いて胎児の染色体を調べる遺伝学的検査で、対象となるのは21トリソミー症候群(ダウン症候群)、18トリソミー症候群、そして13トリソミー症候群(出生頻度順に記載)の3つの染色体の数的異常症のみ
2. 確定的検査
実際の染色体の数の異常を検出する検査。絨毛(妊娠中に子宮内に形成される胎盤を構成する組織)、羊水(胎児が入っている膜=羊水腔内を満たしている液体)などを採取する必要があるため、侵襲的な検査となり、1の非確定的検査をした上で、確率が高いと判断された場合に、行われることが多い。
[1]絨毛染色体検査:妊娠10~14週までに、経腟的(または経腹的)に絨毛を採取し、細胞の染色体を検査(超音波検査で胎盤の位置を確認しながら、カテーテルを子宮頸部に通したり、針を妊婦の腹壁に挿入し、絨毛を採取)
[2]羊水染色体検査:妊娠15週以降に、経腹的に羊水を採取し、羊水中に浮遊する胎児細胞の染色体を検査(超音波検査で胎児の位置を確認し、妊婦の腹部を消毒して、長い注射針を刺し、羊水を採取)
大西:日本ではどのようなケースで適応されますか?
大須賀: 確定的検査を行う場合は、以下のようなケースで適応されています。
1. 夫婦のいずれかが染色体異常の保因者である場合
2. 染色体異常症に罹患した児を妊娠、分娩したことがある場合
3. 高齢妊娠(出産時の年齢が35歳以上)の場合
 ほかにも夫婦が重篤な遺伝病やその保因者である場合など、胎児が重篤な遺伝病を発症する可能性がある場合に考慮されます。
 超音波検査やマーカー検査は侵襲が少ないため、非確定的検査は以前は比較的簡単に行われていたケースもあるようですが、現在は確定的検査も非確定的検査も、検査前に十分な遺伝カウンセリングすべきだと考えられています。
生命の選択になるので、 今後の大きな課題では・・・。 
可能になったら、それをして良いかの根本問題ですね。
もしそれから良い方向でも、天才や秀才、美人が好きなように 出来るとなったら、どうするでしょうか???

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